朝日TV制作の戦後68年特別企画ザ・スクープ「原発と原爆――日本の原子力とアメリカの影」は、関西ではABC-TVが12日2時23分から流した番組だ。久しぶりに力のこもった調査報道番組で、こんな深夜に流すのはもったいない。ぜひ昼間の時間帯に再放送し、多くの視聴者に見てもらいたいものだ。
約1時間半の番組は3章仕立てになっている。「第一章 2011年福島 自衛隊放水ヘリの謎」「第二章 1945年広島 封印された被爆者たち」「1950年代ビキニ―広島 〈原子力の平和利用〉と日本」となっている。
第一章では、福島第一原発事故後に、霧吹きで原発に挑むような、効果がないばかりか、ただただ危険な自衛隊ヘリ放水がなぜ行なわれたのか、を謎解きしていく。
福島の原発事故をシビアに注視していた米国原子力規制委員会(NRC)は事故翌日にはすでにメルトダウンを予測していた。日本政府の認識とは大きなズレがあり、日本の対応に不信感を募らせていた。積極的に関わろうとするNRCに対して、それに消極的な日本政府、そうした行き違いが続くなかで、米国から「英雄的犠牲」が必要な事態と日本政府は強く迫られる。米国は最悪な事態として3機のメルトダウンを予測し、米国人の80キロ圏外への撤退、引いては在日米軍の撤退も視野に入れていたという。そうした日米間の緊迫したやり取りのなかで、あの「英雄的犠牲」を払った自衛隊の放水ヘリへと突き進むことになる。それは米国の要請に対する、日本政府の応え、自衛隊の命がけの作戦というパーフォーマンスだった(つづく)。
[ 2013/08/13 14:49 ]
三室勇 |
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