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夜間中学その日その日 (226):   守口夜間中学  白井善吾

夜間中学の学びの普遍性は?
今文部科学省が求めている、義務制の学校の授業は全知全能の神がやっても恐らく、できっこない。そんな印象を持った。1時間の授業の中で、40人の子どもの「関心・意欲・態度」、「観察・実験の技能」、「科学的な思考・表現」、「知識・理解」の観点別評価をやりながら、授業を進めていくことを要求されているという。その指導案を見ただけで、頭の固くなった私には、反抗心がめらめらと湧き上がる。


これとは対極の授業は夜間中学の私の展開だ。今社会で起こっている出来事をどのように考え、今学習していくことがこの出来事と、どのようにつながっているかをみんなで考えながら学習を展開している。2011年におこなった授業を例に述べてみよう。
これは理科の学習内容の一部である。
① 十干十二支。十二支は私たちの生活の中に生きている。方角、時間、年を表すことにも用いる。新暦と旧暦(農暦)。節分は年に4回ある。唱歌「夏は来ぬ」。月と私たちの生活、月の動き方の観察。立待ち月、居待ち月、寝待月の意味。中秋の名月。「傷痕照らす中秋の名月」この歌の意味。天体望遠鏡で木星・金星・月を見る。
 ② 地震と津波。河田恵昭:「百年後の故郷を守る」(小学5年生の教材)。一泊学習訪問先(和歌山県有田郡広川町)、事前学習。濱口梧陵。「稲村の火」の紙芝居を朗読。3・11震災で民宿の建物に打ち上げられた漁船。 
③ 原発事故を考える。日本の原子力発電所。原子力発電利用への賛否。7カ国(日米仏露韓独中)の世論調査。新聞報道「子どもたちの声を政府に届けよう」。「ぼくのおとうさんは東電の社員です」。でんき予報の意味。長崎原爆の日、被爆国に放射能の恐怖なぜ? 脱原発運動に立ち上がろう。私たちにできること。募金活動・署名活動。浜岡原発をどうして止めるのだろう。
④ なぜ原子力発電は怖いのか? ジャガイモの実と種。籾・玄米・白米、二期作と二毛作、田植え、陸稲。稲わらの活用。放射能の行方、なくならない。半減期。生物濃縮、外部被爆と内部被爆、DNAに与える影響。
⑤ 福井の原発と大阪の距離?150km。そうではありません。25km。琵琶湖水系を経て大阪に。

こんな展開ですすめていくと、高知出身のAさんは、どんな話をするであろう?と予想し、授業を始めるがその通りいった例(ためし)はない。予想外の展開になるのがほとんどだ。
「月と私たちの生活」をおこなったとき、「朝星、夜星で仕事をしていました」「月夜は嫌いです。満月の夜、月の明かりを頼りに、稲を刈っていました。はたらく時間が長くなるからです」60年前の出来事を口々に話し始めた。
「稲村の火」の紙芝居のときもそうだ。すぐにはすすめなかった。「お金が払えず、紙芝居が見ることができなかった」「建物の陰に隠れて、紙芝居を見ていた」「紙芝居屋の読み方がとても巧かった。学校の先生も太刀打ちできない」幼い頃の思い出が次々出てきた。そこで、みんなが紙芝居をすることになった。夜間中学生と共に作り上げていった学びということになる。
「私らえらいことをしてしまった。子や孫に顔向けできない」「安全や、安全や、の話ばかり」「玄海原発へのヤラセ質問」「原子力関連会社から8500万円の寄付をもらっていた原子力安全委員会の委員」「次から次にびっくりするような、話ばっかし」「日本はそんなことのない国やとおもっていました」「たくさん勉強した人がこんなおかしなことをするんやたら、勉強してない人のほうが、よっぽど賢い。勉強すればするほど、バカになっていく」、痛烈な夜間中学生の意見が続く。こんなとき、文科省の求める授業の進行は意味をなさない。この議論の中から、学び取っていくものが多いと考える。それが昼の義務制の学校でも追及すべきだとの思いが強い。
観点別の評価を行いながら、授業を進めることに目が向き、せっかく、すばらしい子どもたちの意見が出ても、取り入れることをせずに、授業を進めてしまう。死んだ授業になってしまうと私は考える。

ところが、最近見せてもらった、小学6年生の人権総合学習はそうではなかった。この学習の教科書はない、授業の組み立てから、展開、活動と教員の創意工夫とすべて手作りである。何よりも、子どもたちの反応から、修正を加え、次の展開を考えて行くことになる。子どもたちはその活動の中で、生き生きしていた。
夜間中学を訪問し、夜間中学の学習を体験し、夜間中学生がつくった共同作品の構成詩に触発され、子どもたちが自分たちの学びの詩を創作していく展開だ。学年全体で取り組まれていることもすごい。
子どもたちはどんな詩をつくっているのだろう。まもなくできあがるはずだ。


[ 2012/02/23 09:45 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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