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夜間中学その日その日 (355)    白井 善吾

 夜間中学現場の苦悩
全国の夜間中学で学んでいる人たちは、2011年9月時点、国籍は30カ国を越える。日本(442人)、朝鮮・韓国(399)、中国(915)、フィリピン(98)、ベトナム(75)、ペルー(52)、ネパール(47)、ブラジル(31)、台湾(31)、タイ(26)、インド(11)と続く。層別では日本(442人)、在日(312)、引揚帰国(458)、難民(11)、移民(24)、新渡日(927)となる。


学齢時学べなかった人たちという共通項はあるが国籍、年齢、就労・就学経験の有無など様々な違いのある人たちが夜間中学に入学する。毎日の生活のため、子育て、資格取得、進学など目的は各自異なる。
これら学習者を前に一つの(学齢の子どもたちを想定した)カリキュラムで、学習を進めていくことはあり得ないし、不可能だ。「夜間中学は中学校普通教育を行うところだ、昼の中学生と同じカリキュラムで行われているところだ」と(1990年頃)文部省の担当者はこのように答え、実態を見ようとしなかった。
夜間小学校があれば話は別だが、これら編入学者を受け入れて、苦労と工夫をしながら夜間中学現場は運営されている。現場の悩みは尽きない。学習者のニーズと置かれている実態を組み入れて教材を自主編成し学習を展開している。入学者をこぼすことなく全員保障できているかといえばそうではない。多くの中退者を生みだしながら運営されているのが現実だ。通い始めたが、ひとりひとりの入学の目的に応えることができていない運営や夜間中学生の健康、生活、子育てなどにより多くの人たちが卒業を迎えることができていない。
夜間中学現場の努力だけではどうしようもない社会の現実と変化があるにもかかわらず、その解決を図る新たな施策を行うことなく、夜間中学の努力にゆだねているのが今の教育行政だといわざるを得ない。
社会の変化について一例を示そう。
驚くべき新聞報道があった。『在日外国人不就学1万人 学齢期「国際規約違反」研究者ら国に対策要請』の見出しで、『弁護士や研究者らでつくる国際人権法政策研究所(所長、本岡昭次・元参議院副議長)は、日本在住の外国人に教育が義務化されておらず、多数の子どもが就学していないのは「国際人権規約に違反している」として、3日、実態調査や対策を文部科学省へ求める』(2014.3.1毎日新聞)。
夜間中学の入学受け付けの小さな窓口でも同じ事例を経験している。かつて、守口夜間中学の入学手続きに来た姉が提出した書類を見て、不就学になっている兄弟がいることが分かり、昼の小学校に就学してもらった事例がある。姉が夜間中学に来なければ弟は不就学で学齢を終えることになったであろう。
教育制度の違いにより、義務教育を終えることができなくなるケースだ。日本では満15歳になれば、学齢が終わることになっている。制度が異なれば、満15歳で中学3年に在籍中もありうる。中国からの帰国者の中でこのケースの子どもが多い。中国は9月入学、7月卒業を採用している。中学3年在籍中に帰国すれば、日本では満15歳を超えている子どもがあり、義務教育を終えることなく、社会に放り出されることになる。このケースの場合、大阪では、昼の学校に編入を認め、日本語指導など支援施策を打っていた。今では、卒業したいのであれば「夜間中学にどうぞ」という姿勢の教育委員会の対応だ。こんな対応をする教育委員会は以前にはなかった。教育環境は確実に悪くなっている。日本語指導を行う府の支援施策の予算がカットされたことが大きな理由だ。

30年前には本当に少なかった新渡日の人たちが夜間中学の多数を占める学習者となっている。彼ら彼女らが日本で生活するにあたって、まず日本語の理解が最優先だ。夜間中学の学びはこれだけではない。「奪いかえす文字やコトバは明日からの生活をかちとる知恵や武器となるもので、地域を変え、社会を変えていく力となる学び」を追究している。形容詞、形容動詞、助詞云々の日本語学校の学習とは異なる点だ。
新渡日の人たちが置かれている状況は、「朝鮮半島を離れ、日本で暮らさざるを得なくなった私たちが生活を始めたころの状況と一つも変わっていない。この国は!」と新渡日の夜間中学生の意見発表を受けて、在日朝鮮人はこのように表現した。
国は新たな施策を打つことなく、流れに任せ、夜間中学現場に対し押し付けている。そのように私たちは考えっている。新自由主義思想に基づく社会の欠陥という言葉で思考停止することなく、粘り強く発信、提起していくことが重要だ。
[ 2014/05/31 11:57 ] 夜間中学・白井 | TB(-) | CM(-)


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