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コラム風「原発、このままでいいのか?」:片山通夫

 《異常な選挙》だったと筆者には思えた。まだ収束からほど遠いと国民の90%ほどが考えている福島の現状が選挙の争点にならなかった。昨年末に行われた総選挙では、少なくとも自民党も原発に関していささかでも触れていたように記憶する。


 安倍政権が打ち出した経済政策(アベノミクス)は、円安で電力会社の経営を直撃している。だから電力会社としては原発再稼働が必至という理屈になる。そこには、決して国民の安全という視点はない。
 はたして、原発再稼働がわが国の経済に好効果をもたらすだろうか。国民の生活にプラスになるだろうか。
 
 原発の再稼働は先に述べたように短期的には電力会社の経営を助けるかもしれない。我々が支払う電力料金を引き下げる可能性も否定できない。ところがその裏では、非常に苛酷な状況が待ち構えている。安倍政権も電力会社もそしてほとんどの国民もそのことを知ってか知らずか目をそむけている。それは、原発を稼働することによって生じるリスクだ。

 政府は再稼働によって生じる、また現在ある使用済み核燃料を、再処理してMOX燃料として原発で再利用する方向で考えている。このMOXとはプルトニウムとウランの混合酸化物だ。プルトニウムは原発で生じた使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを抽出しウランと混合、MOXとして再利用するという。これをプルサーマルと名付けている。

 プルサーマルが考えられたのは、本来、高速増殖炉もんじゅで全量燃やすはずだったが、もんじゅの数々の事故でこの計画はとん挫しているからだ。一体わが国にはどの程度のプルトニウムが存在するのか御存知だろうか。原子力委員会によると、国内に約9トン、フランス・イギリスに約35トンのプルトニウムを抱え込んでいる。長崎型の原爆(プルトニウム239を使用する原子爆弾)の5000発分に相当するという。6月25日、毎日新聞が報じたところによれば、昨年9月には、民主党政権はアメリカ側から、核兵器の原料となるプルトニウムの保有を減らすために、プルサーマル発電を行う密約をしていた。

 また、使用済み核燃料を再処理するのに、わが国は青森県六ケ所村に1993年から約2兆1900億円の費用をかけて再処理工場を作った。日本原燃は今年5月27日、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場の性能試験が着工から20年を経て、終了したと発表した。青森県や六ヶ所村は稼働の条件として《全量再処理の堅持》をあげている。六ヶ所村で《一時保管中の使用済み核燃料はほぼ満杯》だという。政府は《プルサーマル》へ突き進むしか道はないと強弁している。六ヶ所村は《再処理をしないなら一時保管中の燃料を運び出せ》と声高に叫んでいる状況だ。
 このように、使用済み核燃料の後処理は莫大な費用と技術が必要だ。

 一方、東京電力福島原発で起こった事故も、地域社会に深刻な影響を及ぼしている。メルトダウンした原子炉から今後出るであろう莫大な汚染物の処理はここでは置いておく。ただ最近の民間の調査では、除染作業だけで5兆円かかるという。  
 今問題なのは《除染に伴って生まれた汚染ゴミ》の処理である。現在環境省が、栃木県など5県に最終処分場を設ける予定でいるが、候補地の選出にもまだ入れていない状況だ。今年3月末現在で12万トン超の《除染で出た汚染ゴミ》は、行き場を決められなくて現在仮置きされている。
 こんな問題を抱えながら、先の参議院選は自民党の圧勝で終わった。マスコミなどでも分析は色々されているようだが、筆者には納得できるものが見当たらない。それほど《異常な選挙》だったと言えるのではないだろうか。つまり国民は「原発の再稼働による危険」というものに余り関心がないのだとしか考えられないのだ。ひとたび事故が、地震が起こったら、福島の例をとるまでもなく、町は壊滅的な被害を受ける。今なお15万人もの人々が家を追われて生活しているというのにだ。

 また、原発を再稼働するということは、すなわち使用済み核燃料を《生産》するということである。これを、《再生産》してまた原発で使おうという《核燃料サイクル》という悪夢である。なぜ悪夢かと言えば、話は簡単である。問題は危険性もさることながら、その費用である。運転停止中の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)と関連施設の研究開発に総額約1兆810億9500万円を支出している。(会計検査院調べ)また原子力機構は2010年度までに要した研究開発費を約9265億円と公表しているが、これには人件費、施設の固定資産税、1979年度以前のもんじゅ建設準備段階の経費などが含まれていない。また、もんじゅは、運転をしていない状態でも、維持費が1日あたり約5千万円ほどかかるという。先の述べたように青森県。六ヶ所村にある再処理工場も莫大な費用をかけている。これも国民の税金だ。

 こんなに国民の税金を浪費して、国民を危険にさらした福島第一原発メルトダウン事故の収束はおろか、廃炉の手順も技術的に可能かどうか未知数の部分が多々ある中で、《原発問題が争点にならなかった》いや、意識的に避けてきた政府・与党の戦略は卑怯だ。
この点が異常だと筆者は考える次第だ。

 最後に、最近円安や原油価格の高騰で、国内で使用するオイルの価格が上がってきている。漁船などは漁に出られないで悲鳴をあげている。電力会社も火力発電の燃料費を電気料金に上載せしようとして躍起だ。もんじゅの維持費用、一日5千万円を高騰する原油や天然ガスの輸入価格の補助に使うだけで、相当国内経済は安定するのではないかと思う。
 

《参考》石油情報センターの資料によると、石油製品の年間消費量は約2億8000万kl(2005年度)であり、天然ガスの年間消費量は日本ガス協会の調べで1055億立方メートル(2011年度)となっている。
[ 2013/07/27 08:00 ] 片山通夫 | TB(-) | CM(-)


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