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映写室「Coming Out Story」梅沢圭監督インタビュー(後編):犬塚芳美

 ―誰もの生きやすい世界―

<昨日の続き>
―私に解からないのは、突き詰めれば自分とは何かなのなら、内面こそが大事で、外見にこだわり手術までしなくてもと思うのですが。外見はそんなに大きいのでしょうか?
梅沢:やっぱり大きいですよね。
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―自分にとってですか?それとも周りからの目にとって?
梅沢:自分なのでしょうねえ。自分にとってどこまで行けば女性として満足できる生き方なのかと考え、体も女性になりたいと思ったということでしょう。いつきさんは男とか女とかを超えて、自分は自分であると解かってはいるけれど、それでも性の転換手術をされるんですからねえ。性の自認と外見は一致しているんだと思います。周りが何と言おうといつきさんはいつきさんじゃあないかと思うんだけど、お風呂場で鏡に自分の体が写る度に、男性器が付いているのが苦しかった。そういう自分の姿に自分が納得できないわけです。手術はそういう自分に対する決着のつけ方だったと思います。それに対して、他人がどう言おうがかまわないけれど、手術することで自分はすっきりさせたい。自分のイメージと体を一致させたいということなのでしょう。そういういつきさんを見て、更に「自分とはないか?」というテーマになって行きました。

―そのうちにスタッフの一人が帰ってしまうと?
梅沢:ええ、豊島さんです。彼の揺らぎは大きくて、何で彼がそうなったのかと言うのを、すごく考えました。そして、彼が自分の中のものに向き合うプロセスが、自分の頭の中で考えたものではなく、人と人との出会いと繋がりの中で起こったと気がつきました。いつきさんを鏡のように見て、もともと自分の中にあった、隠していたものに光が当たったんだと思います。人と人との鏡のように映しあう関係性の中で、自分が何だろうと考える視点が出てきたんだと思うのです。其処を映像化したいと思い出して、豊島さんが帰った後、2週間位たってから、混乱した彼を撮らないといけないなあと気付きました。やっぱりスタッフと言う思いが強く、最初は彼にカメラを向けると言う発想が無かったんです。
―豊島さんは学校の同級生ですよね?
梅沢:ええ、映画学校の同級生です。彼の揺らぎなくしてはこの映画は語れません。最初の計画はご破算になったけれど、登場人物によって、作品が思わぬ方向に動き出したわけです。

―監督自信も、冒頭でバイセクシャルだとご自身の立ち居地のことを語っていますが、あれは最初からの計画ですか?
梅沢:いえ、違います。最初はそれを登場させるつもりは無かったけれど、豊島さんが現れたことで、二人の中間で、豊島さんといつきさんの出会いを見つめる、作り手でもある自分の立ち居地を語ってしまいました。と言うか、最終的に自分の立ち居地を語らざるを得なくなったと言うことです。
―ご自身では自覚されていたわけだから、この作品を思いついたのは、そこらあたりのご自分の複雑な感情を探りたかったとも言えませんか?
梅沢:そうとも言えます。

―自分の性を突き詰めて自覚するのは、誰かを好きになった時だと思うのですが、其処のところは語られていませんね?
梅沢:そうですね。そこらへんは難しいです。自分でも答えは出ていません。ジェンダーアイデンティティーと性的嗜好は、何かしら連動しているだろうけれど、明確に解からない。ここでは描けていません。これから考えてみたいところです。自分は男であるとか女であるとか考えずに、誰かを好きになって、後になってくるのか、好きになる段階なのか…。いつきさんはトランスで女性が好きなんです。自分はレズだと言っていますが、いつきさんは男性として生きた時代に結婚されていて、お子さんもいます。実はご家族も撮りたかったのですが、以前テレビで放映されて、その後奥様の心労が大きく精神的に参られたので、今回はご家族にはカメラを向けていません。

―あまりにもデリケートですものね。私たちが見たのは、パブリックないつきさん。家庭の中では別のいつきさんが見えるかもしれません。
梅沢:そうですね。十数年前までのいつきさんは、自分の事を「変態」だと思い、女性になりたいという夢を、心の奥深く隠して生きていました。でもカミングアウトして、女性の体を手に入れた。ありのまま、自分らしく生きようと、覚悟の旅を始めたわけです。そんないつきさんの姿は、豊島さんだけでなく、多くの人の心を揺らすのではないでしょうか。(聞き手:犬塚芳美)

<作品の感想とインタビュー後記:犬塚> 
 色々解からないことは多いのですが、いつきさんのしなやかさと強さが心を打ちます。どんな時も、自分らしく、自分を偽らずに生きるというのは苦しい事。でも世間に自分を偽るのは、いつきさんにとってはもっと苦しい。誰もが「ただすこし、生きやすく」と願ういつきさんや梅沢監督。揺らぎのままに、ご自身の立ち居地もカミングアウトした梅沢監督の次回作が楽しみです。

この作品は、5月19日(土)より、シアターセブンで上映
         時間等は劇場(06-4862-7733)まで
  又、6月2日より1週間限定で、神戸元町映画館、
   その後、京都みなみ会館で上映されます。


画像付きの記事はhttp://eiganotubo.blog31.fc2.com/blog-entry-341.html
[ 2012/05/17 06:10 ] 犬塚芳美 | TB(-) | CM(-)


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