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夜間中学その日その日 (359)    白井 善吾

夜間中学の悩みは喜び
 ある新聞記事を紹介する。「夜間中学は家庭の事情などで義務教育を終えていない人、形式的には卒業していてもそれだけの学力のない人にもう一度中学教育を受ける機会を与えよう、というもので現在全国に23校ある。

『だけど、そこで行われている教育は昼間の学校と同じ優等生中心主義で、ぼくらのような劣等生ははじきだされてしまう』と、神戸市兵庫区のすし店経営神部博之さんら『かえるつうしん』というミニ・コミ紙を出している夜間中学生のグループはいう」(発行日、新聞名、不明)記事の見出しは「オレたちの手で作ろう」「私設の夜間中学校」「学習会で輪広げる」「仲間集めに奔走」「これ以上踏みつけられるのはご免だ」「かえるつうしんグループ」とある。
 夜間中学数から考えると1972年の新聞記事だと考えられる。神部さんは天王寺開校で入学生を代表してあいさつを行った人。「授業がわかってもわからなくても、3年間通えばトコロテン式に卒業させられる。これでは何のためにわざわざ夜間中学にいくのか」こう発言したのは、八木秀夫さんだ。八木さんは天王寺夜間中学に通い、東大阪の夜間中学開設に尽力した人だ。
「『そこ(夜間中学)も私たちを温かく迎えてくれるところではなかった』。彼らは学習会を月1回開き、授業でわからないことをお互いに教え合う。それだけではなく、なぜ夜間中学が生まれるのか、その社会的背景まで突きつめるようになった」そして永山則夫が提起した「私設夜間中学」に応え、自分たちの手で学びの場「青年の館」をつくろうと動き始めたことを報ずる記事だ。

 学校には全く行けなかった人から中学3年まで学んだが、卒業証書をもっていない人まで、一つのクラスの中で学びを展開する。本当に難しい夜間中学の授業展開と教材だ。教科でどんな学びを実践するか、この記事が掲載された頃は大阪に夜間中学が再生スタートして間もない頃だ。授業を組み立てる教員もおそらく、多くの教員は昼の中学で使っている教科書に沿って展開すればよい。不就学の人には促進指導をすればよいとの考えしかなかったのではと想像できる。夜間中学生の想いや願いを受け止め、どのように学びを組み立てるか校内で行う研修や、夜間中学の教師集団で試行錯誤を重ねながら実践を重ねられたと思う。
しかし「昼間の学校と同じ優等生中心主義で、ぼくらのような劣等生ははじきだされてしまう」「授業がわかってもわからなくても、3年間通えばトコロテン式に卒業させられる」との目の前の夜間中学生の反応は重要な提起である。
この記事と同じ頃開催された第20回全国夜間中学校研究大会で一人の夜間中学生から次のような告発を受けた。「20歳を過ぎる今日まで小学校さえいっていないことをどんな思いでかくしてきたか、先生たちはわかるだろうか、伝票や書類が読めないために職も転々と変えてきた。それが去年、生まれて初めて学校へ行った。それまで花なんかに興味をもったこともない、植木なんか邪魔になるからと蹴飛ばしたことが何度もあった。それが、花にオシベとメシベがあり、星座に名前が付いているとはじめて教わった。ひとつひとつ知っていく喜びは当たり前に学校へ入った人にはわからない」、「学ぶことは人間を変えることだ」と述べ「しかし通学するようになってから夜間の仕事ができず注文が減った。わずかでも減ると生活にひびく。学校は休むしかなくなる」「先生らは増設、増設というが、つくっても行けない学校、入学してもやめていくしかない学校なら、いくら作っても仕方がない。生徒をなぜほっておくんだ」と発言している。
何度もふれたように、昼の学校の運営システムやカリキュラムの流用を克服し、私たちは夜間中学生とのやりとりから教科の授業を創造していく。まさに、教科書のない自主編成による学習を実践することである。それは世代を超えた学習者にも大きな影響を与えている。
登校拒否をし、20歳近くなって入学した夜間中学生の記事が目にとまった。「通ってくる人たちの生きざまが一番の勉強。それをひとつでも自分の中に焼き付けたい」と語っている(1994/1/21 毎日新聞)。
いま学んでいることは何につながり、人間を変える学びに組み立てていくその視点をもった学びは何なのか、この内容を明らかにし共有化が重要ではないだろうか。この視点は学びに共通するものだと考える。夜間中学はそんな学びの誕生現場でもある。
[ 2014/07/02 10:29 ] 夜間中学・白井 | TB(-) | CM(-)


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