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メデイアウオッチング「ふるさと60年―戦後の日本と私たちの歩み」:鄭容順

児童書を通してのメデアウオッチングです。
書店に並ぶ「ふるさと60年」の児童書が目に入った。
本の大きさは縦が34センチ、横が29センチの大きさ、39ページ建て。B4サイズより大きい著書の表紙に目がいった。
さらに目に入ったのは文が道浦母都子さん、絵は金斗鉉さん。


金斗鉉さんの児童書

韓国人の名前に見入った。
若い在日韓国人の画家、それとも朝鮮民主主義人民共和国関係の日本に住んでいる在日朝鮮人の画家なのだろうかと頭の中は廻った。
書籍店の人に「この本の中味を見せてもらえますか」と聞くと、店員は「少しお待ち下さい」といって持ってこられたのは中を開いてみることができないようにカバーがしてある。中を見るのはそれ専用の1冊だった。

さっそく著者紹介の後ろのページを見た。
道浦母都子さんは1947年和歌山市生まれ、大阪府立北野高校から早稲田大学に進んだ。学生時代には全共闘運動に関り歌った歌集「無援の抒情」がある。全共闘世代を代表する歌人という。

筆者は田舎町で育ち安保問題は背中で知ってはいても自分自身には無縁のものだった。が、中の内容の文章に興味を引いた。
1946年の夏、1951年は春、1956年の秋に1961年の夏、1976年の冬そして1986年の春と1996年の夏、その当時の町の風景画が描かれ当時の世相に繁栄した物や事柄が記述されていた。
過ぎ去った年月に筆者の年を重ねて見ることができる児童書の価値観、心の中でこんなこともあった。そうそうこれもあったと思い出をめぐらしていた。

絵画の1つ、堤防が作られて階段になって川の下に下りる風景に1953年(昭和28年)8月15日の「南山城村大水害」のことが脳裏を走る。
筆者が住んでいた京都府相楽郡木津町(現在は木津川市)の近隣の水害の様子を思い出し高校に入ると南山城村大水害で肉親を失った同級生の話をたくさん聞くことになった。
児童書は家庭の中も女性が家事をしやすい変遷も盛り込まれている。
その絵から温かみと人の情が伝わってくる。
金斗鉉(韓国名=キムドヒョン)さんの経歴を見て驚いた。
南山城村大水害の起きた年に韓国ソウルで生まれている。韓国人の父親に日本人の母親という。母親に連れられて日本に初めて来た時は9歳だった。日本の漫画「鉄腕アトム」「怪傑ハリマオ」に夢中になったという。
そして1971年、18歳で日本に移住。筆者はこの間、韓国で暮らした金斗鉉さんのことが気になった。
1946年からの日本の戦後、人々の暮らしの中で当時の年輩者は着物が多かった。洗濯するときの女性はたすきをかけて裾はたくし上げて紐でくくっていた。男性も浴衣や丹前などが多く真夏はステテコスタイルだった。
子どもたちの服装は時代によって変遷しているが戦後の子どもたちの服はすべて親の手作りだった。買うにも商品がなかった。
筆者の小学3年の頃、自宅近くのお寺にアメリカの中古衣料が放出されていたことを記憶している。今から思うと日本人はアメリカから衣料のリサイクルを譲り受ける難民だったと思っている。

そうした世相、韓国で生まれ育ったのに上手く描いておられる。
金斗鉉さんは日本の当時の世相は脳裏に焼き付けて韓国に戻っていかれたのだろうか。18歳まで過ごした韓国、幼児期から青春は韓国で暮らしている。
日本人の母親といえども韓国にいると固有の文化が重要視されて儒教も体の中に染みている。
一方、金斗鉉さんは日本のハングル教材テキストに韓国の風景が描かれている。
1部をインターネットで見たが優しい線と柔らかい色彩に人情あふれる韓国人気質が見え隠れしている。

金斗鉉さんは1976年より日本でイラストレーターとして活躍、水墨画をはじめ様々な画風で幅広く活動している。
父は韓国人、母は日本人、生まれと育ちは韓国ソウル、成人してから日本に移住して社会活動をしている。その半世紀などから感性豊な「ふるさと60年」が描かれている。
ここに描かれた「ふるさと60年」はごく1部です。
日本全国に戦後生きた日本人がいて在日コリアンもいた。
このへんの混ぜこぜした日本の戦後を描いて残していく必要があるだろうと「ふるさと60年」の児童書を見て思い、金斗鉉さんが生野区コリアタウンを描くとどんな風景になるのだろうかと考えた。
これは在日韓国人として生まれた筆者の欲が入っているのだろうか。
知る人は知る金斗鉉さん。
しかし筆者は初めて金斗鉉さんの児童書に触れて線は細いが色彩に温かいぬくもりが伝わってくる絵画に魅了された。どんな人なのかお会いしたいと筆者の関心が高まった児童書だった。

<写真は2012年2月20日に初版を福音館書店から出版した児童書、3月20日に2刷をしている。児童書の帯には「昔の子どもたち」と「未来の大人たち」へ贈る絵本―家族三世代がともに楽しむ原風景」定価は2300円>
[ 2012/05/15 09:28 ] 鄭容順 | TB(-) | CM(-)


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