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竹島を日韓の共同管理に:波佐場 清

島根県が主催した2月22日の「竹島の日」記念式典に政府代表が初めて出席し、韓国側が激しく反発している。昨年8月の李明博大統領の竹島(韓国名・独島)上陸で冷え込んだ日韓関係は2月25日に韓国で新しく朴槿恵政権がスタートするのを機にリセットが期待されたが、修復は容易ではない。


安倍首相は度量が狭すぎる。自民党は昨年末の衆院選公約(政策集)に政府主催式典を開くと明記したが、日韓関係の現実を考えるとどだい無理だった。政府主催を避けたのは至極まともな判断だが、公約とのつじつま合わせの結果が、閣僚でも次官でもない、内閣府政務官(領土問題担当)の式典派遣となった。みみっちく、姑息さを感じてしまう。実現できない公約など、初めから掲げるべきではない。

安倍首相にはこの東北アジア地域で描くべき、大きな構想が見えてこない。結論から言って私は、竹島については日韓の共同管理を将来のあるべき姿として考えるべきだと思っている。

竹島の日韓共同管理といえば、橋下徹大阪市長が昨年秋に打ち出した共同管理案を思い浮かべる人も多いだろう。これについて比較的丹念にフォローした産経新聞によると、橋下徹市長は次のようなことを言っていた。

▽韓国が不法占拠し実効支配している現状を、武力で変えるのは無理だ。国際司法裁判所(ICJ)への働きかけを強めつつ、韓国との共同管理を目指すべきだ。
▽領有権放棄ではない。(漁業海域などの)利用について共同でルールを定めるということだ。
▽ぼくが言っているのは領有についてではなく、利用についての共有。国益は利用に価値があり、漁業権、海底資源利用など周辺の海域を含めた利用ルールを作る意味で、共同管理という言葉を言った。

これには仲間内からも批判が飛び出し、弁明に追われる形で述べた発言も多かった。ここでいう共同管理案の趣旨自体、私にはどうも理解しにくいところがある。その哲学が私にはよく伝わってこない。そして何より橋下徹市長自身、最近、このことについてあまり発言していないようだ。

橋下徹市長の真意がどうであれ、私がここで提唱したい竹島の日韓共同管理構想は、ヨーロッパのことを念頭に置いている。欧州連合(EU)である。

外務省の国際情報局長や駐イラン大使を歴任した孫崎享さんはその著書『不愉快な現実————中国の大国化、米国の戦略転換』(講談社現代新書)の中で、次のようなことを書いている。

▽今日、独仏が戦争をするとはだれも思っていない。独仏は第1次世界大戦、第2次世界大戦でも戦ったのに、いまはなぜ、そうなのか。

▽第2次大戦でドイツ領からフランス領に移ったアルザス・ロレーヌ地方は九州の7割くらいの広さで、そこにはドイツ語系のアルザス語を話す100万人が住んでいた。

▽しかし、ドイツはアルザス・ロレーヌ地方を取り戻そうとはせず、別の生き方を発見した。独仏間では石炭・鉄鋼が戦争の原因の一つになっていたことを踏まえ、これを共同管理するために1951年、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)をつくった。それがEUに発展し、戦争の心配がなくなった。

示唆的である。竹島は、ちっぽけな岩礁でしかない。アルザス・ロレーヌ地方とは比ぶべくもない。それで日韓関係がおかしくなってしまうというのは、とても帳尻が合わない。それは日中間の尖閣諸島についてもいえることだ。

われわれはヨーロッパ、独仏の知恵に学ぶべきだ。実際、ヨーロッパは石炭鉄鋼共同体からスタートし、追っかけ作られた欧州経済共同体(EEC)、欧州原子力共同体(EURATOM)も併せて1967年に欧州共同体(EC)を結成、そこからEUにつなげていったのだった。激しい殺戮の戦争の末に共存共栄への知恵を働かせ、長い年月をかけて平和を育て上げてきたというわけである。

竹島の日韓共同管理といっても、歴史の問題と絡めて考える韓国側はすぐには乗ってきそうにないと思われる。しかし、ここは日本側に忍耐が必要だ。過去35年間にわたって朝鮮半島全域を支配下に置き、多大な損害と苦痛を与えたことを考えるとき、ちっぽけな岩礁のことで当分我慢することくらいは何でもないはずだ。

この問題は、東北アジアの共存共栄と平和を織り込んだ大きな枠組みの中で考えていくべきだ。韓国側にもいずれ分かってもらえる日がくるはずだ。

今年1月4日、朴槿恵さんは次期大統領として安倍首相の特使で訪韓した額賀福四郎元財務相を迎え、次のように言っていた。

▽歴史を直視しつつ和解と協力の未来を志向し、そのために両国間でたゆまぬ信頼を積み重ねていくことが重要だ。

この部分は日本のマスメディアもこぞって報じていたのだが、管見の限り、次のくだりは韓国のメディアだけで伝えられ、日本のメディアではなぜか、抜け落ちていた。

▽東北アジアと世界の平和と繁栄のために共に協力していくパートナーとして、韓日両国間の緊密な協力が東北アジアの経済共同体ビジョン実現へ向けて中心的な役割を果たす(聯合ニュース)。

朴槿恵さんはここで、東北アジアの経済共同体に触れていた。ヨーロッパの例でみても、いまの欧州連合(EU)に至るまでには、すでに見たとおり欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)に始まり、欧州経済共同体(EEC)、欧州原子力共同体(EURATOM)、欧州共同体(EC)といった共同体の過程があったのである。

朴槿恵さんはその共同体の実現を安倍首相の特使に持ち出していたのである。3年半前、自民党から民主党への政権交代のさい、あれほど脚光を浴びた東アジア共同体構想はいま、安倍首相の口からはもとより日本のマスメディアでも語られなくなった。これはいったい、どうしたことなのか。
 コリア閑話より http://hasabang.blogspot.jp/2013_02_01_archive.html
[ 2013/05/21 22:19 ] 波佐場 清 | TB(-) | CM(-)


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