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映写室「珈琲とエンピツ」今村彩子監督インタビュー(前編):犬塚芳美

―ろう者の世界を飛び出した軽やかなコミュニケーション―

 自身もろう者である今村彩子監督が、同じろう者でありながら、珈琲とエンピツと笑顔を武器に、軽やかに色々な人とコミュニケーションをとる太田辰郎さんのドキュメンタリー映画を作りました。手話のできない人は多い。それでも繋がる聴覚障害者と聴者の世界。貴方の心の中にも温かいものが広がるはずです。手話通訳の方に入って頂き、今村彩子監督にお話を伺いました。

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<その前に「珈琲とエンピツ」はこんなお話> 
太田さんは静岡県にあるサーフショップ&ハワイアン雑貨のお店の店長。自身も30年以上のキャリアのあるサーファーで、サーフボード職人でもある。会話のきっかけに自分の大好きなハワイアン珈琲を薦めると、思わず笑顔になるお客さん。すかさず太田さんの筆談と身振り手振りの会話が始まった。

<今村彩子監督インタビュー>
―なんとも大らかで素敵な方ですね。太田さんとの出会いは?
今村彩子監督(以下敬称略):豊橋でサーフィンをやってる人が太田さんのお店の常連で、引き合わせて下さったんです。3年前の8月に始めて太田さんのお店に行きました。
―初対面の印象はいかがでしたか?
今村:大田さんは始めて会った時の私を暗いなあと思ったそうです。だからすぐに意気投合とは行かなくて、私の方が一方的に太田さんの笑顔や人物に惹かれました。そして、どういう流れでお店を出したのかとか、聞きたいと思いました。

―今の監督からは暗かったなんて想像できません。カメラを回している時も、いつもニコニコと楽しそうでしたよ。
今村:有難うございます。撮影中はいつも太田さんの笑顔や楽しそうにお客様と会話している様子で、こちらまで温かい気持ちになりました。太田さんご夫妻もとても仲が良く、しょっちゅう冗談を言い合っていて、楽しそうなんです。お客様たちも二人のことを見て理想だなあと言うのですが、その気持ちが解かります。二人の影響で私も温かい気持ちになって帰りました。
―ご両親も大らかと言うか温かいですね。
今村:お母さんもお父さんも本当にいい方で、お母さんが特に社交的なんです。
―小さい頃から何処にでも連れて行かれたから、太田さんがこんな風に物怖じしなくなったと?
今村:ええ、そういう姿勢のお母さんの影響が大きかったと思います。

―監督は今まで主に耳の不自由な方のドキュメンタリーを作ってらしたのですね?
今村:そうです。社会には色々な人がいて、その中には耳の不自由な人もいるというのを知ってもらいたいと思い作ってきました。例えば、私が小学校の頃にはテレビには字幕が無かったのですが、家族は皆聞こえるので、一緒にテレビを見ても楽しめなかった。社会の中には聞こえない人もいると気付けば、テレビも字幕をつけるだろう。又、駅の案内も、放送だけでなく電光掲示板があれば良いなという風に、いろいろな情報の伝達手段を使ってもらえる。逆に、見えない人もいるわけで、そういう人には耳の情報が大事です。見える情報が欲しい人、聞こえる情報が欲しい人。色々な人がいる社会で、どんな人も情報を得られる社会になって欲しいと言う気持ちがあります。

―そうは言っても、監督は長い間の訓練で唇を読んだりも出来るんですよね?
今村:私の小さい頃は手話が認められていなかったので、聞こえる人に近づく綺麗な発音をした方が良いと言う教育でした。厳しい口話教育を受けて育ったんです。今は手話で良いと言われますが。
―そういう時代変化もあったのですか。
今村:太田さんはご両親もろう者なので、お家での会話は手話が主体です。発音は苦手と言っていますが、苦手だからと言って暗くなったりはしない。他の方法があると言って、筆記等でコミュニケーションをとるので、お客様も、(大変だなあ)とは思わないんです。最初は(大変だなあ)と思う人もいるかもしれませんが、太田さんと会話をしていく中で、だんだん相手の気持ちが変わっていくんですね。そういう力を太田さんは持っていると思います。発音がよければいいという考えを太田さんは持っていなくて、伝わればいいと思っているのです。伝わることを大切にしている人だなあと思いました。

―確かに。例えば英語が出来なくても、本当に伝えたい気持ちがあれば、シンプルな単語を並べるだけで、何とか伝わりますものね。
今村:そうです。発音より何より、伝えたい気持ちが大事と言うのを、私は太田さんから学びました。そういうこともあって、この映画のナレーションは私がしています。最初は悩みましたが、一番大事なのは伝えたい気持ちなのだと思い出しました。
―ええ。さすがにこれを作った監督だけに、思いが篭っていて心に響きました。それにしても、太田さんとサーフィンはぴったりですね。
今村:やっぱり、お好きですから。見ていても好きと言う気持ちが解かります。
―太田さんの風貌も日本人離れしていますし、一瞬サーフショップのあそこがハワイかどこかのように見えました。
今村:私も最初に見た時はそう思いました。目の前に海が広がって、とっても美しい場所です。

―そういう事もあって、監督もサーフィンを始められたのですか?
今村:それまでは思ったこともなかったのですが、取材がきっかけで、自分もサーフィンに挑戦してみようと言う気持ちが起こりました。と言っても、取材の間に3回出来ただけです。もっと続けたいけれど、住んでいる名古屋からは海が遠く、なかなか出来なくて。元々体を動かすのは好きで、中学校の時は柔道をやっていましたし、バスケットとか陸上の長距離とか、今までもやっています。
―太田さんは本当に明るいですね。この方に会われて監督も何か変わりましたか?
今村:はい。考え方が変わりました。私も太田さんのように耳が聞こえません。太田さんに出会う前の自分は、聞こえる人たちに対して引いていたんです。でも太田さんは、聞こえる、聞こえない、手話が出来る、出来ないに関わらず、誰に対しても壁を作らず、コミュニケーションをとっていく。そういう様子を見ていて、自分も手話が出来ない人に引くのではなく、色々な人と話したいなあと言う気持ちが湧いてきました。自分で作っていた壁を取ることができたと思います。
                            <明日に続く>

この作品は、5月5日(土)~6月1日(金)の間、大阪シアターセブンで上映
時間等は直接劇場(06-4862-7733)まで。
       順次京都シネマでも上映予定


画像付きの記事はhttp://eiganotubo.blog31.fc2.com/blog-entry-338.html
[ 2012/05/02 00:46 ] 犬塚芳美 | TB(-) | CM(-)


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