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夜間中学その日その日 (326)   守口夜間中学 樋口靖子

劇 「つなごう 春日の灯 さつき学園へ」舞台裏
守口夜間中学開設40周年記念行事の企画は記念誌を発行する記念誌部会と記念の集い部会に分かれ企画を進めてきた。集い部会では40年の歩みを劇で振り返り、踊りや劇で夜間中学の明日を表現しようということで作業を開始した。

夜間中学生の日頃のつぶやき、発言、文集「まなび」に収録されている夜間中学生の文章を材料にセリフを組み立て、夜間中学生の「現在・過去と現在・未来」を表現する。体育館のフロアーと舞台の両方を使って演じる。そして昼の中学生にも劇の参加を呼び掛ける。こんな構想で企画を進めた。20分をめどに進めたが40年の歩みは映像で組み立てることにした。
9月まで台本を何度か手直ししながら、夜間中学生の参加体制を検討・決定し、10月から読み合わせ練習へと入って行った。台本を手渡し、劇の内容と流れを確認した。「あれ、これ、わたしのことやわ」と金さんが言うと、「そうやったなあ、子どもの頃はみんな子守とか、働らいとったな」と言い、読み合わせがしばし中断。交流の場面では「先生、この歌私が作ったから、私に読ませて」とアキオさん。配役は、できるだけ、そのセリフを、言った人にあてはめていったので、実感があり、共感もしながら練習が進んでいった。
この練習は、20分間の補食の時間を利用して進めていった。20分くらいかかる全体を少しずつ、あるいは出席者のセリフ練習ということになった。言いにくいところは、言葉を修正した。「個人練習は家でがんばるわ。でも、劇は誰の次に言うかとか、タイミングがむずかしい。それは一人ではでけん。学校でないと」「そうやなあ。でも、なかなかそろわへん」「ま、いろいろ言わんと、とにかく練習しよう」。このように練習が進んでいった。
何回かするうち、互いの呼吸も合ってきた。が、実は、出演者が全員そろって練習できたことは一度もなかった。特に、最後のしめくくりのナレーターの後について全員で声をそろえて言うところのタイミングを合わすのが難しく、「これもみんなで言うんやったか」「そうやで」と言う会話が毎回のように出た。
とはいっても、セリフに慣れてくると、そこは夜間中学生、セリフ回しに感情が入り、工夫が出てきた。そのうち、「基礎クラスの人は、いつから一緒に練習するの」「昼の中学生ともあわさなあかん」と残された日程をにらんだ発言も登場。だんだん、全員で一つの劇を作り上げようという思いが強くなっていった。効果音もでき、実際に入れながらやっていった。「音楽が終わったら、始めて」「チャイムが2回鳴ったら、ナレーションです」「2回ですね」すると、ナレーター以外の人たちも1回、2回と数え、間合いを計っている。力の入ったセリフの言い方に「すごい、今のええわ」と声が入る。「じゃ、今の言い方でもう一度、どうぞ」「空襲警報と爆撃音が小さくなったらセリフを言ってください」こんなふうに読み合わせは順調に進んだ。
「今日は、舞台上の座る位置や移動するところを練習します」。動きをつけたとたん、セリフがぎこちなくなって、自分の位置を確認するので精いっぱいになってしまった。「両方するのは、むずかしい」「繰り返したらできるやろ」その通り、何回かするうちに落ち着いてきた。体育館の舞台で練習もしたが、広さの勝手が違い、とまどってしまう。基礎クラスの出演者も決まり、一緒にやってみた。言い慣れない言葉の発音に苦労しながらも夜間中学生のセリフの分は大分完成に近づいた。
さて、次は昼の中学生とのコラボである。練習に参加した3人の女子中学生。「こんにちは」「よろしくね」とあいさつが交わされて合同練習が始まった。簡単な自己紹介をしてもらう時間もそこそこに、劇の説明を動きや効果音も交えて一通りした。3人は「じゃ、やってみましょう」と出演してくれる場面を始めてみると、なんと1回でできてしまった。「先生、すごいなあ」「さすがや。若いからすぐ覚えられる」「私等はすぐ忘れてしまう。ごめんな」と皆が感嘆。そして、「出てくれてありがとう」「ここにすわってや」と声をかける。ほんとに自然な交流風景だった。合同練習は活動時間帯の都合で1回しかできなかったが、「本番もよろしく。帰るのが遅くなるけれど、気を付けて帰ってね」と皆安心して送り出した。マイク廻しの練習もした。
その前後には、場面を布絵で表す作業があり、布の提供・下絵制作・色塗りと多くの人たちの協力のもとに進んだ。当日に持ちやすいようにと布に棒を縫い付けてもらったりもした。
リハーサルで効果音や照明のタイミングが合わなかったり、マイクに声がのらなかったり、暗転にすると台本が見えないから困るなど急きょ、対処・変更を迫られた。真っ赤な中を戦争の場面にしようとか、場面転換のメリハリを出そうとかより、夜間中学生の声が一番で、演じやすいようにするのが肝心だった。
そして迎えた本番。「言い間違ったっていいやんな」「みんなでやるんやから」「そんなん気にせんでいい」違う布絵を手にしてしまうハプニングはあったけれど、最後の声をそろえて言うところもうまくいったし、夜間中学生発案の全員舞台に並んで「ありがとうございました」もよかった。劇の題名ではないが「つなごう 春日の灯 さつき学園へ」に第一歩となる取り組みになったのではないかと思う。 出演してくれた昼の中学生の感想もすばらしく、昼の中学生徒会ともまた一つ共有できるものが増えた。
一つ一つの積み上げが次の大きな展開を生む原動力になる。このことを確信した40年の取り組みであった。
[ 2013/11/28 08:26 ] 夜間中学・白井 | TB(-) | CM(-)


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