ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト

ジャーナリストの取材記事、論考などそ掲載するブログ
ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト TOP  >  スポンサー広告 >  寄稿 >  夜間中学その日その日 (229):   守口夜間中学  白井善吾

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

夜間中学その日その日 (229):   守口夜間中学  白井善吾

JICA「成人識字研修」IN守口
2012年は「国連識字10年」の総括年である。
3月6日(火曜日)、守口夜間中学に外国から訪問があった。パキスタン、アフガニスタン、ラオス、ウガンダ、タイから5人の方だ。タイでの研修を終え、2月26日から3月17日まで21日間の日程で、JICA「成人識字研修」で来日されている。


5名の方は、いずれも各国の教育省で識字教育推進の担当者である。夜間中学以外に大阪の識字教室、とよなか国際交流協会、川西市、箕面市の小学校、などを訪問、成人基礎教育について研修にとりくまれる。
この日、午後2時から8時過ぎまで、昼の中学校の授業参観の後、夜間中学で研究会、授業参観と夜間中学生との交流会を実施した。
研究会では夜間中学の歴史とあゆみ、夜間中学で実践している学びについて報告、3人の夜間中学生が「夜間中学にたどり着くまでの人生」「夜間中学で学んで気がついたこと」「学ぶ喜び」「いま、夜間中学生がとりくんでいること」を発表した。数学、日本語、理科の授業参観(60分)。
その後、夜間中学生との交流(90分)を行なった。
まず、夜間中学生に質問があった。
「なぜ夜間中学に来るようになったのか?」
―戦争で学徒動員、疎開、終戦後家の手伝いで学べなかった。55年間左官の仕事をやってきた。71歳のとき、学びたいという想いを実現するため、夜間中学に入学した。
「夜間中学の学びが続けられるのは、なぜ?」
―学ぶ喜びと仲間の支えあいだ。
「夜間中学に来るようになって、かわったこと?」
―夜間中学に来る前は病気がちであった。生徒会や仲間、先生に支えられ自立できた。周りの人たちに、夜間中学に通っていると素直に言えるようになった。
各国の様子を持参した映像で紹介があった。制服を着ることが決まりとなっている。地域の人たちを学校に招いて技術を学ぶ学習をおこなっている(タイ)。成人が学んでいる識字学級(ウガンダ)。オレンジ色の袈裟をつけた托鉢僧に食べ物を渡している。制服を来て学んでいる小学生(ラオス)。遠足に出かけている小学生。街中のマーケットの様子(アフガニスタン)。手作業でつくった、靴を売る店。イスラム教の経典や、本を読んでいる子どもたち(パキスタン)。

夜間中学生が質問をおこなった。
「私は夜間中学で学べることが喜びです。皆さんの国には、夜間中学がありますか?」
―「夜間学校はありますが、守口の夜間中学のような形ではありません。夜の時間ですが、学校ではなく、先生の自宅へ行って2時間ほど学んでいます」(パキスタン)。「夜間中学はありません。戦争があり、日本の様子とは違います」(アフガニスタン)。「夜間学級あることはあるが、日本とは異なる。夜は成人向けの識字学級があります。2年間学ぶと小学校卒の証明書が出る。15歳から40歳の人が、よりよい仕事に就くため、学んでいる」(ラオス)。「夜間中学はあるが週2回、4~5時間、レベルに分けず、みんないっしょに学んでいる」(ウガンダ)。「社会教育で行なわれています。週末におこなわれ、1回3時間です」(タイ)。

訪れた感想を次のように語った。
「夜間中学の授業は新聞、ブロックなどいろんな教材を使って様々な教え方がされていた。こんな夜間中学は日本だけではないか。よい印象を受けた」
「夜間中学を見て驚いたことは若い人、若くはない人が共通の学びをされている。教室を離れた活動もされている。ラオスに持ち帰って広めていきたい」
「先生と学生が交流。みなさんとても仲良く、息が合っている。これを続けていってください」
「みなさんが支えあって学んでいる。みなさんも言っておられましたが、年がいっても学び続けることが大切なんだ、一生勉強なんだ。そんな想いを新たにしました」

交流会の最後、生徒会長は次のように挨拶をおこなった。
「みなさん、今日は守口夜間中学に来てくださってありがとうございました。この会場を取り囲んでいるのは私たちの共同作品です。正面は藍染の共同作品「守口夜間中学あいうえお歌」です。蝋を落とし、藍色の布に浮びあがった白い文字を見たときの感動は、やっとの思いで文字が書けたときの喜びと同じでした。夜間中学の学習で私たち夜間中学生が大切にしている文字を染め上げた、藍染のハンカチをつくりました。来校の記念にお持ち帰りください。皆さんの研修が無事終えられ、それぞれの国でご活躍ください。私たちも夜間中学で学んだことを、社会活動に生かしていくように、がんばります」
このように、6時間に及ぶこの日の行事を終えた。通訳を介し、英語・日本語・中国語の言語が飛び交う、交流であった。
「時間が短かった。もっともっと話したかった。聞きたかった」と夜間中学生は次のような感想を語っている。「“日本には夜間中学校があってすばらしい”ではなくて、どうして夜間中学生がいるのかを知ってほしい。いろいろな理由はあると思うが、その根っこは戦争が原因になっていることを知ってほしい。アフガニスタンから来られた方にお聞きしたかった。今でもお国では戦争が続いている。そして、13歳や15歳の子どもたちが銃を持って戦っていること、この子どもたちに学問は何を教えているのか、また将来はどんな教育をしていくのか。戦争によってたくさんの未就学者が増えてくることを、どのように思っておられるのかを知りたかった」
夜間中学に改めて世界の識字に眼を開かせる意義ある国際交流となった。
[ 2012/03/15 08:59 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。