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在沖米軍 カーニバル を撮す;豊里友行

『LP』とは若手写真家のタイラジュン氏と松本太郎氏によって発行されている沖縄発写真雑誌で、筆者豊里友行が「カーニバル」と題して以下の内容の構成で、アメリカ合衆国の独立記念日を祝うフェスティバル「AMERICAFEST」、沖縄では通称「カーニバル」と呼び、一般開放される。その模様を撮影した〈インタビュー〉としてシリーズ「復帰40年」を問うで、写真家の想いを聴き、山城博明さんの話や、〈写真〉では
○タイラジュンさん「ハナレジマ」
○小栗寿一さん「風の行方 2010年 砂辺」
○松本太郎さん「e-gram 電子的フォトグラムの試みとして」など。以下は写真集のあとがきを転載する。



 アメリカ合衆国の独立記念日を祝うフェスティバル「AMERICAFEST」。
沖縄では通称「カーニバル」と呼び、一般開放される。
一九九九年七月四日、そのカーニバルに参加するため、私は嘉手納基地へ入る。
ゲート前で入場車両を軍用犬と米兵がチェックしている。
嘉手納基地のゲートに入り、カーニバル会場まで送迎するシャトルバスの車中に乗り込む。
嘉手納カーニバルの会場には、戦闘機やパトリオットなど極東最大の軍事兵器が並ぶ。
家族連れの親子らがにこやかに戦闘機の前で写真撮影をする。
戦闘機や戦闘ヘリに搭乗するために参加者たちが列をなす。
和やかな祭りの雰囲気にピザ屋さんや国際色あふれる食事の屋台が並ぶ。
ゲームの屋台も多く並ぶ。
戦闘機や輸送ヘリなどが並び、ライブバンドや子どもたちの乗り物があり、子どもたちにとってお祭り気分を満喫できる遊園地のようだ。
そのお祭り感覚で戦闘機や軍事兵器に触れるウチナーンチュ(沖縄の人)や日本本土の観光客、米軍属関連の人々に私は違和感を覚える。
戦闘機の爆音や戦闘機堕落事故などの恐怖を抱え、日々苦しむ沖縄住民の心情などこの空間で想像されないようだ。
基地の機能はここではまったく感じられていないようだ。
兵士の持つ銃は人間を撃つための武器だ。
銃の引き金に力を入れると銃口から飛び出す弾は、人間の生命を奪う。
カーニバルにおいて米兵ではない老若男女の一般人が、そういった弾の抜かれた兵器に触れる行為にどんな意味があるだろうか。

映画館や殺戮ゲームのように実際に自らが血を流すことがないために戦闘機など軍事兵器が人間を殺すための性質のモノであることを意識から除外しているのではないか。
軍事兵器は意思を持たない。
あるのは人を殺す機能であり、性質。
それら軍事兵器を使う人間を育てる環境に私たちは、最大限注意をはらうべきである。
軍隊や軍事基地を無くすためには、沖縄だけでなく日本国民全体の絶え間ない努力が必要だ。
カーニバルで日本人の家族も米兵(アメリカ人)の家族も銃を持ち記念撮影をする。
その行為は「愛」を育む大切な時間の記念写真であるが、そこに軍隊や軍事兵器の機能する意味を受け入れさせていくような場を設けさせてしまう。

私たち一人一人が想像力の翼を持ち、現実を視る力をつける必要がある。
 アメリカ人も日本人も入り乱れて踊るカーニバル会場の夜の帳でアメリカを讃歌する曲に盛り上がり、群集は歓喜の渦になる。
黒人が上半身裸で汗だくになって踊る。
踊る人々の中にアメリカ人としての誇りに高揚していくのを感じた。
私は、戦争し続けるアメリカと言う国家の素顔を垣間見た気がした。
そこには他国を侵略しているという良心の呵責はないだろう。
サンフランシスコ平和条約が発効し、米国の沖縄統治が合法化された一九五二年四月二八日からアメリカ統制下の苦渋をなめながらも一九七二年五月一五日の祖国本土への復帰をする。
しかし米軍基地の重圧は今なお沖縄の民を苦しめ続ける。

日本全体の在日米軍基地の七四%も密集する沖縄においても日本とアメリカによる二重植民地支配の構造から独立し、真の平和な沖縄を獲得できることを切に願う。
この私の視た「カーニバル」は、戦争の放棄を謳う平和憲法のある日本国、その一都道府県になった沖縄の苦難の歴史、戦争を正当化し続けるアメリカの三つの混じりあうカオスを孕む。
 この「カーニバル」感覚は、米軍基地のある沖縄の日常にも浸透していると私は感じている。
米軍基地のある市町村によっては、日米親善の交流のお祭りが開催し、米軍属の関係者たちも市街地に氾濫する。
米軍属関連のアメリカ人も沖縄で生まれ育つ。
米兵のアメリカ人と沖縄の女性が一緒になる。
米軍基地の軍雇用員を希望する人たちも多くて公務員に次ぐ人気。

「ウチナーンチュをあれだけ殺した戦争が嫌いだから米兵も嫌いだ」というAサインバーのマスターも米軍基地がある街で生きている。
米軍の犯罪・事件・事故は後を絶たず、地位協定改定の前に多くの被害者たちが泣き寝入りする。
ベトナム戦争やイラク戦争などアメリカの戦争に加担する在沖米軍基地。
お祭り気分でカーニバルに参加し、日常に氾濫していくカーニバル感覚の中で私たちは、沖縄戦で「ヌチドゥタカラ(命こそ宝)」の教訓を噛み締めた沖縄の平和希求の心を忘れていないか。
沖縄戦から六七年を経て、沖縄の人々の意識も米軍基地との関係性も複雑で多様になっている。
米軍基地があることによって生じるウチナーンチュの心の葛藤をどうやって解消するか。

沖縄の本土復帰四〇年目の節目である今こそ、私たちは、アメリカや日本、そして沖縄の生き方を見つめ直すべき時期にあるのではないだろうか。

(『LP』18号掲載豊里友行あとがき より)






LP#18
発行 photogenic person’s peace
発行日 2012年3月3日
限定500部
ISBNコードなし
定価(税込) 750 円
86ページ・B5
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こちらから直接ご購入いただけると助かります。
http://photogeniclp.seesaa.net/article/226376843.htm

[ 2012/04/08 16:01 ] 豊里友行 | TB(-) | CM(-)


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