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夜間中学その日その日 (313)   守口夜間中学 白井善吾

第32回夜間中学増設運動全国交流集会
前線が日本列島に停滞し、あいにく富士山は頂上を見ることはできなかったが、木々は水をたっぷり吸い、生気を取り戻していた。富士山麓の火山灰地に建つニューウェルサンピア沼津に降り立つと、何人かの仲間が到着していた。元気な姿がそろい始めた。1年ぶりの再会だ。


今年は残念な報告から始まった。私たちは岩井好子さんを亡くしたばかりなのに、夜間中学増設運動を引っ張ってきた仲間を相次いで3人もうしなった。吉川弘さん宮本純一さんそしてこの集会の代表でもある中納光夫さんだ。奈良の畝傍夜間中学から持参された3人の遺影が会場におかれ、全員黙祷をおこなった。3人の紹介をした米田(橿原に夜間中学をつくり育てる会)さんは「大切な仲間を亡くした。穴を埋めることはできないが、屍をのり越え、遺志を受け継ぎ、とりくんでいこう」と話した。
第1回の全国交流集会は1982年8月に開催された。それは次のような経緯で始まった。1976年から自主夜間中学が相次いで活動を開始した。川崎市、千葉県市川市、奈良のうどん学校、天理市、宇治市で開校した自主夜間中学は、市民が中心になり、学習を行いながら、公立化を目指した市民運動を展開していた。相次いで実を結び、奈良市(78年)、天理市(81年)、市川市(82年)、川崎市(82年)に公立の夜間中学を実現させた。これらのとり組みと経験を交流し、夜間中学の開設を進めることを目指して関東、関西の中間地点・静岡県を会場に開催されてきた。各地から学習者、自主夜間中学のスタッフ、教員、市民、研究者等が、年1回、手弁当で集まり、学ぶ喜びを交流し、課題の討議を重ねてきた。
 32回の集会は全国から11団体、36人の参加だ。
 今、夜間中学を巡る情勢は厳しい。2001年の太平寺夜間中学の開校を最後に12年間公立化が実現していない。35校ある公立夜間中学に学ぶ夜間中学生数が減少傾向にあることだ。入学者がなく、休止している学校も神奈川県で生まれてきた。一方、自主夜間中学の数は28校と増加している。自主夜間中学の会場確保をおこない、手弁当で集まり活動を行っている自主夜間中学がほとんどだ。行政が会場提供や支援を行っているケースは少ない。そんな中でも、さまざまな方法で、粘り強く活動を行っている参加者の経験と知恵を交流、各地の活動に生かしていくことをめざして、全体集会と分科会に分かれ集会をおこなった。
各夜間中学のスタッフが参加する分科会では主に3点にわたって論議した。
 一つ目に千葉県松戸市で調査研究活動に入っている、「三部制」の中学校については行政から提案があった。三部制というのは午前、午後、そして夜間に分かれて、不登校状態の学齢の子ども、引きこもり状態の学齢超過者、そして義務教育未修了者を対象に学びの場を開設する構想だ。長年にわたる松戸自主夜間中学の要求に対しこのように応え、調査研究活動を行っている。
内閣府が2010年2月、引きこもりの実態調査を行い、2010年7月発表した。15歳から39歳の66万9千人が引きこもり状態でそのうち11.9%が小中高校時代の不登校が原因だと答えている(守口夜間中学にも先日、この状態の2人の子どもが見学に訪れていた)。地方行政も看過できないと捉えていることがうかがえる。
二つ目には夜間中学生数減少の問題だ。公立の夜間中学では休校状態、複式授業を展開するなどの状態が起こっている。守口夜間中学では就学援助、補食給食の廃止など学習環境の悪化がこれに拍車をかけている。しかし大阪では橋下知事(当時)がおこなった府の補助廃止の闘いに夜間中学生が立ち上がり、一斉に街頭に出て市民に訴えた。この時大阪の夜間中学生の数は1370人(2008)から1511人(2009)と141人増加している。夜間中学を必要とする人がまだまだいる事の証左だと考えている。開校後40年を超える夜間中学が多くなり、学びを得た人たちも多くなってきたことは確かだが、「広報を見ました。私の年齢でも入学できますか」と71歳の未就学の女性が夜間中学を尋ねてきた。まだまだ夜間中学があることがこの人たちには伝わっていない現実がある。
三つ目には法制化の問題だ。義務教育に相当する学校教育等の環境の整備の推進による学習機会の充実に関する法律案(義務教育等学習機会充実法案)の立法化を求める動きだ。第3条7項に「学習する機会が失われた者がその希望するときに再び学習する機会が与えられるようにすること」を設け、夜間中学の法的裏付けをとり、財政的支援を国に求めるのだ。8月6日国会内で行われた院内集会に出席したある参加者は「昨年よりましな集会で、めざすものが感じられた。みんなでかかわるという議員の意気込みが感じられた」と報告していた。ある市長は「法整備があれば動きやすい。作れる条件は高まる」と立法化に期待を寄せる発言をしているとのことだ。
増設を実現するためには当事者が火の玉になって学習権保障を求める意思と行動が何よりも重要だ。夜間中学の学びを学習者の立場で展開できる公立夜間中学校にすることも重要だ。
夜間中学生が経験交流をおこなった分科会では大きな笑い声があり、元気いっぱい各地の実践報告と経験が語られた。「学んだことが生活に生きている」「韓国から日本に来て、差別をなくすことを勉強している」「全同教大会で松戸夜間中学のとりくみを発表する」と大きな笑顔で報告があった。


[ 2013/09/13 10:02 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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