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感想記 下 長編ドキュメンタリー『60万回のトライ』(監督:朴思柔、朴敦史、2014年):森類臣

追記: 長編ドキュメンタリー『ウリハッキョ』の監督である金明俊監督が『60万回のトライ』を見た感想を書いている(http://m.cafe.daum.net/mongdanglove/JMRT/384?q=D_QcjrHim2wkY0&)。金明俊監督本人の許可を得て、ここに日本訳を紹介したい。

『60万回のトライ』を見て
金明俊(2014年4月20日)


<大阪で「60万回のトライ」を見ました。その感想文を載せます。スポイラー(※訳者注:まだ見ていない人に内容を話してしまう人)にならないために、最大限自制して書きました。^^>
ある女性記者がいた。



30代初盤に日本へ渡った彼女は、できたばかりの韓国のケーブル放送の特派員として活動した。そうして、不意に癌にかかった。乳がんだった。記者活動中に知り合った在日同胞一世のオモニたちが自分たちの家を提供してくれ、真心こめて面倒を見てくれた。ある程度病気にも慣れたころ、地震が起こった。カメラを持ってとりあえず仙台へ向かった。記者の根性もあったが、何よりそこに朝鮮学校があったからだ。自分を「故郷の人だ」という理由だけで真心こめて面倒をみてくれたハルモニたちの子孫たちがいた。前代未聞の人命被害と継続する原発事故に韓国からも支援の波が続いた。その頃、誰も気を使わなかった「東北朝鮮学校」(仙台)の状況を毎日のように知らせたのが彼女だった。
地震の直前に彼女は大阪へ移住していた。

自分が企画した「大阪朝鮮高級学校」のラグビー部についてドキュメンタリーを撮るためだった。しかし地震が発生し、しばしの間ストップしたこの企画の代わりに、地震を克服していく在日朝鮮人コミュニティーとその中心にいた朝鮮学校を紹介したドキュメンタリーを作った。
そして3年が過ぎた。
日本から「60万回のトライ」が完成したという嬉しい知らせ。
日本で会って話をしてみると、顔が真っ青になって疲労を訴えていた彼女は、時には2~3日横になったり、時には一ヶ月を超えて編集が中止される状況でも、少しずつ編集を進展させていた。 彼女のそばに、共に作った「コマプレス」所属の朴敦史という在日朝鮮人青年がいた。 癌治療のために療養をしたという京都のウトロ地区で偶然に会った青年という。一見、鋭利で冷徹に見えるその青年と、一見すると感受性が強く軟弱に見える彼女が、どんな苦労してどんな過程を経てこの映画を完成することになったのかは、もしそれについて本一冊書いたとしても足りないくらいだと思う。 
どちらにせよ、映画は実に5年を超えた歳月を経てついに完成した。そして今、日本全国で60万の在日同胞の念願が込められた、たった一つのトライのために運動場を駆け回ってきた在日朝鮮人ラグビー少年たちの話が上映されている。
大阪北部の小さな劇場でみた完成作品。
監督が一人称のナレーションで始終一貫して子どもたちを暖かい視線で描き出すこの作品は、一言で言うと、可愛くて、切なくて、気恥ずかしくて、そして美しい。 勝利のために玉の汗を流す男の子の世界を、監督はこのような感情を持って眺める。 その子どもたちを育てていく大人たちの涙を、フィルターを通さずに表わし、自身がその現場で流さなければならなかった涙さえフィルターなしに見せる。子どもたちが試合に勝っていく劇的な瞬間、その子どもたちの堅く結束したスクラム、ボールをとらえて迷わず突進する激烈な身振り一つ一つが、一人だけのものではないことを語る。そしてそこに18才の男の子が持って当然の純真、葛藤、理性に対する好奇心まで。
怪我で(メンバーから)外れたレギュラー選手のために涙を惜しまなかったラグビー部監督が、1・2年生のレギュラー候補選手のための講義をする。

「スポーツは社会を変える。 君たちはどんな社会に属しているのか? 在日同胞社会だ。 君たちが在日同胞社会を変えるんだ」。

映画の主な舞台である大阪だけでなく、日本全体が右傾化の急激な下り坂を転げ落ちている時、日本でもマイナー中のマイナーに属する在日同胞社会、そしてその社会の高校運動部の監督が、まだ世の中の汚い部分に目を向けることもできない子どもたちに向かって発する言葉だった。 最も低いところにいる者だけが最も深い矛盾を見ることができる。
朴思柔監督もまた、最も低いところで最も深い矛盾を見た。その視線から生まれた映画が「60万回のトライ」だ。

<今回、全州(チョンジュ)国際映画祭韓国競争部門に招請されたこの映画は、日本で上映したものとは違い、韓国バージョンで上映され、ナレーションは俳優のムン・ジョンヒさんが行いました。そして今年下半期に韓国での封切りを準備しています。 この映画が、私たちが捨て去った在日同胞を振り返ってみる良い契機になったら幸いです。>
[ 2014/05/06 20:43 ] 森類臣 | TB(-) | CM(-)


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