ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト

ジャーナリストの取材記事、論考などそ掲載するブログ
ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト TOP  >  スポンサー広告 >  片山通夫 >  コラム風「飯館村で除染を考える」:片山通夫

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

コラム風「飯館村で除染を考える」:片山通夫

里山と田んぼ_飯館村
 先日、春まだ浅き・・というより、まだまだ寒い福島県飯舘村を訪れた。3・11以降3回目の訪問だった。今回はほかに仙台で所用があって、十分な時間が取れなかったが駆け足で回った。(写真は雪の残る田んぼ・飯舘村)



 田んぼと里山(写真は飯舘村の里山に隣接する田んぼ)
「春まだ浅き」とはいえ、村を囲むようにある里山は雪が所々に残っているだけだった。その里山から流れ出た雪解け水は、田んぼに流れ込んでいた。流れ込んだ水は田んぼを見たし、一部では白く凍っているのが見える。
原発事故前まではおそらく青々とした田んぼが、夏には広がっていたはずだ。その田んぼは一年前から、いや一昨年の秋の収穫以来、人が足を踏み入れた形跡はない。

 政府は「除染をする」という。除染とは、原発事故で降りかかった放射能を取り除くことを言うそうだ。飯館村は今、村が二分に分かれているという話を聞いた。「帰村派」と「集団移住派」の二分である。菅野村長は「(事故当時)村民の避難指示を出さなかった」とか「除染一辺倒だ」という非難にさらされている。昨年5月に筆者が訪れた時は、「二年で帰る」と言明していたことは事実だ。また9月に訪れた時、村役場の課長は「村長はそのように言っているが、出来るかな?これは村長に直接聞いてみてください」と苦り切っていた。
はたして政府が言うように、あの広大な村(里山も含めて)を除染できるのか、筆者のような素人でも疑問に思われる。

ちなみに飯舘村の面積など基礎データをあげてみる。
総面積230.13平方キロメートルというから沖縄県石垣島とほぼ同じだ。またその75%を山林が占める。人口(推計)5963人(今年2月現在)。計画的避難区域が指定され村内には200人程度(特別養護老人ホームなど)しか住んでいない。

牛の放牧(放牧場・飯舘村)
筆者は素人だがそれなりに見えることがある。飯舘村はその75%が山林である。その山林から流れ出る水が、農業や酪農に使われているわけだ。
東電福島原発がまき散らした放射能は飯舘村の山林にも当然降りそそいだ。広大な面積である。その山林から流れ出る水が汚染されていないと誰が保証できるのか。

はたして山林や田畑の除染は可能か?この問いに答えてくれる明確な理論は残念ながら今の時点ではないようだ。京都大学の小出助教授は「除染ではなくそれは移染だ」と言われている。筆者もそう思う。学校のグランドの土の表面をはぎ取ったとしても、はぎ取った土は汚染されたまま地中深く埋めるだけだ。汚染された採石場の石を建設資材として使ったケースで簡単に理解できる。採石場の石に含まれる放射能が、マンションの床や壁に移動しただけの話である。

はたして(おそらく)莫大な費用をかけて「除染」する必要性があるのか、費用対効果の観点からみても疑問が残る。除染に2兆円という予算を組むとか言われている。そして被災地の雇用を錦の御旗にこの事業に原発を作ったゼネコンが群がっていると聞く。

次に問題になるのが除染した汚染土などをどこへ持ってゆくのかという問題である。政府は「仮置き場」を作る計画だ。福島県川内村は「仮置場の設計施工及び除染廃棄物収納作業管理業務委託に係る企画書の提出について」という企画書の募集を始めた。
つまり、汚染土の仮置きにしても、今のところ、決め手というものがないのが現状である。結局のところ、すでに「汚染されて帰還困難な地域」が選ばれるしかない。当該地域にしてみれば2重3重の苦難である。
飯舘村役場線量計(村役場の前に設置された線量計は0.72マイクロシーベルトとあった)

さて飯館村だが、村内の国有林(約30ha)を使って除染モデル事業が行われている。政府の説明では「仮置き場」だそうだが、最終処分地はまだ決まっていない。村の試算では今後5年間で2700ha近くの田畑や宅地の除染が必要で、約140万立方メートルの汚染土が排出される。先に述べたように75%を占める森林の除染と合わせて約3224億円の費用がかかると見込まれている。

菅野村長の考えに対する批判が先に述べたように村民の間から湧き出ている。「帰村か移住か」である。軽々しくは言えないが、筆者の考えを述べる。試算だろうが3224億円の費用が見込まれる「除染と仮置き場」をみると、そのような場所を国で見つけて「集団移住」を速めたほうがいいのではないかと思う。村長を中心とした行政の考えもわからないではないが、放射能汚染と隣り合わせの生活を村民に強いるより、1889年に起きた水害で奈良県十津川村の被災民が北海道に入植した例をあげるまでもなく、新天地で出直したほうがはるかに「安心・安全の生活」をおくれるのではないだろうか。
ちなみに十津川村からの移住者は600世帯、2489人だったと言われている。

ノーベル物理学賞受賞者の江崎玲於奈氏は週刊ポストの取材に応じて「放射線量が非常に高い土地を完全に除染するとなると全国で1兆円を超えるお金がかかるといわれています。巨費を投じて除染をし、ふたたびその地に暮らせるようにすることもひとつの選択肢ですが、その費用を被災者に渡し、新しい土地で生活を始めるための資金として活用させる道を考えてもいいのではないでしょうか」と述べた。
筆者も同感である。

 毎日新聞3月29日朝刊にこんな記事が載った。付け加えておきたい。
「福島第1原発事故 飯舘のヤマメ、1万8700ベクレルのセシウム検出」


参考

広野町除染VTR 撮影:渡辺幸重さん
http://www.youtube.com/user/daraku02?feature=watch

福島県飯館村村長、菅野典雄村長インタビュー「全面避難を訴える人に問い質したい。そんな簡単に、ふるさとを諦めていいのですか」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120321-00000303-playboyz-soci

マンション砕石汚染ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120120/dst12012019280019-n1.htm

川内村
http://shinsai.kawauchimura.jp/?p=1259

新十津川町
http://www.town.shintotsukawa.lg.jp/index.jsp
[ 2012/03/31 10:00 ] 片山通夫 | TB(-) | CM(-)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。