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コラム・風 「フォークランドと尖閣諸島」:フリージャーナリスト 井上脩身


 南大西洋のフォークランド(アルゼンチン名・マルビナス)諸島で、島の帰属をめぐる住民投票が行われ、世界中の注目を集めた。30年前、同島の領有を主張するアルゼンチンに対し、鉄の女・サッチャー英首相(当時)が武力攻撃に打って出たいわくつきの島だ。これが実はよそ事ではない。安倍晋三首相が施政方針演説で、尖閣諸島問題に絡んでサッチャー元首相の言葉を引用したのだ。中国にも武力で当たる、というのが首相の本意ならば、「太平洋のフォークランド紛争」が起きかねない。


 フォークランド諸島はアルゼンチンの東約480㌔の大西洋上にあり、約200の島からなる。総面積1万2173平方㌔で、現在、英国人約3000人が暮らしている。1592年、イギリスの探検家、ジョン・ディヴィスが島についての記録を残したことがイギリス領有の根拠。1982年3月、アルゼンチンの輸送艦がフォークランド諸島東の英領サウス・ジョージア島に寄港、民間人を無断で上陸させた。4月、アルゼンチン陸軍約4000人がフォークランド諸島に上陸し、同島を制圧。紛争の火ぶたが切られた。
 サッチャー首相は「我々は武力解決の道を選ぶ」と宣言。長距離爆撃機による空爆などで形勢を逆転させ、6月14日、アルゼンチン軍は降伏した。この紛争でアルゼンチン軍は649人、イギリス軍は255人が戦死した。90年に両国の国交が回復したが、近海に油田があるとされ、領土問題はなおくすぶり続ける。
 一方の尖閣諸島。わが国が実効支配をしているのに対し、中国は領土権を主張。昨年8月、香港の民間船が同諸島の魚釣島に接近し、7人が上陸した。中国艦船はその後、同諸島周辺に恒常的に出没。1月30日には海上自衛隊の護衛艦に火器管制レーダーを照射するなど、同諸島をめぐってフォークランド前夜にも似た緊張の高まりを見せている。
 こうした中で行われた安倍首相の施政方針演説。サッチャー元首相がフォークランド紛争を回顧して「力の行使による現状変更は何も正当化しない」と述べた言葉を引用して中国側の「力による威嚇」をけん制した。そのサッチャー元首相は武力でアルゼンチン軍を押さえこんだ事実を忘れてはならない。サッチャー語録を使用することは、同時に「戦争をも辞さない姿勢」の表明なのである。
 「強い国」を目指す安倍首相は「病弱なアベ」から「鉄の男・アベ」に変身したいようである。だが、鉄で相手をたたけば、その反動は時として何倍もの力で我が身に返ってくる。尖閣諸島については、単なる領土問題にとどまらず、日中双方の思惑が複雑に絡むだけに、リーダーとして求められるのは鉄の硬さではなく、柔軟に対応できるしなやかさである。
[ 2013/03/16 01:20 ] 井上脩身 | TB(-) | CM(-)


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