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夜間中学その日その日 (301)   守口夜間中学 白井善吾

「夜間中学生の胸を借りる」
この春から守口市立の学校に勤務を始めた先生約50人の夜間中学訪問があった。2013年6月19日のことだ。「夜間中学生の胸を借りる」。このとりくみは今年で14年になる。教師になって3か月になる先生方だ。

教師になったばかりの私は夢と現実とそのはざまで、試行錯誤の真っただ中。授業の展開もむちゃくちゃだった。子どもに怒られ、教えられ、先輩に教えられてきたそんなときであったことを思い出す。多分そんな先生方も多いと思う。その先生方に夜間中学に触れ、授業を見て考える機会にしていただきたいと提案しこのとりくみは始まった。
子どもたちが活動している時に、他の先生にお願いして学校を離れることになる。いまも私は嫌だ。「あとは任せて、しっかり学んで来い」そんな声に押されて校門を出たものの、受け身の研修が多かった。私の時代と比べ40年後の学校現場ははるかに研修回数も多く、何人かに一人研修担当の先生を配置している。“研修漬け”と揶揄している。そんな研修より、現場が第一ではないか。そんな思いはいまも持っている。
矛盾するが、夜間中学生の横に座って夜間中学の授業を体験して考えてみる、こんな研修は賛成だ。私は夜間中学を参観したくて、仲間を募って、自主研修を行ったことがある。その時の出会いはいまにもつながっている。

この日、夜間中学生が参加する交流会の前に、午後3時半から30分ほど話す機会があった。
「守口夜間中学いろは」/ い  一枚の ○○のおかげで 入学できた/ ろ  ○○○○で ならいはじめた あいうえお/ は  ○○○○の 机にすわり 手がふるえた。○○の中にどんな言葉が入るかから話をはじめ、「学びの意味」「『学』と『習』の違い」「学校」「授業」について報告した。
学校は単に知識を詰め込む場ではなく、人生を豊かにするコミュニケーションの場である。違う考えを持った人たちとコミュニケーションができる場。
学校とは本来、成績を競い合う場ではなく、知識を分かち合う場でなければならない。同じ境遇の仲間と出会い、心の奥にしまってきた苦しみを解き放つことができる。
学校は単に生きる技術を身につける場ではなく、年齢を問わず人間としての誇りを持たせる場でもある、など夜間中学の体験の中から語った。

午後4時、いつもより早く登校した16人の夜間中学生が緊張した顔で入室、来校者と対面した。まず3人の夜間中学生が意見発表を行った。
在日朝鮮人の金さんは夜間中学にたどり着く自分史を語り「『これからはお母さんのしたいことをすればいいよ』と言われて、夜間中学に入学した」。共同作品『夜間中学あいうえお歌』に入っている「好きなこと やってみたらと 娘の声」で発表を終えた。
木下さんは自分史と父のことを語った。夜間中学の学びを通して、父の人生を見つめ、父に対する見方が変わっていったことを語りかける発表であった。「赤紙一枚で人の生死や、生き方までも決めてしまう戦争を憎みます。私は、生前の父に会いたかった」と発表をまとめた。
中国残留婦人2世の叶さんは中国の生活、引揚帰国をして夜間中学にたどり着く12年間の生活を話した。「仕事をしてきたので、話すことは少しできますが、書くことはむずかしいです。あわてず勉強を続けていきます」。

この発表を聞いていた先生方から手が上がった。
「皆さんの発表を、子どもも大人も関係なく、学ぶ喜びを感じる学校が大切だと受け取った。そんな学校をぜひ実現したい」「これまで学びは身近にあるものと思っていた。本当に学びたいのに学べなかった。私の知らない世界に衝撃を受けた」「昨年も一緒に授業を受けました。学びを大切にされているところだと思いました。学ぶことは楽しいことなんだと子どもたちに伝えていきたいと考えています」「言葉を教えている。教え込んでいるんではという指摘にドキッとしました。発表された文章を昼の子どもたちにも伝えたい。紹介してもいいですか」(拍手)。「勉強が好きでない子どもに夜間中学生の皆さんはどう言葉かけするか教えてください」
夜間中学生もマイクをもって考えを述べた。「私は間接的な戦争の被害者だ。勉強したいこの思いを今実現している。学んだことを家族に伝えている。戦争はいけない」「楽しく学んで、学びを大切にしていってと子どもたちに伝えてください」「子どもたちに教えようとされているんではないでしょうか。先生方も子どもたちと一緒に勉強して学んでいくことが大切ではないでしょうか」「自分を取り戻す。私が存在することを確かめたい、そのために私は学んでいます」。
夜間中学生は重要な指摘をした。先生方はこの指摘をどう受け止め、どんなお手紙がいただけるか、楽しみである。
遅くまで多くの先生が夜間中学に授業を参観された。

[ 2013/06/28 05:37 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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