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コラム・風「日露国境問題」:片山通夫

 6月12日の朝刊を見て目を疑った。ロシアとエストニアとの国境交渉がまとまったという記事が朝日新聞の朝刊に掲載されていたのだ。記事はエストニアの首都タリンで取材されたものだった。勿論、まだ両国の議会での批准という手続きが残されているが。ロシアは過去に中国との国境紛争にも終止符を打った。これで残るは我が国との国境問題だけだ。ロシアは全力で北方領土問題にぶつかってくるのか、それとも・・・・。


 ここで少しエストニアという国に触れておきたい。エストニアは、1219年デンマーク人が進出し、タリン市を築いたときからはじまるようだ。その後、1346年にドイツ騎士団が進出し領有した。1629年にはスウェーデン領となり、1721年北方戦争の結果ロシア領となる。1918年ロシアから独立を宣言。1920年ソ連と平和条約を締結。1940年にはソ連に併合されたが、1991年9月6日にソ連国家評議会がバルト三共和国の国家独立に関する決定を採択し独立した。その後、2004年にはNATOとEUに加盟。ユーロにも加盟している。人口130万足らずの小国であり、面積はわが国の1割強だという。その小国はざっとここで述べたように、実に目まぐるしい変遷の歴史を経験している。

 そのエストニアが、東側にある大国ロシアと国境問題を解決したというニュースは、もう一度書くが、筆者の目を疑わせる大事件だ。エストニアにはエストニア人65%、ロシア人 28% ウクライナ人 3% ベラルーシ人 2% その他 2%という人口構成で、エストニア人に次いでロシア人が28%も占めている。いわゆる多民族国家なのだ。どこか東洋の東の端に位置する国で、在日外国人排斥運動などを起こしているのとは、そのたち位置が全く違う。これはエストニアが歴史的に見て近隣の大国に侵略されてきたことと無関係ではないと思われる。

 さて、わが国もロシアと《北方領土》という国境問題を抱えている。安倍政権はロシアとこの問題で具体的な進展を目指している。安倍首相は《自分の政権時代》に解決を図りたいという強い希望を持って事に臨んでいるように見受けられる。しかし、ことはエストニアの例に見られるように、うまく進めることができるか筆者には大いに疑問だ。その理由をいくつかあげてみたい。

 まず一つは、北方領土はロシアにとって《戦争の結果得た領土》だという意識がある。仮にプーチン大統領が、日本に譲歩してたとえ2島でも返すという意思を述べた場合。ロシア国内でプーチン大統領の国内でのパワーは地に落ちる危険がある。そのことを最も理解しているのが、ほかならぬプーチン大統領自身だろう。プーチン大統領の任期は、現在の期とうまく行けばもう一期ある。それまでに解決するパワーをわが国の政権が持ち続けることができるか否かはなはだ疑問だ。おそらく現政権はそこまでもたない可能性のほうが高い。

 次に、仮にロシアが《ある程度の譲歩》を提案してきた場合のことを考えよう。プーチン大統領は《引き分け》と述べている。また、1956年の日ソ共同宣言に関するものです。プーチン(当時首相)はこの共同宣言には、「2島がいかなる条件下で引き渡されるのか、またその島がその後どちらの国の主権下に置かれるのかについては書かれていない」と述べている。
 このことは2島返還、ただどのような条件かは、全く見えてこないということになる。これでわが国の国内世論が納得するのか筆者には疑問であり、納得させるだけの《力量》が安倍政権にあるのか、これもはなはだ疑問である。

 いささか古いが、毎日新聞(2013年04月11日)に鈴木宗男氏と森喜朗氏の対談が掲載された。この記事の中で、鈴木宗男氏は《明らかに外務省の説明不足です。確かに旧ソ連時代は先方が「領土問題は存在しない」という姿勢だったから基本は「四島即時一括返還」だった。しかし91年のソ連崩壊後、日本政府は「四島の帰属が認められれば返還時期、方法は柔軟に対応します」、つまり時間差があっていいと方向転換したんです。けれども国民にちゃんと説明しないからロシア側に「日本の世論はあやふやだ、弱く出ればつけこまれるぞ」という懸念を抱かせる結果になった》と述べている。両氏とも、ロシア通で知られる政治家だ。外務省の官僚と政権が《日本国民にちゃんと説明しない》というわけである。これでは国内は治まりようがない。

 領土問題という重要なテーマを、国民に対して情報を小出しに出していては、いざというとき国民は納得できないのではないか。それでは「国内世論が持たない」という理由で、交渉をとん挫させなければならない。外務省も過去の事例にこだわっていては話は前に進まない。
 《その時のために》今から国民に丁寧に説明をして行く必要がある。
[ 2013/06/15 09:58 ] 片山通夫 | TB(-) | CM(-)


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