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メディア・ウォッチング “原発と原爆”に迫ったTV番組ザ・スクープ(続) 三室勇

「第二章 1945年広島 封印された被爆者たち」では、残留放射能問題が追求される。
マンハッタン計画のナンバー2、ファレル准将は9月広島に入り、残留放射能被害はないと断言した。この言葉がその後の入市被爆者や黒い雨被曝者を永く放置する結果となった。

しかし、外国紙の記者たちの中には、ロンドンのデイリー・エキスプレス記者、バーチェットのように残留放射線による被害を「原子病」と名づけ、世界に発信したジャーナリストもあった。この話はよく知られているが、実は長崎に入り、取材したシカゴ・デイリーニュースのジョージ・ウェラーのことはほとんど知られていない。彼は病院を訪ね歩き、残留放射能により多くの死者が出ていることを「X病」と名付けて書いていた。ところがGHQは原稿段階で握りつぶし、発表させなかった。2003年にこの原稿が発見され、それをもとに本が出版され、その翻訳が毎日新聞社から『ナガサキ昭和20年の夏――GHQが封印した幻の潜入ルポ』として2007年に出版されている。ウェラーの息子で共同執筆者のアンソニーが当時のことを語っていた。

広島につくられたABCC(原爆障害調査委員会)は表向きには残留放射能を認めていないものの、実は1950年代に調査を行なっていたという。その記録が米国あった。それによると1700人の入市者(消防隊、警察官など)のうち314人に急性症状が見られたと報告していた。しかし、米国本国のオークリッジ国立研究所(マンハッタン計画時につくられた研究施設)では、現在でも頑なに残留放射能被害を否定している。元局長ジョージ・オークシャの「残留放射能は少なすぎて問題外だ」という発言が印象的である。

こうしたアメリカ取材による当事者たちからの証言は非常に貴重である。米国の核政策を担っているエネルギー省の元上級政策顧問ロバート・アルバレスの発言には驚かされた。
取材者の米国政府は残留放射能の危険性を知っていたのではないかという問いに「熟知していました。死の灰の影響は深刻でした」と答えたことだ。「アメリカは核兵器開発競争を進めるため、残留放射線の危険性について、世界の世論やアメリカ国民を欺いています」。「科学者は軍と密接な関係にあり、軍の手足として働いていました。科学者は残留放射線の危険を指摘しキャリアを失うことを恐れたのです」。

永く原爆症認定を受けられなかった多くの被爆者は、残留放射能の被爆者である。米当局者たちのこうした発言をどう聞くだろうか。核利用は当初からウソで固められていたことをよく描き出していた(つづく)。
[ 2013/08/14 10:36 ] 三室勇 | TB(-) | CM(-)


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