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メディア・ウオッチング 「JR福知山脱線事故裁判について」:今西富幸

 本日の産経新聞朝刊に興味深い記事があった。「JR脱線あす7年 遺族アンケート」である。

 事故発生当時、私は産経新聞の神戸総局に勤務しており、あの日、NHKの一報をテレビで目にしたときの驚きはいまも忘れることができない。それはともかく、この事故で検察によって唯一起訴されたJR西日本の山崎正夫前社長はすでに、今年1月に無罪が確定している。事故から丸7年を迎える25日を前に産経は聞き取りなどで遺族アンケートを実施し、犠牲者37人の遺族合計47人から回答を得た。
 このなかでとくに目を引いたのが今回の刑事裁判を7割の遺族が「期待はずれだった」と考えていることが浮き彫りになったことだ。記事では事故で長男を亡くした母親(66)が「日本の法律では企業を裁くことができず、裁判自体が遺族の期待とかけ離れている。組織として刑事裁判を問うことができる法律に変えてほしい」とコメントしている。まさに事故の発生を事前に予想できたかという業務上過失致死傷罪の立証に不可欠な「予見可能性」のハードルがいかに高いかを如実に物語る感想といえるだろう。
 今年7月には検察が不起訴にし、検察審査会の2度にわたる「起訴相当」の議決によって強制起訴されたJR歴代3社長の刑事裁判が始まるが、事故当時の最高責任者だった山崎前社長が無罪となっているなかで、有罪立証は困難を極めることが予想される。
 強制起訴のシステムは、それまで法的拘束力のなかった検察審査会の議決に実効力を持たせたものだ。裁判員裁判の導入と同様、開かれた司法の実現に向けた市民の常識を検察の判断の是非にも反映させる狙いがあったことはいうまでもない。ただ、強制起訴による無罪が続く事態になれば、元来法律の素人に起訴か不起訴かの決定を委ねること自体がおかしかったのだという声が上がってくるのは必至だろう。26日には政治資金規正法違反事件で強制起訴された小沢一郎氏への判決が言い渡されるが、はやくも無罪というムードが支配的だ。
 しかし、私はそれでも検察審査会に実効力を持たせたこのシステムは維持すべきだと考える。たとえ法律の専門家とかけ離れていたとしても、そこに思いを委ねた市民の良識の方向性がわかるからであり、その判断は尊重されてしかるべきだと思うからだ。むろん、この意見には刑事被告人の人権擁護の観点から根強い異論があることは承知している。いまはもうしばらく、一連の強制起訴による裁判の結果を見守りたいと思う。
 
[ 2012/04/24 10:30 ] 今西富幸 | TB(-) | CM(-)


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