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コラム・風「原爆の図」と核兵器保有派議員:井上脩身

 参院選の公示前、埼玉県東松山市の丸木美術館をたずねた。画家、丸木位里、俊夫妻が共同制作した「原爆の図」を見よう、と思ったからだ。
 位里は1901年、広島生まれ。日本画を学ぶため東京に出たが、関東大震災に遭い、いったん帰郷。再び上京し、太平洋戦争が始まった41年、俊と結婚した。北海道出身の俊は女子美専を出た洋画家だ。東京で「新型爆弾投下」と聞いた位里は3日目、初めて動いた列車で広島に向かった。1週間後、俊も広島に入った。

 
 以前、位里がいた家は爆心からわずか2㌔の所。爆風で屋根も窓を吹き飛んでいたが、燃えずに残っていた。そこに、全身やけどを負った大勢の人がやっとの思いでたどりついて横たわっていた。2人は焼けたトタンを屋根にし、死んだ人を運んだ。死臭が漂う中、生きている人たちのため、食料を探した。
 そこは、言葉ではいい表わせない地獄絵巻であった。黒焦げの着衣から肌がぼろのように垂れ下がった少女。破れた皮膚を引きずって水を求める男の子。すでに息がなくなった我が子を抱く放心した母親。そして、足を外に向けて積み上げられた死体の山。

 3年後、2人は広島の惨劇を絵にし始めた。紅蓮の炎に包まれて逃げ惑う人たち、川に浮かぶ母親に手を差し伸べる少年、人形を手に真っ裸で歩く少女――。30年の歳月をかけて「幽霊」「火」「水」「母子像」など、15部からなる「原爆の図」を完成させた。いずれも縦180㌢、横720㌢の大作だ。67年にできた丸木美術館に順次展示された。今は15部の全てを一堂に見ることができる。

 私は、作品を前にし、衝撃で足が震えた。怨念の袋がさく裂したかのようなすごみが筆到にこもっている。描かれた900人もの人々の叫びが、館内に響いているようですらあった。
 数日後、新聞報道に愕然とした。参院選の候補者にアンケートをしたところ、核兵器の保有について、自民党候補の48%が「国際情勢により検討すべきだ」、3%が「検討を始めるべきだ」と回答。「核兵器検討派」が過半数にのぼった。(7月7日付毎日新聞)
 日本は、原発の使用済み核燃料を全量再処理し、取りだしたプルトニウムをMOX燃料に加工、再び原発で燃やす「核燃料サイクル」策をとっている。現在、英仏で再処理して保管されている35トンと、国内の9㌧、計44㌧のプルトニウムをため込んでいる。原爆5000発分だ。

 ところが、MOX燃料を燃やす高速増殖炉「もんじゅ」は運転休止。通常の原発で燃やす「プルサーマル」も原発事故後は不透明のまま。こうしたなか、「ならば核兵器に使おう」と公然と発言する政治家がでてきた。
 参議院選の状況を見ると、「核兵器検討派」の大半が当選であろう。高い支持を得ている自民党政権が、核兵器保有に向けて一歩を踏み出す可能性はないとは言えない。「核被爆国」が「核加爆国」になりかねない危うさがつきまとう。
 「核兵器検討派」の当選者には、議員バッジをつける前に、ぜひ「原爆の図」を自分の目で見てほしい。丸木美術館は国会議事堂から電車で1時間半の距離である。(フリーライター )
[ 2013/07/20 01:51 ] 井上脩身 | TB(-) | CM(-)


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