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 夜間中学その日その日 (307)  守口夜間中学 樋口靖子

2013年1学期の終業式
4月入学の夜間中学生Mさんは、70日間、無遅刻・無欠席の皆勤賞だった。誰よりも早く登校して、漢字の自主学習や授業の復習も続けた。普通は「こんばんは」と言うところだが、彼にはいつも、まず、「こんにちは」と言う。「早いね」「うん」。寡黙な分、やわらかい笑顔の「こんにちは」にほっとさせられる毎日だった。


ところが、7月になってから、登校時間が以前より遅くなった。通学定期の期限が切れて、もうすぐ夏休みだし、定期代を考えると、自転車で来ることにしたというのだ。教室に入っていくと、汗だくで「暑い。暑い」とタオルで顔をふいている。「40分はかかるわ」と70歳に近い彼は軽く言うが、淀川にかかる橋を渡って、この酷暑の中、守口夜間中学へやってくるのかと思うと、何とも言えない気持ちになる。でも、そうでもしても休まず、「勉強はせんとな。やらなあかん」と自分に言い聞かせるように言い、鉛筆を片手にノートに文字を埋めていく。
通学費が出るように住んでいるところの市役所と話ができたので、それを伝えたら、「そうか。よかったわあ。やっぱり電車がいい」とまた、早く登校するようになった。
夜間中学生、ことに遠くから通学している人たちにとっては、就学援助制度や通学費などの支援はなくてはならないものだ。その制度が2009年から、大阪府の半額補助がなくなり、2011年からは全面的に各市町村に任せられてしまった。新たに作られた就学援助制度は、各市町村独自のもので、認定基準や支給条件、支給時期などばらばらだ。つまり、夜間中学生が住んでいる市によって制度の条件がみな、違うということだ。
同じ学校で学んでいるのに、住んでいる市が違うので、援助を受けられる人とそうでない人とがいる。そして、支給年限が6年の市と9年の市が存在する。夜間中学は9年間在籍できるとなっているのに、6年間しか支給されないと通えなくなる人がいる。
そんな問題に、夜間中学生徒会はずっと取り組んでいる。
7月24日、教育委員会との話し合いがやっと開催された。実は昨年12月に話し合いがもたれて以来、その後の報告が半年以上なかったのだ。何度か、夜間中学生は「早く報告してほしい」と伝えながら、辛抱強く待った。夏休み中であったが11人の夜間中学生がかけつけた。孫を預かっていた一人の夜間中学生は孫と一緒に参加した。教員も9人が参加した。

その日、就学援助制度の内容が市によって違う事を是正するため、協議会を
作って各市によびかけ、考えていく予定であること、その課題提起を北河内7市の課長会議でしたことなどの報告が教育委員会からあった。
「この問題が出てからもう5年目になる。自分たちはずっとお願いしてきた」「結局、話がまとまっていない」「12月のときに2月に連絡しますと言ってたのに、もう7月。なぜ、そんなに日を延ばすのか。なぜ、7市がまとまらないのか」「同じことの繰り返し。本当に心から守口が音頭をとって話をうまくもっていってくれないのか」「前と進歩していない。夜間は大切にしますといってるけど、実際にもっとちゃんとやってほしい。いつまでたっても就学援助、補食給食は出ない。熱意がないからうまくいかないのでは」夜間中学生の発言が続いた。
夜間中学生は、今、一緒に学んでいる仲間のことはもちろん、後に続く、こ
れからの入学生のことも考えて、誰もが同じ条件で安心して学べることを願っている。「学ぶというささやかな幸せを奪わないでほしい」と言った言葉に70日間休まずに学び続けた彼の姿が重なった。
 教育委員会は、8月にも各市と話し合う会を持つことを約束し、その報告を「8月7日に学校へ出向いてします」ということになった。熱い夏、これからも夜間中学生のとりくみは続く。
[ 2013/08/10 06:12 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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