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 夜間中学その日その日 (371)    白井 善吾

学習者の立場から主張と行動を! 
 近畿夜間中学校生徒会連合会の9月の役員代表者会でも、夜間中学の議員立法の動きについて、学習者の立場から主張と行動が重要であることの意見が相次いだ。

一つは「中学校である以上、修業年限が3年なのは当然」とする教育行政関係者の“常識”に対する懸念ともう一つは学習者の実態にそぐわない学習内容の押し付けがおこなわれるのではないかであった。
 文部科学省も初等中等教育企画課教育制度改革室長名で9月10日、夜間中学現場に調査を降ろしてきた。教育課程、学級編成、在籍実態を問う詳細な質問項目ももちろんある。
 私たちは夜間中学は中学校だといえ、学齢を超えた人たちが学ぶ場として、昼の中学校のように15歳までの学齢の子どもたちを想定した学びだけでは通用しないという“常識”が重要であることを「夜間中学その日その日」でも主張してきた。
その修業年限の実態について夜間中学を設置している近畿各府県の教育委員会に問い合わせ、次のように記事にしている新聞があった。

大阪の場合「法的には3年だが、6年程度をめどにしている。場合によってはそれ以上のケースも」。京都「原則3年だが、最長5年を認める」。奈良「結果的にだが、3年を超えて在籍する人もいる」。神戸「原則3年」。尼崎「生徒の要望に沿うよう、卒業後も聴講生のような位置づけで在籍できる措置を取っている」。(「その手にはいつもえんぴつ」神戸新聞1997.8.27・28)

この記事にある、修業年限についての意見、考え方について各立場からの主張を記しておく。
1. 学習者の立場から
① 卒業はしたが、暮らしに必要な文字が身についていない。
② 平仮名が全く読めないことから始めて、たった3年でなにが分かるの。
③ 私はもう卒業したけど、これからの人はせめて(小学校に相当する)6年は教えてあげてほしい。
④ やっとひらがなが読めるようになったけど、まだ満足に書けない、中途半端です。他の人も、もっといたい(居りたい)と言っていたよ。
2. 教育行政担当者
① ずっと日本で暮らしてきた人と新たに来日した外国人を同一に語ることはできないが、夜間中学は日本語学校ではない。今後の課題だと思うが、昼間の中学でも、習得が不十分だからと延長はできない。もっと勉強したい、という人には定時制高校をすすめている。(神戸市教育委員会)
② 夜間中学もあくまで中学校の一環。
③ 中学校である以上、修業年限が3年なのは当然。
④ 識字は同和事業として始まった経緯があり、在日外国人に対応できる態勢にはなっていない。現在外国人の人権保障という観点から整備し直しているが、定員は県の決定事項であり独自には動けない。
3. 夜間中学の管理職、一部教員
① 教育行政と「一から読み書きを教えてくれる」小学校的な役割を期待する生徒。両者の間に立つ現場も「待ってくれている人が10人もいる。その板挟みだ。待機者がいる限り、延長は難しい」
② 正直、もう2.3年あればもっと身に付くのに、と思うことがある。だが現在46人の生徒に10人の教員がいるが、個別指導を重視すればこの人数が限界に近い。(卒業せず)これ以上増えると、進度の遅い人の切り捨てにつながる。
4. 夜間中学の教員
① 教室も教員も足りない、だからたくさん残られては困るというのは発想が逆。
② 文字を学べる、という喜びに火を付けて、放り出しちゃいけない。燃え続けるようにする責任があると思うんです。
5. 定時制高校教員
① 読み書きが不十分なままでは(高校の)授業についていけない。3年通い、平仮名がようやく書ける程度、という人も多い。
② 3年は短い。多くの生徒が、そう言います。

各立場からの主張は以上である。
この議論で押さえておきたいことがある。修業年限を考えるとき、もう一方の眼で、教育面での戦後補償の観点からと夜間中学の存在意義(夜間中学が「教育」の中で果たしている役割)について考えることが重要だと、私たちは主張してきている。
最初でも述べたが、学習者の立場から主張と行動が重要である。
「文字とコトバを奪われた人たちが声をあげない限り、絶対夜間中学はできないし、できてもそれは命のない、魂のない、歴史のない夜間中学になっていく」と警鐘を鳴らし、「自分が夜間中学で学んだ文字とコトバがどこまで武器になるのか、相手にどこまで切り込んで行けるのかというのは、やっぱり毎日毎日が闘いなんですよ」と髙野雅夫さんは夜間中学生の立ち上がりの重要性を訴えたが、これが原則であることを忘れてはならない。

[ 2014/09/20 23:21 ] 夜間中学・白井 | TB(-) | CM(-)


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