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「豊里友行君の写真展にむけて」金城実(彫刻家)

「豊里友行君の写真展にむけて」

「依存―Independent」。
つまり「復帰」とは何かというテーマである。
「依存」と「自立」とは何か。
豊里君の写真を通じて観客は彼の写真が捉えた沖縄をどう共感し、反発するか。
画廊の舞台で展開されるドラマを見てほしい。
若者にとって「依存」と「自立」とは何か。
その足がかりが著者に問われている。


えらいこと引き受けたと思った。
とはいえ彼とは十数年の関わりである。
彫刻家の著者を何故に被写体にしたか豊里君に訊くがよい。

さて「依存」とは何か。
「差別」と「依存」に抵抗してきた闘う彫刻家金城実の写真集。そこには微塵も「依存」という被写体は、ない。
沖縄における表現者には、カメラマン、詩人、小説家、画家、彫刻家、琉球舞踊、空手、ロックバンドなどがいる。
豊里君の写真展に向けて言葉を探すことにした。
『沖縄 1999-2010』写真集の78頁から79頁の写真を視ると「依存」と「抵抗」が見える。
前述の写真で見たのが光と影である。
まさに筋肉のかたまりの米兵に対して身をさらす「パンスケ」と言われた女性の姿は抵抗である。
それは内なる沖縄にも向けられている。

敗戦後はおおかたのウチナンチュが彼女らに依存して生き延びてきた。
彼女らは、兄弟姉妹を大学まで行かすのに恥と過酷な労働を強いられた。
それが彼女らにとっては誇りとなった。
著者のおばさんもそうだ。
そもそも『フランス革命のおりバスチーユ監獄をおそったフランス民衆の前衛は、実にパリの娼婦たちだった。(省略)復帰協よ、汝らの祖国のストライキのさきがけは、実に娼婦たちだった。その歴史を知らずして、何が祖国復帰ぞ・・・・・』。

この文章は沖縄県民よりも人権無視と疎外された奄美大島出身で沖縄中部日報社長タクマ氏である。
公務員・お偉い先生方、労働組合や当時の屋良主席が上程した売春禁止法に対する痛烈な批判である。
豊里君の写真は、『彫刻家金城実の世界』写真集の35頁にある「コザ蜂起に走る娼婦」に重なる。
「依存」とは、まさに「影」を視た者の「自立」への語りである。そこに豊里君の沖縄への目線が見える。
著者が書いた小説が二つある。
『神々の笑い』、『ミッチアマヤーおじさん』。
それら米軍支配下で身を売った貧しい離島や農民漁民たちの女性で、「ムトゥシンカカラヌー」(資本金がいらない身売りの女性)と言われた娘たちだった。
著者のおばさんもその一人だった。

高校時代教師をしていた島の先生から著者とおばさんを前にして「まだ、ポス・ポスしているのか」と馬鹿にされたが抵抗できなかった自分を長いあいだ責めてきた。
いずれオトシマエをつけなければと思った。

先に述べた二つの小説には、その想いを込めて屈辱とそれへの抵抗を表現した。
1970年12月20日コザ蜂起も復帰も大阪で迎えた。
学生の頃休学して嘉手納米軍基地でおばさんの連れ合いの米兵の紹介でアルバイトを体験していた。
著者は、おばさんの生き様とコザ蜂起から彫刻家になることを決意した。
それが著者の抵抗への原点である。

1995年の少女暴行事件は依存と自立を問う事件だった。
それを引きずってきた著者にとって豊里君の写真は、まさにこれを外していない。
貧しさから米兵に身をまかせてコザに流されてきた彼女らが、「依存」という言葉に封じ込めるとするならば、まさに人間への冒涜と勦(いたわ)ることになる。
部落解放運動の中に「水平社宣言」がある。

「人間を冒瀆してはならない。
人間を勦る事が何んであるかよく知っている。
吾々には、心から人生の熱と光を願求礼賛するものである。」(西光万吉草案)

この宣言が沖縄につながっていることに気付くであろうか。
豊里君はここ10年間に渡って近年、沖縄靖国裁判にも同行してきた。
靖国は天皇制と国家権力との闘いであった。
つまり「依存」と「自立」は、この国に抵抗することによって見えてきた光であった。
そのベースに「影」があったことを見失ってはならない。

豊里君は文学的才能もそなえたカメラマンである。
時折、「依存」は絶望の顔を見せるが抵抗の遺伝子を産み進化する。
「依存」、「自立」、「自決権」、さらに独立への通過点に豊里友行君のような若者がいることを誇りに思う。
泣くなよ。ウチナー。

 彫刻家 金城実  2012年4月


沖縄画廊で5月11日(金)から20日(日)まで
「白い地図」豊里友行展開催!
(14日は休み)。
初日5月11日(金)の午後7時から9時まで初の作家トークです。トーク後に オープニング・パーティーもありますので友人知人お誘いあわせでいらしてくださいますようお願い申し上げます。
画廊沖縄HP
http://www.galleryokinawa.com/



[ 2012/04/26 23:10 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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