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夜間中学その日その日 (276)   守口夜間中学 白井善吾

2013年1月、3学期
3学期の学習が始まった。私は新年の挨拶を交わすのはどうも苦手だ。夜間中学生はそのことをよく知っている。廊下の片隅から私を見つけ、「おめでとうございます。本年もよろしくお願いします」。飛び切り大きな声で新年の挨拶がある。

頭は下げるんだが、声が出てこない。口でモソモソ言って、頭を上げると、夜間中学生はまだお辞儀をしている。あわててもう一度頭を下げることになる。そして「先生、お元気ですか?」先に夜間中学生から声をかけられてしまった。この間合いの悪さは、いつまでたっても直らない。

それにしても夜間中学生は元気だ。冬休み中の12月25日、守口市教育委員会との話し合いに、夜間中学生13人が参加した。この日は、夜間中学生だけが発言した。教員は発言する必要がなかった。
「義務教育は9年間、門真市の就学援助は6年間。私は今年で6年が終わります。4月から夜間中学には来れません。私は勉強がしたいです。しかし通学費の援助がないと通えません」「守口市は40年近く、守口市民でない人たちにも就学援助をやってくれました。あの橋下さんが大阪府の補助をなくしたばかりに、他市に住んでいる人には就学援助を止めてしまいました」「7年目以降も通えるように守口市が先頭に立って話を進めてください」「40年近くやってきてくれた守口市は他市に言っていく資格があります」
教育委員会の担当者は1月中に北河内7市の話し合いを行うと約束した。「その話し合いに私たち夜間中学生も参加して話をさせてください」とも語った。
「私たち黙ってたらあきません。一人一人が声をだし、無口な私も今日初めてしゃべりました」「今日の話し合いは一つの授業です」「そうです。社会勉強です」「今日の話し合いのこと、新学期最初の生徒集会でみんなに報告しましょう」このように最後のまとめも夜間中学生がおこなった。

新学期、一番に登校してきた夜間中学生は教育委員会との話し合いの参加者だ。話し合いご苦労さんでしたと言うと、「私ら黙ってたらあきません。言い続けんとあきません」と返事が返ってきた。そして新年は家から自転車で、成田不動尊と天満の天神さんに初詣に行ってきたとのこと、すこぶる元気だ。

新年最初の学習は、「干支の話」が私の定番である。今年は順番を変えた。大晦日の毎日新聞のコラム「余録」の「いろはカルタで1年を振り返る」を紹介した。「【い】維新伝心ままならず【ろ】ロンドンでメダルどんどん【は】母も見つめた授賞式【に】にわかに核物騒論‥」と続く。
「いしんでんしんままならず」みんなで何回か繰り返して声を出して読んでいると夜間中学生がしゃべり始めた。「いしん、言うたら橋下さんの、維新のこととちがうか」「そうや、へんなのんとくっつくから‥」「そんなことするから、信用がたへりや」「口で言わなくても心が伝わるというのが本来の意味や」。
「うまいこと書いている。最初は何のことかと思っていたら、何回も声出して、読んでいてわかってきた。オリンピックのことや。ろんどん・どんどん・・」。「ろんどんと、どんどん。しゃれみたいな、まぁ一つの、言葉遊びや」「ロンドンオリンピックのメダルは日本はたくさん取った」。「28個やったか?」と言うとすかさず「違う、38個や!」。よく知っている。・・

自分の気に入った「いろはカルタ」を選んでその解説を短文でまとめることにとりくんでもらった。どんな解説文ができあがるのだろう??
2013年1月、3学期の学びはこんな具合だ。
[ 2013/01/13 00:10 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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