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夜間中学その日その日 (242)   守口夜間中学 白井善吾

夜間中学生と金環日食

「夜間中学に来ていなかったら興味を持つこともなく、おそらく、見ることもなかったと思います。後でテレビを見てそんなことがあったんか、で終わっていたと思います」
「テレビで見たんではあきません。実際に見るのと、テレビで見るのとは感動が違います」
「そわそわして。落ち着きませんでした。家事を早く済ませて、その時を待ちました」
「めちゃ、めちゃ、感動しました」


「視ていると、近所の人が集まってきて、夜間中学で貸していただいた、眼鏡で皆さんと一緒に見ました」
「残念ながら、仕事場に向かっていました。見ることはできなかったけど、雰囲気は分かりました。だんだん暗くなって、風が冷たかったです。太陽が雲に隠れるのとはまた違います」
 金環日食があった2012年5月21日、学校にやってきた夜間中学生、口々に観察した感想をこのように語った。
 4月に入り、理科の時間、金環日食について学習を進めてきた。宇宙空間で、太陽、月、地球が一直線に並び、太陽の光を月がさえぎり、その影の中に地球が入る。なんとなく分かったようで、分からない。
 昼の学校とは違って、教室の明かりを消すだけで、暗室になる。懐中電灯、ピンポン玉、そして地球儀を用意して、教室の明かりを消し、懐中電灯を点灯して、地球儀に当てる。その間にピンポン玉をかざし、ピンポン玉の陰を地球儀の表面に作る。「その陰になった地域に住んでいる人たちから、逆に太陽を見るとどのように見えるでしょう?」「――」「月がジャマして、太陽が見えない」。自分で懐中電灯を地球儀の日本列島にあて,いまの説明をもう一度繰り返した。そして、納得できたと、席に戻る夜間中学生。ピンポン玉を地球儀に近づけたり、離したりすると、濃い影と薄い影ができることも確かめた。
その日が近づき、観察方法の注意事項を説明した。
「観察めがねを買いにいったけど、売り切れてありませんでした」「これを作ってるとこ、ぼろ儲けしたやろな」「大臣まで使って、正しい見方を宣伝してました」「一つだけ買ってきたら、私のも買ってきてと妻がいうので、また買いに行きました」「そんなに危険やったら、わたし、白内障やから見るのん止めときます」「眼鏡のない人はどのようにして見たらよろしんか?」「厚紙に小さな穴を開けて、太陽の光を紙に写し、観察する方法があります」「それやったら、直接見ないから、目は傷めませんね」
そんな時、同僚の先生が、眼鏡を20、用意してきた。どのように配るか?職員室で相談の結果、くじ引きで配ることになった。休憩時間、廊下はくじ引き場に一変。「私はくじに強いんです」「2組の人たちばかり当たっています」と文句も飛び出す。「当たりましたか?」「いや、当たりませんでした」
大きな、金環日食の写真(2012.5.21毎日新聞夕刊)を黒板に貼り出し学習を始めた。「はっきり映っています。月の表面のでこぼこが、はっきりと」「こんな大きな金の指輪、なんぼするんやろ」「そら高いで、何千万人の人を楽しましてくれたんやから」「眼鏡屋はたくさん売れたやろうし・・」
「大阪は282年ぶり」と黒板に書くと、「ぶり?先生、ぶりってなんですか?」「00さんのお母さんは3月、5年ぶりに中国の故郷に帰りましたね」「・・」「分かりました。时隔5年之后第一次回中国的故乡了」。
「せっかく眼鏡があたったのに、電車に乗っていました。ごめんなさい」恐縮しながら、眼鏡を持ってきた、夜間中学生もいた。
初めから、終わりまで、2時間近くデジカメで100枚以上、撮影してきた夜間中学生がいた。そのデーターをCDに移してもらって、授業で見た。解説はもちろん撮影者。映し出されたダイアモンドリングに、「きれい」と叫ぶ夜間中学生。

「金環日食が起きることを知らなかった昔の人は、きっとびっくりしたでしょう。いつおきるかを予測する人は、どのようにしていたんでしょう?」
「日食が終わると、何もなかったように、いつもの様子に戻ります。これが自然です。しかし人間がしでかした、原発事故とそこから出てきた、放射能はそうはなりません」
そんなこんな、夜間中学の金環日食騒動であった。しかし次の学習展開が提起された。
[ 2012/06/07 05:17 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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