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夜間中学その日その日 (272)   守口夜間中学 白井善吾

「被ばくツバメ」
 授業の準備のため教室に入ると、「たくさんの政党ができて、次の日には名前が変わっている。託せる党はどこやろう?」ストーブを囲んで、夜間中学生の会話だ。
前の時間、原発で働く人たちの被曝の問題をみんなで考えた。


「あちらこちらの原発現場で、被曝線量を隠したまま、働きつづける。どれだけ被曝したかがわからず、健康がむしばまれていく、こういう差別された労働者の存在なしには、原発は運転できないのです。原発という発電方式の最大の欠陥は、原発で働く労働者の人権を無視して犠牲を強いる点にある」(山口幸夫著『原発事故と放射能』岩波ジュニア新書)
社員と社員外労働者の被曝実態のグラフを示して考えた。正社員は放射能を浴びず、社員外の人たちが浴びて、「賃金も『ピンハネ』されているやろ。こんな差別の上に犠牲の上に成り立つのが原発」である。
この日は「被爆隠し 偽装請負認定」(2012.12.9朝日)に東京電力から始まる鉛カバーを使った被爆隠しの構図の報道があった。この構図を使って、多重請負の実態を考えた。  
そして次の文章を示した。文章の題は空欄にして、後で考えることにした。
「2011年春、困難を乗り越えて、故郷『フクシマ』に生還したツバメたちが巣をつくり始めました。巣作りの材料は泥とかれた草です。すべて放射性セシウムをはじめとして放射能に汚染されています。ふ化した雛がどれだけの量の『外部被ばく』をしたか考えたくもありません。親ツバメがせっかく運んできてくれたエサも、放射能が大量に含まれていることは容易に想像できます。ツバメの雛の『内部被ばく』です。厳しい自然の中で、『フクシマ』を故郷とする『被ばくツバメ』たちが、来年帰ってくる体力があるのでしょうか。福島が『フクシマ』となってしまった2011年春、多くのツバメたちを見るにつけ、こんな想いが頭をかけめぐり、涙をこらえることができませんでした。東京電力福島第一原発事故から2年目の春が過ぎました。昨年、あれだけたくさんいたツバメが、めっきり減ってしまっているように感じられます。杞憂であることを願っています」(『子どもたちのいのち未来のために学ぼう放射能の危険と人権』(明石書店)所収)
 何度も読んで考えた。「巣から落ちた雛を助けるため、親ツバメが大きな鳴き声を出して、人間に知らせていた。その家の人は雛に手を触れないように、うちわで雛をすくって、巣に戻した。親ツバメはどんだけ喜んだ声を出していたか」「ツバメは賢い鳥や、巣立った家に戻ってくる。しかし放射能に汚染されていることは知らないはずや」「虫を取ってきて、子どもに食べさす。体の中に放射能を出すものが入ってくる」「そしたら、糞の中からも放射能がでてるっていうことか」「先生、これ、ツバメやけど、福島に住んでいる子どもたちのことではないやろか?」
夜間中学生は鉛筆をもって考えを文章にした紹介する。
「原発によってその被害はあらゆる小さな動物や虫そして鳥に至るまで連鎖反応のように被曝していく。原発事故の恐ろしさを改めて知った」
「人間だけではなく、自然の動物植物まで被曝するということで原発ゼロを願います」
「ツバメ、人間も放射能に汚染されてしまった。これからはどう、前向きに歩いて行ったらいいのだろう。未来はどうなるのか」
「人間のエゴにより、何もわからないツバメのエサも放射能で汚染させてしまった」
「原発はやはりゼロになってほしい。日本は地震国である以上原発は作ってはいけない。先日も大飯原発も活断層の上に建てられていることが分かったみたいです。絶対に大飯原発は再稼働してはいけない」
「ツバメさん達、放射能を浴びて内部も外部も傷だらけ、想像してもかわいそうです。この傷は子孫に続くのですか」
「人間の被ばくはみんなで助け合いができますが、野鳥や動物はどうなるのでしょうか。私は今、その方が心配です。一羽の鳥でも、1匹の動物でも、命にかわりはないと思います」
「原発絶対ない世界にすること。投票日にはよく考えて入れます。生き物が安心できるように」
この文章の題も考えた。「ツバメたちのフルサト」「まけないでツバメ」「原発のない日本」「フクシマ育ちのツバメたちの悲劇」「私たちの子や孫へ」「原発は地球の悪魔だ」「自然の中で生きるツバメ」「自然の中に生きる生態は今」「被ばくツバメ」
 ある夜間中学生は次のように言った。「選挙権のある人、しっかり投票してくださいよ。私ら、税金はしっかり取られても、選挙権はありません」
[ 2012/12/13 23:13 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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