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夜間中学その日その日 (292)   守口夜間中学 白井善吾

麦の穂が出るころ(その2)
 前回の「夜間中学その日その日(291)」を守口夜間中学教師集団発行の新聞「拳(こぶし)」に編集し、理科の学習で夜間中学生の語りを紹介、その日の学習をおこなった。言い足りなかったことを文章にしてみようと提起した。そこで生まれた次の文章である。(2013.4.18)


10年もっと前、韓国は麦ごはん しょくどうが たくさんできました。麦ごはんがけんこうにいいから、たくさんの人たちが たべるからです。麦ごはんにだいこんはっぱキムチとコチュジャンいれてビビンバしてたべたらおいしいです。

 私が 小学生の時によく 食べていました。母さんが いつも 麦ご飯食のほうが栄養があって 体にええねんって言っていました。でも学校に麦ご飯をもっていくのが いやでした。でも 弁当を食べないと おなかがすくので 食べました。

 麦は こうえんの畑でつくっていました。 8才か9才でした。11才の時にやめました。(*「11歳の時終戦になりました」)

 私の家は 母親が麦がきらいでしたので、食べたおぼえがない。麦より がいまいのほうが あたたかいときに食べよと言っていました。

 子供のごろは 大きらいだった麦ご飯でしたが いまは 自分から すすんで食べています。

 麦ごはんを食べたのは10才のころと思います。いつごろまで食べていたか おぼえていません。米と麦と半はんでした。おいしかったです。

 子どものころは私もべんとうの麦ごはんを学校へもって行くことがはずかしくてごはんの上にかつおぶしのこなをかけ、しょうゆをかけてごまかしてもって行ったことを思い出しました。今は体のために毎日食べています。十穀米を食べています。

 今日麦のはなしのべんきょうしました。いまもごはんがおいしくない時はたまに麦ご飯をつくって食べます。だからかん国に行ったときはいまも麦をかってきます。 (*日本で売っている麦は押し麦で、味が悪い。韓国で売っている麦は押し麦でなく、そのまま白にしたから)

 麦7分と米3分で麦ご飯をたいて食べていました。まんじゅうもつくっていました。あんこはカボチャのあんで、サッカリンで味つけしていました。今は使えませんが、とおい昔のことです。なつかしい味です。

 母が一月分の米と麦をまぜて、箱に入れていました。そこからちいさなますで分けて、一日分をたいていました。母のすがたを思い出します。

 麦ごはんをじぶんでたいて食べています。今日も麦をかってきました。

 教室は静かになって、鉛筆を動かす音だけになった。できるだけ漢字を使おうと、辞書を引く人。携帯電話を使って、漢字を検索する人もいた。その間に、3種類の松の葉を配り、双眼実体顕微鏡をセットした。
 5分ほどで書き上がった各自の文章が集まってきた。その場で読み上げ、紹介した。戦争中近くの公園を耕しそこに麦を栽培した。千歯扱きで穂を集め、木槌でたたいて脱穀した。10歳の子どもにとってきつい労働だったに違いない。次の時間に各自の文章に質問をしてふくらましてみたい。
 そのように伝え、松の葉の勉強に進めた。
3種類の松葉は葉の長さが異なる。その長さを測った。定規を当て測った長さが読み上げられる。それを黒板に書いた。大・中・小、平均すると37cm・18cm・2cmとなった。
葉の肌触りを比べると「どれも、つるつると、ざらざら、なでる方向によって違います」大が一番ざらざら、次に小、そして中と肌触りが異なる。先端を皮膚にあて、どれが痛いかも調べた後、実体顕微鏡で観察、スケッチをした。「これは痛いですわ」「きゅうりとそっくりです」「白い点々が7列あります」顕微鏡をのぞいた様子を自分の言葉で表現する。だんだん着眼点がふかくなってくる。初めの人はもう一度覗いて後の人が言った説明を確かめている。葉のふちに大きなトンガリが一方向を向いて、等間隔で並んでいることを説明、もう一度観察をやってもらった。
 わたした松葉の本数を数えると。大は3本、中は2本、小は5本であることが分かった。そこでプリントを配り、鉛筆を持って記入を行った。大はダイオウマツ、中はクロマツ、小はゴヨウマツ。
 雄花に残っている花粉を確かめ、雌花を観察した。「松ぼっくりと同じ形ですね」。その時、「先生、ある種類の松の新芽の皮をはいで食べられるんです。朝鮮戦争の時、食べ物がなくなった時、新芽の皮をむいて軸をなめると甘いんです。よく食べました」「花粉も食べるんですよ、きな粉餅のようにして食べたり、型に入れ、押し出し。はくせんこうのように、色を付けたお菓子です。韓国の宮廷料理の一つです」興味深い話が次々出てくる。
 松の花粉を実体顕微鏡で見ると、倍率が低いが星のように見える。浮き輪をつけた花粉であることを伝えた。「小さいのに、いろんなことを考えて、工夫してますね。えらいですね」
 「みんなおんなじこと考えとったんやね」。夜間中学生の文章や語りを通して、夜間中学生同士がつながり、世界が広がり、社会を見る眼が鍛えられていく。
[ 2013/05/02 09:46 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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