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夜間中学その日その日 (311)   守口夜間中学 白井善吾

ミニ教研IN福島 (その②)
ハードパス、ソフトパスについてもう少し説明する。山口幸夫さんはいろいろな分野で対比して一覧表にしている。例えて「教育、学校」の分野でハードパス、ソフトパスを対比すると次のようになる。ハードパス「訓練の場、問題解決型の学力、工業化社会をすすめるための基礎力を、エリートを養成する場、専門家を養成、規則・管理はきびしく」。これに対しソフトパスは「出会いの場、広い世界を知る場、発見の喜び、発見できる力、生きる基本を身につける、エリート養成を否定、ジェネラリストを、教養主義、規制はゆるやかに、管理は減らす方向へ」(山口幸夫著『ハンドブック 原発事故と放射能』岩波ジュニア新書156~157㌻(2012年)
私が初めてこの一覧表を見たとき、驚いた。なんのことはない、夜間中学で追求している学びではないかと思った。このようにソフトパスの根元にあるのは、いのちをたいせつにするという立場である。人の生命だけではなく、動物、植物、微生物など生きとし生けるものすべてがつながっていると考える認識だ。
ハードパスはオゾン層破壊にはじまり酸性雨、ダイオキシン、JCO事故、地球温暖化、そしてきわめつきがアメリカでの9・11事件と報復戦争、そして3・11フクシマ原発事件である。
2013年3月にアドバンテージサーバーから『みんなの放射能入門』が出版された。わかりやすい本で、夜間中学の授業でも活用している本だ。ミニ教研では著者の一人である伊藤書佳(ふみか)さんの報告もあった。中学2年生2学期から学校に行かなくなり、15歳の時原発のことを知り、勉強会や脱原発デモに参加していった経験とこの本の出版エピソードの報告があった。自然の語り口と優しさが伝わってくる話し方に私は感心した。
日教組教研共同研究者、盛口満さんは、大学で接している学生はわかったとき、「へぇー」と声を出す。しかし沖縄の夜間中学生は「ああ」と声を出す。夜間中学生は豊富な生活体験があって、その体験が授業の中で法則に出会ったときに、「そういうことだったのか」と腑に落ちる。その時でてくる声が「ああ」。「へぇー」から「ああ」へ。これが、これからの理科の授業で考えなくてはならない課題のように思っていると話された。
盛口さんは10分の休憩時間に会場周辺から採取してきた「ネコジャラシ」を見せていただいた。この植物は粟の原種と言われている。普通は1本の穂であるが、穂が枝分かれしている。めったに見つけることはできないが、ここでは珍しくないという。放射能の影響でなければよいがと思った。
第3日目は浪江町、飯館村へ向かった。福島県教職員組合の先生方の案内である。参加者が持参している放射線測定器を締め切ったバス内で測定しながら移動した。移動するバスの走行地点、環境によって刻々と変化することが改めて分かった。トンネルの中では低くなり、ホットスポットに近づくと数値は大幅に上がった。測定器をビニール袋で保護し測った。単位、マイクロシーベルト/時。同じ場所で何種類かの測定器で行った。
阿武隈川に架かる橋(0.15)。トンネル内(0.05。)川俣道の駅ベンチ(0.46、0.52、0.64)。飯館村の耕作不能地((0.73、0.807、0.48、0.8、0.75)。臼井小学校(0.66、0.97、0.70)。請戸小学校(遠くに福島原発の建物が確認できる)(0.15、0.10)。原町の駐車場(3.54、3.223)。駐車場側溝横の地表面では9.99となり測定不能となった。
津波が押し寄せ、根こそぎ生活を奪い去った草むらには花が手向けられ、横転した自動車がところどころ残っている。塩害のせいか、立ち枯れしている植物も多かった。
南相馬市鹿島小学校内に移転している小高中学校仮設校舎を訪問した。生徒数91名(被災前の3割)。全員が自宅から通えていない。スクールバスで登下校している。将来に向けた見通し、金銭感覚、職業観など子どもの中に起きている変化。修学旅行先で投げかけられた「よくそこに住んでおられるね」に代表される、いわれなき差別の問題が語られた。
「放射能のことは教師から触れられない」。「今後受けるであろう差別について、でも希望をもって生きていく生徒を社会に送りださねばならない」と語り報告を終えられた。
私たちがめざすべき理科教育の課題を明らかにすることのできた第18回ミニ教研であった。

[ 2013/08/30 23:42 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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