ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト

ジャーナリストの取材記事、論考などそ掲載するブログ
ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト TOP  >  スポンサー広告 >  寄稿 >  夜間中学その日その日 (300)   守口夜間中学 白井善吾

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

夜間中学その日その日 (300)   守口夜間中学 白井善吾

「夜間中学」書籍解題
守口夜間中学開設40周年の企画を進めている。「記念の集い」(11月2日)、「学校公開」(11月8日)。また40周年記念誌の発行に向け準備を進めているところだ。記念誌に収録する「夜間中学書籍解題」についても教員で分担、作業を進めている。


この10年間、出版された夜間中学関連書籍は判明し、入手できたものとして33冊になる。解題字数は400字前後と決まっているため、踏み込んだ解題にはなり難いが、各教員の研修の一環として分担し関連書籍の読み込みを行っている。

貧困都政 
永尾俊彦著  岩波書店  2011.12.18発行
「日本一豊かな自治体の現実」と副題がついている。「オリンピック招致」「築地市場の移転」「新銀行東京」などの章立ての中で第6章「夜間中学からの抵抗」として「日の丸・君が代」の教育現場での強制がなじまないことを夜間中学のルポを通して明らかにしている。『世界』に連載された記事を単行本化したものである。石原都政は小泉構造改革と響き合う形で強力に進められてきたが、一方これに対し底辺と抵抗の現場からのルポである。
 教育現場とりわけ夜間中学で「日の丸・君が代」を強制することの問題とそれに抵抗を貫き、処分を受け、現在も裁判でその不当性を闘っている近藤順一(元八王子市立第5中学夜間学級)先生を中心にルポは進められている。夜間中学に学ぶ渡日生徒、不登校であった人など4人の実例を挙げながら明らかにしている。
「教師が『日の丸・君が代』の強制に屈服している姿を見れば、自分の考えは自由に表現できないのだと、生徒は自己規制してしまう。結局、生徒が一番の被害者なのだ」との指摘は大変重い。

在日朝鮮人女性による「下位の対抗的な公共圏」の形成
徐阿貴著 御茶の水書房    2012.2.29発行
 著者は横浜生まれの在日朝鮮人3世で社会学・ジェンダーエスニシティの研究者である。御茶ノ水大学に提出した博士論文をもとに本書を著した。「大阪の夜間中学を核とした運動」と副題がついてるように、1990年国際識字年を契機に大きく高まった夜間中学増設運動とりわけ東大阪市で始まった長栄夜間中学の分離独立運動を詳細に扱っている。在日朝鮮人の夜間中学生が運動の舞台を大きく廻していったその展開と湧き上がる力の源を分析した著書だということができる。運動を担った14人の在日朝鮮人女性のライフコースの聞き取りを行い、増設運動が形成された要因を詳細に分析している。
 夜間中学で実践されている人権教育、識字教育と社会を変える運動について、著者は「公的領域への回路としての公立夜間中学」と表現している。この点について私たちは「学びは運動につながり、運動が学びを育てる」と表現している。夜間中学にとって示唆に富む論述が展開されている。
「夜間中学増設運動は獲得した文字とコトバで主流社会に対抗的な言説を生み出す」この指摘は、パウロフレイレの主張とも重なる。

教育の豊かさ学校のチカラ
            瀬川正仁著 岩波書店 2012,7,13発行
岩波の『世界』で連載された記事が単行本化された。文科省が「学校」と認めている教育機関の中で「自分たちのポリシーを貫き、児童生徒と真剣に向き合っていると感じられた」学校として、刑務所の中の学校、健康学園、夜間中学など7つの教育現場を取り上げている。
ここでは学校も教師も教育の原点に立ち返り、目の前にいる生徒たちに何が必要で、自分たちは何ができるのか真剣に向き合って生まれてきたものを「教育の持つ豊かさや学校が持つはずの力」を伝えようとして編まれた。
夜間中学(珊瑚舎スコーレ)の実践が著者の眼にどのように伝わったのか大変興味があった。学校、授業、学びの意味、教師の仕事などについて、これまで私たちが夜間中学から発信してきたことと重なる部分が多くあることに驚いた。
「夜間中学」について著者は「よい仲間がいて、みんなといっしょに新しい知識が身につけられる。こんな楽しい場所、世界中探してもほかにない」「夜間中学生だけでなく、教員もまた成長できる場、それが夜間中学の真骨頂なのかもしれない」と書いている。

[ 2013/06/22 19:00 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。