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国連社会権規約委員会とユネスコスクールを語り合う :   高賛侑

 「子どもたちに何の罪があるんですか。民族教育差別をやめて下さい」
 オモニ(母親)の切々たる訴えが会場に染みゆく。
 9月14日、在阪の団体「民族教育ネットワーク」主催のフォーラム「国連とユネスコと多民族多文化共生」が東成区民センターで催され、約100人の在日韓国・朝鮮人や日本人が参加した。
 第一部の基調講演を行ったのは在日本朝鮮人人権協会の宋恵淑(ソン・ヘスク)さん。4月末からジュネーブの国連ヨーロッパ本部で開かれた社会権規約委員会を訪れた報告である。
 

3年前、高校無償化制度がスタートした。当初、文科省は外国人学校も対象に含めるとしたが、1議員が学校教育に何ら関係のない拉致問題を持ち出したことから問題がこじれ、朝鮮学校だけが除外されてきた。
 そればかりか、以後、東京、大阪などでは数十年間継続されてきた地方自治体による補助金まで打ち切られた。戦後68年間、子どもらの民族的アイデンティティを育みたいという願いのために懸命に守り続けてきた民族教育の灯が風前の灯火状態に陥っている。閉ざされた状況に風穴を開けたいとの思いでオモニたちが選択択した道がジュネーブ行だった。全国から寄せられた折り鶴をケースに詰めて、5名のオモニが旅立った。
 受付で折り鶴の持ち込みを禁じられると、ブローチ代わりにチマ・チョゴリに付けた。英語だけでなく、フランス語や中国語のアピールまで丸暗記して審査委員たちに語りかけた。大きな折り鶴の束を掲げて街頭を歩き、事務所の正門前で座り込みを行った。彼女らの必死の訴えは審査委員たちの胸に深く刻まれたに違いない。
 社会権規約委員会は5月17日、「委員会は、締約国の高校教育授業料無償化プログラムから朝鮮学校が除外されていることを懸念する。これは差別である」という総括所見を公表した。読み間違えようのない断定である。
 しかしあろうことか、下村博文文科相は24日、委員会の所見は「我が国の状況を十二分に理解していない中での見解だ」と言い、勧告を受け入れないことを公言した。
 朝鮮学校や外国人学校差別政策に対する国際機関の批判は今回が初めてではない。メディアはほとんど報道していないが、98年の子どもの権利委員会で朝鮮学校生徒に対する暴言・暴行や大学受験資格、教育助成金等の問題の厳しい是正勧告が出されて以降、自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会など数々の国連人権条約機関において批判が繰り返されてきた。その結果、外国人学校全体の差別政策は徐々に改善されてきたが、朝鮮学校に対する差別政策は驚愕するほどに悪化しつつある。
 今回のフォーラムでは、第二部でパネルディスカッションが行われ、私がコーディネーターを務めた。もう一つの主要なテーマはユネスコスクールで、大阪ユネスコスクール・ネットワーク事務局の教諭や、昨年大阪市で初の認定校となった御幸森小学校の元校長などが登壇された。
 耳慣れないユネスコスクールは、ユネスコ憲章に示された理想を実現するために1953年に創設。世界180カ国約9000校が加盟している。日本では2004年の時点でわずか二十余校にすぎなかったが、今年7月現在で583校となった。文科省が「初めに加盟ありき」と言わんばかりに「目標500校」という施策を開始してから10年間で30倍に激増したのである。
 ユネスコスクールの主要な理念には国際理解、多文化共生、人権などが含まれる。なのに一方でユネスコスクールの増加をはかりながら、他方で朝鮮学校を抑圧するという矛盾! 在日外国人処遇問題ではしばしば「世界の常識は日本の常識にあらず」という指摘が行われるが、民族教育におけるグローバル・スタンダードが実現されるのはいつのことやら。
[ 2013/09/30 22:55 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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