ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト

ジャーナリストの取材記事、論考などそ掲載するブログ
ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト TOP  >  スポンサー広告 >  片山通夫 >  コラム・風「北方領土問題」:片山通夫

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

コラム・風「北方領土問題」:片山通夫

 「我々は島々を共同で利用し、投資のための可能性を提供し、日本からの投資を保護し、ビジネスのための条件を作り出す用意がある。それは今すぐにでもする準備がある。しかし日本側は違う立場をとっている。日本人らは、『最初に島の領有権問題を解決し、それから投資を行う』と言っている。そうはいかないのだ。」ドミトリー・メドヴェージェフ、ロシア大統領(2008年-2012年)はこのように過去に述べた。



 この見解はプーチン大統領にとってもあまり変わらないかもしれない。今、モスクワを森元首相が特使として訪れている。ロシアのメディアは、これに合わせて大キャンペーンともいうべき論陣を張っている。「南クリル諸島の返還は、日本にとって国家の威信をかけた問題だが、ロシアにとってその維持は、国家安全保障の要となる」(ロシアの声)といった論調だ。

 ここで述べている「国家安全保障の要」とは、次のようなものだ。
《南クリル諸島が重要な軍事戦略的意味を持っているとしている。米国の戦略パートナーとなっている日本の主権下に島々が移管された場合、ロシアの太平洋艦隊はオホーツク海に閉じ込められ、太平洋への出口を失う。特に冬季には、凍らないのはウルップ島とイトゥルプ島の間にあるフリズ海峡およびイトゥルプ島とクナシル島の間にあるエカチェリーナ海峡だけのため、封鎖は容易に可能だ》というものである。ほかにも、《鉱石や有色金属、水銀、天然ガス、石油などの資源が確認されている。イトゥルプ島にあるクドリャーヴィイ火山付近には、世界で唯一のレニウム田がある。ロシアにとって、南クリル諸島が重要な経済的意味をもっていること》は明白だと断じ、筆者などは「これは絶対に返さない」という印象を受けてしまう。

 昨年、筆者が発行している電子雑誌Lapizの特集で根室や羅臼といった北方領土周辺の町を取材した。そこでは、《中間線》が、目にはみえないが海の上にひかれていて、スケソウや昆布漁などの漁のできる領域が、著しく狭められていることを実感した。根室の納沙布漁港で、ある老漁師は「せめて2島(歯舞、色丹)だけでも帰ってくれば、大きな利益を我が国は得られるのだが」と嘆いて見せた。また羅臼漁港で早朝の雨の中、黙々と水揚げしたスケソウを市場に届けるために働いていた女性は「大きなお金をロシア側に払わなければ、国後島には近づけない」とつぶやく。

 ここで《段階的返還論》というものが出てくる。鈴木宗男氏の言う《段階的返還論》は、「色丹島と歯舞諸島の二島のみが日本領土である」とするロシア側の主張とは異なり「四島とも日本固有の領土であるが、まずは二島を返してもらおう」というものである。もし鈴木宗男氏が言うように《段階的返還論》が我が国の主流を占めていれば、もうすでに色丹島と歯舞諸島の二島は返還されていたかもしれない。

 では、ロシア人たちの考えの大勢はどうか。プーチン大統領の《剛腕》にも、いわゆる民主化の波の中でいささかその腕も鈍ってきたように思える。そんな現在、如何にプーチン大統領と親しいといっても、森元首相には限界があろうことは想像に難くない。毎年2月7日の《北方領土の日》には、ユジノサハリンスクで《南クリルは我々の血であがなった》というデモンストレーションが、在ユジノサハリンスク日本総領事館前で行われる。彼らロシア人にとっては《血であがなった》領土なのだ。
 まして、先に述べたように「ロシアの太平洋艦隊はオホーツク海に閉じ込められ、太平洋への出口を失う」破目に陥る。ことは軍事上の問題だ。
 残念ながら、そうすんなりと返還されるとは思えない・・・。
[ 2013/02/23 07:14 ] 片山通夫 | TB(-) | CM(-)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。