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日曜新聞書評欄簡単レビュー:三室 勇

3.11から1年が経つ。各紙で取り上げている本に3.11、原発事故がらみの本はあまりみられない。しかし、書店を覗くと、この1年を検証するような新刊本が並んでいる。
今週も日曜日恒例の新聞書評欄から。


毎日――
大石久和『国土と日本人 災害大国の生き方』(中公新書、882円)、20行の短評。著者は、東大を出て、建設省に入り、国土交通省技監をつとめた人物である。『国土学再考』(毎日新聞社、2009)といった著書もある。著者は、日本人の特徴として、米国のキッシンジャーが指摘しているように、長期的視野、全体的な視点から考えられない弱さがあることに同意している。なぜそうなったか。それは都市に城壁をつくらずこられた歴史があるからだ。西洋、中国いずれも城壁をめぐらし、戦闘による大量死を防いできた。大量死を人為と考えていたからだ。日本では大量死は自然災害と一体と考えてきた。だから大量死は自然死であり、防ぐことなど考えず、ただ無情、無常と考え、忘却してきたのではなかろうか。では、3.11をどう考えるか。この本はそうした視点で読むと面白いと思った。

F・ルノワール『人類の宗教の歴史』(トランスビュー、3360円)、評者・養老孟司。
副題に「9大潮流の誕生・本質・将来」とついている。9大潮流とは、中国叡智(儒教、道教)、ヒンドゥー教、仏教、ギリシャの叡智(ギリシャ哲学)、ゾロアスター教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、伝統的アニミズムをさす。第一部では宗教の起源が語られ、第二部では9大潮流が解説されるといった構成のようだ。評者は、後半で「人は自分自身を自然と身体から切り離し、すべてに回答を与える、単なる脳になってしまっていることに気づいていない。しかもそれが全世界に幸福をもたらすと信じている。それはほとんど現代のマンガだ。著者はそう語っている」と書き、その考えに自分と似たようなことを考えている人がいるものだと同意している。いくら科学がさまざまなことを解明したところで、人が生きることの謎は消えることはなく、本書が宗教の未来をどう描いているのか知りたいところだ。

日経――
ロナルド・H・フリツッシェ『捏造される歴史』(原書房、2800円)、評者・池上俊一。
評者は次のように本書を紹介する。「本書は捏造される歴史そして似而非科学を論じているが、それだけではない。それらがいかなる意図と欲望によって作られるのか、根絶しようとしてもかならず息を吹く返し再生産されるのはなぜか、その絡繰りを解明しようとしている話題作である」。たとえば卑近すぎるが、オセロの中島知子と占い師の関係なども洗脳がどう行われたか今大きな関心を呼んでいる。オウム事件で散々洗脳の話を聞いたはずだが、また同様なことが起こるわけだ。繰り返される似非事件というわけだ。この本で扱うのは、「アトランティス大陸」とか「古代アメリカ大陸の発見と定住」「天地創造説のなかの人種差別」「『黒いアテナ』論争」などである。これらのことはおもしろおかしく娯楽として消費されることもある。しかし政治利用され、人種差別や宗教の狂信につながることもある。捏造をもとめるてやまない背景を批判的に検証する本のようだ。

朝日――
ナオミ・オレスケス、エリック・M・コンウェイ『世界を騙しつづける科学者たち 上下』(楽工社、上下各1995円)、評者・福岡伸一。本書のオビのキャッチコピーは「米国の中枢からニセ情報をバラまく「御用学者」の実態!」と過激だ。評者は、DDTの例を紹介する。DDTは奇跡の化学物質にみえた。しかし、昆虫などの細胞内に残留し、食物連鎖で濃縮され、鳥がさえずらなくなった。1960年代にレーチェル・カーソンが「沈黙の春」を書いて警告し、環境問題が大きな話題となっていく中で、危険なものとされ使われなくなった。しかし、いまカーソンは非難を浴びているという。カーソンの主張でDDTが禁止されたせいで、アフリカではマラリアによる死者が何百万人と出た。人間の命より環境のほうが大事というのは誤りだという批判である。本書ではこうした批判の隠された意図を暴いていく。たとえばDDT禁止といった政府の規制が誤りであったと人々に思い込ませることで、「規制=悪」をすり込もうとしている。こうした規制に対する懐疑論を声高に述べる「懐疑の売人」が横行してる。ナオミ・オレスケスは地球温暖化否定論者に対して「象牙の塔を超えて」を科学雑誌「サイエンス」に書いて闘いの狼煙をあげた人物のようだ。日本でも水俣病事件、今度の福島第1原発事故でも「懐疑の売人」=御用学者たちが多くの人たちを惑わせている。評者は、カーソンを意図を持って非難することは、科学的に間違っているばかりでなく、悪意に満ち、醜い行いだと述べていた。
[ 2012/03/04 12:56 ] 三室勇 | TB(-) | CM(-)


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