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夜間中学その日その日 (353)     白井善吾

夜間中学の報道記事
夜間中学を扱った新聞報道記事はいったいどれほどあるのだろう。守口夜間中学を扱った記事は判明している分で112。全体では2637を数えることができる。


掲載年月、社会背景を考慮して、これらを現在の夜間中学の活動に生かしていくことは重要ではないだろうか。公立夜間中学教員は任期があり、次の教員へと移っていく。夜間中学の課題を引き継ぎ、新たな観点でとりくみを進めていくことは意外と難しい。課題が多義にわたること、一人何役もの担当とその推進が求められることもあるが、創造性が重要だ。
大阪で夜間中学の開設運動を実践し開校を実現する原動力であった髙野雅夫さんから天王寺夜間中学の入学開校式で「大阪での俺の任務は終わった。これからは君たち大阪の夜間中学生の任務だ」(1969.6.5)と託された私たちであるが、35年後、『高度経済成長のささやかなお恵みを受けた夜間中学生たちが「文字とコトバ」を奪われた、「空気」を奪われた怒りを再び奪われて、「知識」を詰め込むことが〈勉強〉だと信じ込まされ、詰め込ませることが〈教育〉だと信じている教師が生まれていたのです』と指摘されたように、夜間中学の課題を継続して進めていくことは難しい。しかし克服しないといけない。
その中で、第三者の観点からなる夜間中学記事は大変参考になる。毎日の取り組みに忙殺されるだけでなく、その観点からの問いかけを生かし夜間中学の舵取りを議論していきたい。
夜間中学の特集記事は特に重要だ。守口夜間中学で入手できている連載記事は40本ある。1996年、私たちも日教組教育新聞に「発信夜間中学」を(13回)連載したことがある(『新編 文字は命や学校は宝や』に収録)。いろんな角度から夜間中学を書き発信することができたと考えている。字数が限られ、どのように表現するか推敲を重ね、記者の苦労の一端を経験することがあった。
特集記事の中で圧巻は産経新聞に2004年4月から1年にわたり連載された今西富幸さんの『こやしの思想を語る』(全50回)だ。髙野雅夫さんに取材し、対話と解説か展開されている。毎週、木曜日の夕刊に連載される記事を夜間中学の学習に用いたのは勿論だ。学習が終わったころには次の新しい記事が掲載されている。教員も夜間中学生も自分たちが立っているところ・夜間中学や髙野雅夫さんを知り考えることができた。先輩から夜間中学生への熱い語りかけは、2008年に始まった、就学援助補食給食復活の闘いに活かされたといえる。夏休み中も連載が続き、記事がたまってしまったことを覚えている。単行本として出版されることを切望している。
今回紹介するのは、「夜間中学」(朝日新聞)1970.11/10~11/14(5回連載)だ。大阪で岸城・天王寺・菅南(現 天満)と、夜間中学が開設された時期で、天王寺、菅南の夜間中学を取材し「これらの人たちはなぜいまあらためて学ぼうとしているのか、そこには社会全体の問題として反省すべき面もいろいろあるようだ。両校の学校生活の模様、生徒たちの悩みや喜び、夜間中学の課題についてみてみる」として連載を始めている。
最終回の課題について紹介する。

「99.9%という世界に誇るわが国の義務教育就学率のかげにはなお約120万人の義務教育未修了者がいると推定されている。さらに学齢児の長欠者が小学校に35000人、中学校に37000人(1967年度)いる現状だ。『教育は生きるための空気にひとしい』とは、大阪夜間中学設置に功のあった東京・荒川九中夜間部卒業生、髙野雅夫氏のことばだ。未修了者をどう救済するかは重要な問題だが、長欠児問題が解決されなければ、いたちごっこになってしまう。夜間中学の先生の中にさえ、『長欠児問題の方が重要だ』という人もいる。昔と違って、長欠の理由は家庭の経済的な事情よりはむしろ学校嫌いといった性格的なものが多いといわれる。とすると人間的なふれ合いに支えられた夜間中学の学校生活のなかに、長欠問題を解決するカギもあるのではないか。つまり夜間中学の存在は夜間中学をなくすることにも貢献できるのではないか。『夜間中学の必要のない社会になってほしい』というのが多くの夜間中学生たちの願いでもあった」

大阪に夜間中学が再生したころ、夜間中学現場を取材し、記者は「夜間中学の学校生活のなかに長欠問題を解決するカギがある」と提起している。前にも述べた「不思議な力」にもつながる。各夜間中学はこの記者の問いかけに、応える実践を社会に発信していく役割がある。

[ 2014/05/13 08:35 ] 夜間中学・白井 | TB(-) | CM(-)


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