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沖縄防衛局長発言に何を読みとるか:渡辺幸重

 政府が普天間基地の移設予定先としている辺野古地区の環境評価書(環境アセスメント)を年内にも出そうとしている問題で、防衛大臣が提出時期を明言しないことを解説して、沖縄防衛局長が「犯すときに『これから犯しますよ』と言うか」と発言したとして更迭された。表現に品性がなく、政府機関に人権意識がないことが暴露されたが、同時に私たちは、普天間問題を政府、防衛省が、私たちの見えないところで何をし、何を考えているのか、読みとらなければならない。

なぜ、『基地のない、平和な島』はありえない、のか

 田中聡・前沖縄防衛局長は11月28日夜、非公式の記者懇談会で、沖縄戦についての「沖縄は66年前の戦争で軍がいたのに被害を受けた」という指摘に対して次のように語ったという(時事通信)。

 「400年前の薩摩藩の侵攻のときは、琉球に軍がいなかったから攻められた。『基地のない、平和な島』はありえない。沖縄が弱いからだ。」

 この発言は、二重三重の意味で、まったく見当はずれの考えと言わざるをえない。
 まず「力には力を」という考え方は冷戦構造下の軍拡時代のものであり、時代錯誤でしかない。いまはそんな単純なものではない。
 島は軍事力で守らなければならない、そのためには米軍や自衛隊の基地が必要だと言うのだろうか。しかし、沖縄戦では、押し寄せる米軍を前に、日本軍は沖縄住民を前線に残して撤退したではないか。満州では関東軍が住民を犠牲にして逃げた。軍は住民を守るものではないのだ。
 では、自分たちで武装して自衛しろ、というのか。そうであれば、薩摩軍や米軍に勝つ武装を持たなければならなかった。もし、そうしていたら、交易国家琉球の繁栄はなかっただろう。

普天間移設問題にどう取り組むのか、本心を語れ

 田中前沖縄防衛局長は次のようにも語っている。

 「政治家はわからないが、(防衛省の)審議官級の間では、来年度までに米軍普天間飛行場の移設問題で具体的進展がなければ辺野古移設はやめる話になっている。普天間は、何もなかったかのようにそのまま残る。」

 これはどういうことだろうか。
年内に環境評価書を出し、沖縄県知事に埋め立て許可を求める、そして、知事は3千億円のひもなし一括交付金と引き替えに移設賛成に転じる、というシナリオに活路を見いだそうとしているのだろう。
 さらに、政治家はそこまでしか言えないが、防衛省は、地元が賛成しないのであれば、普天間はそのままですよ、と脅しをかけているのだ。

 本来なら、日本政府は沖縄県民の願いを受け、強い意思をもってアメリカ政府に基地撤去を求めるべきなのである。それが逆に沖縄に恫喝をかけている。沖縄の米軍の存在は、沖縄県民を守るためではない。アメリカが中国に対抗し、その存在感を見せようということではないか。変わるべきはアメリカ政府であり、日本政府である。

 いま、アメリカは財政危機にあえぎ、大幅な軍事費削減をめぐってもめている。日本政府がアメリカに協力しようというなら、米軍のための思いやり予算を米軍撤退のために使うがよい。その方がよっぽど日本のためにもアメリカのためにもなるだろう。
 
 防衛省および首相は、普天間問題をどうしようとしているのか、本心で語らなければならない。
[ 2011/11/30 20:59 ] 渡辺幸重 | TB(-) | CM(-)