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メディアウオッチング 「山口県光市母子殺害事件判決について」:今西富幸

 山口県光市母子殺害事件の死刑判決が確定することになった。事件発生から実に13年の歳月を重ねた末の結論である。

 被告が犯行当時、18歳の未成年だったことを最大限考慮したとしても、犯行の残虐性が極刑回避の判断を凌駕したということだろう。これまでの死刑適用のものさしといわれたいわゆる「永山基準」を覆す判例となり、少年事件の今後の審理に重大な影響を与えることになる。加えて犯罪被害者をめぐるわが国の処遇の冷徹さにも、この事件は一石を投じたが、今回はこれらの論点にはこれ以上踏み込まず、加害少年をマスメディアがどう報じたかに絞って書いてみたい。
 まず、新聞の判断は大きく分かれた。被告の氏名と顔写真を掲載したのは産経と読売。「更生の機会が失われた」(産経)、「更生の機会が失われた。また、国家に命を奪われる対象者の情報は明らかにすべき」(読売)というのが両紙の報道理由だ。朝日は「国家に命を奪われる対象者は明らかにすべき」という理由から実名は公表したが、顔写真の掲載は見送った。一方、毎日はこれまでの匿名報道を維持した。その理由は「少年法の理念を尊重すべき。今後恩赦の可能性もある」というもの。それぞれの判断に各紙のスタンスが明確に表れているが、なかでも毎日の判断は英断であったと思う。おそらく編集会議で議論を重ねた末の苦渋の結果がうかがえる。放送メディアがテレビ大阪を除き、実名、顔写真ともリアルタイムで公開しているなかで新聞1紙だけが匿名報道する必然性はもはや失われてしまっているからだ。だが必然性は失われても、この判断の意味合いは残るはずだ。その価値は決して小さいものではないと思うのである。
 確かに「更生の機会が失われた」「国家に命を奪われる対象者の情報を明らかにすべき」という理由ともにそれぞれ対局の意味合いで頷けるものがある。ただ、この結論の背後に「いずれにしても死刑判決が確定するのだから」という横並びの逃げ腰の姿勢を感じてしまうのは私だけだろうか。もちろん、これは誤解なきよう申し上げておくが、この事件に関して実名、顔写真報道とも私自身、妥当な判断だと考えたうえでの感想である。
 これ以上の論評は差し控えるが、最後に産経に掲載された井垣康弘弁護士のコメントを紹介しておきたい。井垣弁護士は神戸連続児童殺傷事件の少年審判を担当し、それまで非公開が原則だった審判の決定要旨を加害少年の生育歴も含めて公開に踏み切った最初の裁判官である。
 「死刑は少年法の原則保護主義の枠をはるかに超えたいわば『想定外』のケース。元少年に死刑が求刑された段階で、報道機関は死刑にすべきかどうか社会に判断材料を提供すべく、実名・顔写真も含め元少年に関する全情報を収集し公開すべきだった」
[ 2012/02/28 08:33 ] 今西富幸 | TB(-) | CM(-)


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