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夜間中学その日その日 (288)   守口夜間中学 白井善吾

「形式卒業者」の入学について
夜間中学の生命線を握っているのは夜間中学生だ。夜間中学生が日常接している夜間中学の教員に大きく影響を受けていることも事実だ。逆に教員は夜間中学生の問いかけを受け、夜間中学のとりくみを行ってきていることも多い。したがって、教員も生命線に大きく影響していることになる。


夜間中学生から教員が問いかけを受けた例として、大阪の夜間中学のあゆみの中で第18回全国夜間中学校研究大会(以下18回大会と略)と自衛隊のイラク派遣反対に立ち上がった夜間中学生の署名活動がある。
「形式卒業」といわれ、学齢時、さまざまな理由で学校には行けず(行かず)、学齢を終える年齢まで、関係者はいろいろと手は尽くしたが、登校できなかった。そして「将来卒業証書がなくては困るであろう」と関係者が考え、在籍校で卒業証書が発行された子どもたちの存在である。したがって、本人は自分が卒業証書を発行されていることを知らないことが多い。1971年、大阪で18回大会が開かれたとき、「形式卒業」者の夜間中学入学を巡って夜間中学生や卒業生が入学を認めるよう全体会で告発をおこなった。11月27日朝刊の各新聞は写真入、7段の扱いで報道した。各社記事見出しは
壇上占拠し文部省追及 入学断られた若者ら 「形式卒業生に門開け」
〈朝日〉。
   生徒、演壇占拠し混乱 〝形式卒業〟対策迫り 文部省・教委へ追及の
矢〈毎日〉。
と報じている。
17回大会でも改善を求めていた夜間中学生の主張に対し、改善をする具体的回答がない中、出席していた文部省の中島課長補佐に夜間中学生は2年越しの回答を求めた。そして2日間にわたる話し合いの末、入学を認める文部省の回答を引き出した。さらに夜間中学生自身の言葉で「形式卒業者の問題について話をして、形式卒業者もみな(入学を)認めるということをはっきり言われましたので、夜間中学の全部の先生方と教育委員会の方と文部省の方は絶対に入学を断らないと約束してほしい」とまとめ、さらに踏み込んだ回答を求めた。文部省の中島課長補佐は「学習したいという人たちに対しては学習の機会を与えるよう努力していきたい」と答えている。大阪府、大阪市の担当者も「学習の機会を作るわけですから、(夜間中学を)作らなければならない」と発言した。
この流れを受け、18回大会の後、1974年ごろ、全国の夜間中学では150名以上の「形式的卒業の扱いを受けた」人たちが夜間中学で学んでいた。それから40年近く時間が経過する現在、夜間中学や行政担当者にこの経過が正しく引き継がれていない現状がある。入学を断っているのだ。学齢時、学籍があった学校が卒業証書を発行したのだから、「もう一度学籍を起こすのはおかしい」という理屈だ。
学齢をはるかに超えた年齢になって、「義務教育は必要だ、きっちり学んでおきたい」と決意して夜間中学に入学を求めて来校された方と面談をすれば、日常生活でいかほど困られたか、卒業証書がいかに実態を反映したものでないかは歴然だ。
ある教育行政担当者とこのことについて話した時「私もこんな形で、卒業証書を発行したことがあります。そんな人が夜間中学に入学したいと来られた時、入学して勉強させてあげてください。卒業証書を渡した学校や行政もその方に一番良い方法で支援したい」と話があった。これが普通世間の反応だ。
「個に合わせ、制度を変えていく」、夜間中学のあゆみの中で確立した夜間中学の考えである。義務教育を終えることができなかった理由を、個に問題があるからと個人の責任にするのではなく、社会全体で受け止め、その根本的解決を図る制度を考えていくことが重要ではないだろうか。
18回大会で行った夜間中学生の提起を私はこのように受け止めている。自分がやろうとしていることは、制度はこうだからと個を切り捨てるやり方になっていないか考えるようにしている。
去年、気になる報道があった。住民票を残したまま行方不明になり、学校に行っているかどうか分からない「居所不明児童生徒」が増えているとの報道(2012.5)だ。学校基本調査で文科省は毎年統計を取っているが、それまで300から400人で推移していたが、2011年度は1191人になったというのだ。文科省が調査方法の統一を指示したことにもよるが、愛知県272人、東京都200人、大阪府153人、神奈川県142人、千葉県96人の順だ。
もう一つはユニセフの最新データで、日本の「子どもの貧困率」が35カ国中9番目という高さになっているとの報道もあった(2012.6.10)。貧困率とは、その国の国民一人ひとりの可処分所得を計算し、その真ん中の所得の半分に届かない人の割合。相対的貧困率とも言うのだそうだ。今の日本の社会、経済情勢の中で、義務教育未修了者が生み出されているのではとの予想が当たらなければよいが、しばらくして、この動きは夜間中学にも伝わってくるはずだ。(つづく)
[ 2013/04/04 22:41 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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