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日曜新聞読書欄簡単レビュー:川瀬俊治

 朝日はN・Dクリストフ、S・ウーダン『ハーフ・ザ・スカイ』(英治出版、1995円)、D・バットストーン『告発・現代の人身売買』(朝日新聞出版、2625円)を紹介している。評者久保文明。現代も実は奴隷制があるという告発であり、読んだものは頷かざるを得ない。前書はこれまで第3世界での強制売春を告発してきたジャーナリスト。性産業で奴隷状態にある人は300万人に上ると書き、後書は大学人で3000万人の奴隷状態にある子ども、助成がいると書く。両著者とも救出活動も行っている。本の話とは少し外れるが売春せざるをえない女性を立ち直らせる社会活動をする市民運動が韓国にある。これは女性解放運動としては先鋭的かつ先駆的なものだ。両書でどのような救出活動が行われているかを知りたい。



  評者に絶賛された小説が朝日に紹介されている。評者は鴻巣友季子。作品は芥川賞を受けた朝吹真理子の2作品『きことわ』(新潮社、1260円)、『流跡』(同、1365円)だ。評者は「読者は自分の記憶の最古層を揺り動かされる」と書く。5億数千年前から続く生命の時間の壮大さを一瞬にして身の内に感じるとも。『きことわ』は子どものころ葉山の別荘でともに夏をすごした「貴子」が「永遠子(とわこ)」と25年して再会するそれだけの話。『流跡』は本を読み進められない人物がでてきて、くにゃくにゃした身体が現れる物語。「ポストモダン以降の自己言及的な結構をもつ現代的スタイルと、実に古代的な語りが共存している」と評者は指摘する。内田百門(門構えに月)『冥土』、ボルヘス「円環の廃墟」、タブッキ『夢のなかの夢』の作品を彷彿とさせる夢の数々とも書き、奇跡のような時間のトンネルを何度も読者はくぐるだろうと付す。日経でも『きときわ』が書評されている。融通無碍な時の流れが作品の言葉を豊かにうるおすと評者野崎歓は書く。すばらしい文体とここでも絶賛されている。「文体を支えるのは、天候によって変わる『白湯』の甘ささえ味わい分けるような、こまや細かな感性」というふ。どんな感性なのか。読みたい
[ 2011/01/30 11:38 ] 川瀬俊治 | TB(-) | CM(-)