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 夜間中学その日その日 (375)    白井 善吾

まず「1県1校」実現を 夜間中学
 毎日新聞社説に上記の見出しで夜間中学の記事が掲載された。(2014.10.07)夜間中学生や卒業生の、自分たちの保障を求めるだけでなく、全国の義務教育未修了になっている仲間に、夜間中学を届けるんだ、との願いが夜間中学関係者を突き動かし、理解者を増やし、「夜間中学等義務教育拡充議員連盟」の発足を生み、国会内の集会で夜間中学生が意見を述べるなど世論形成につながった。

これらを受け、文部科学省は来年度の概算要求に夜間中学関連の予算を4400万計上するなど、動きが出てきた。これらを受けた毎日新聞の社説であると考える。
 大阪市立生野第2中学に夕間学級が誕生して67年、全国夜間中学校研究会が発足して60年を要したことになる。この動きが、夜間中学生、関係者の想いが届く大きな一歩になればと強く思う。

夜間中学関係者間では常識であるが、教育関係者ですらそうでないことの一つに、夜間中学に入学する人たちは小学校を卒業した人たちだけではないということがある。
「中学校だから小学校を卒業してない人は入学できません」「中学校は3年間です」「昼の子どもたちが使っている中学校の教科書で授業をしてください」「就学援助制度は15歳(学齢)を超えた人には適用されません」等をはじめとして、この“常識”との闘いがあった。
夜間中学のこれまでの歩みでは戦後の教育法規の中に「夜間中学」「夜間学級」の文言がない中で、ひとつひとつ足場を築きながら歩みを進めてきたということができる。夜間中学のことを指して「谷間の学校」、「あってはならない学校、しかしなくてはならない学校」といわれてきた。
また「社会を映す鏡」といわれることがある。発足当初は、昼働き夜学ぶ、学齢の子どのたちが多くを占めていた。時代が進むとそれが学齢超過者、在日朝鮮人、引揚帰国者、不登校の子どもたち、新しく日本に住むようになった人たちと、社会の動きを反映して学ぶ人たちの層は変化、多様化してきている。また実質的に義務教育を終えることのできなかったいわゆる「形式卒業者」の入学、就学猶予、免除の扱いを受けた人たちの入学についても大きな議論があった。
憲法に明記してある「学習権」の保障を求め、市民による夜間中学開設運動がとりくまれていることも特徴だ。全国31校の夜間中学のうち、18校が市民運動により開設された学校だ。その内7校は自主夜間中学の活動をとりくみ、公立化を実現した。
夜間中学は学齢時義務教育を受けることのできなかった人たちに義務教育を保障している学校だというとらえ方は一面的だと私は考える。
夜間中学がいま存在することの意味はもう一つある。これが重要性を増していると考える。ひとことで言うなら「夜間中学は教育研究センターの役割を果たしている」といってもいいだろう。
夜間中学には歴史の生き証人が通ってこられている。日本が起こした戦争。これを実体験者として語れる人たちは今の学校現場にはいない。夜間中学生は自分史として語り、記している。夜間中学に来て夜間中学生の胸を借りれば、夜間中学生はそれに応えてくれる。
守口夜間中学では毎年、夜間中学を訪れる人たち(小中高校大学生、教員、PTA、社会人約800人)と夜間中学の授業を体験してもらい、交流集会をもち、意見交流を行っている。当事者はもちろん、その場に立ち会えた人は大きな影響を受けている。
夜間中学生の姿を通して「学ぶことの意味」を考えた来校者の受け取りとそれを聞いて考えた夜間中学の反応と相互作用はすぐれて、教育の研究施設・教育センターではないか。

そんな役割を果たしている夜間中学の存在意義について、社説には触れていただきたかった。
誤解を恐れずいうなら「夜間中学を開設すればもうかります」。国、文科省をはじめとする教育行政は夜間中学生の立ち上がりととりくみに応えるべきだ。

(資料)
社説: 夜間中学 まず「1県1校」実現を
毎日新聞 2014年10月07日 
何らかの事情で義務教育を終えられなかった人のための夜間中学を全国的に拡充しようという動きが出ている。これを推進しようという超党派の議員連盟が発足、最低でも各都道府県に1校開校する方向で次期通常国会に議員提案する構えだ
夜間中学、正式には「中学校夜間学級」は、戦後の混乱期に開設されたのが始まりだ。中学校の2部授業という位置づけで、学校教育法施行令に基づき設置されている。昨年9月現在で、大阪、東京、神奈川など8都府県に31校あり、約2100人が在籍しているが、潜在的な需要者は数十万人にのぼると見られ、開設のない自治体や自主運営グループなどから増設の陳情が多く出ている。
こういった流れを受けて4月には自民党から共産党までの国会議員49人が「夜間中学等義務教育拡充議員連盟」を作り、8月には全国夜間中学校研究会とシンポジウムを共催、5年間引きこもりの生徒が夜間中学にやっと自分の場所を見つけた体験談や、在日韓国人のおばあさんが字を書けるようになった喜びについて語り、拡充の必要性を訴えた。
一方で、夜間中学の現場も大きく変化している。定住ないし就労ビザ、家族ビザの外国人労働者やその子どもたちが利用するケースが急増しているのだ。例えば、都内のある夜間中学は、生徒数68人を国籍別にすると、ネパール36、中国11、フィリピン4、インド3、バングラデシュ、タイ、ミャンマー、トルコ各1という多彩さ。日本人は10という構成だった。年齢は15〜19歳が44人と多い。外国人の入学資格は、母国での就学年数が9年に満たない者で、入学相談の折に必ず短期ビザでないことをチェックする。
授業をのぞかせてもらった。午後5時半から8時50分までの40分刻みの1日4時限授業。途中入る30分間の給食時間はにぎやかだ。生徒10人程度に1人の先生がつく少人数学級のためか、生徒たちの熱心さが伝わってきた。教師の中には昼より夜間中学を志望する人もいる、という。
1県1校の夜間中学拡充構想については、すべての国民に教育を受ける権利を保障する憲法26条の趣旨からして賛成したい。
ただ、外国人生徒急増をどう考えるか。外国人の義務教育に税金をあてることについて国会できちんとした議論をして、その意義を明確にしてもらいたい。
いろいろな考えがあるだろう。ただ、今後日本の社会・経済にとって外国人の存在が大きな位置を占めることを考えると、世界的に定評のある日本の義務教育を世界の子どもたちに提供することは魅力的な仕事である。それはまた日本のソフトパワーの一つになるのではないか。
[ 2014/10/10 20:33 ] 夜間中学・白井 | TB(-) | CM(-)


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