ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト

ジャーナリストの取材記事、論考などそ掲載するブログ
ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト TOP  >  スポンサー広告 >  三室勇 >  日曜新聞書評欄簡単レビュー:三室 勇

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

日曜新聞書評欄簡単レビュー:三室 勇

今週も日曜日恒例の新聞書評欄から。

朝日――
筒井清忠『昭和戦前期の政党政治 二大政党制はなぜ挫折したのか』(ちくま新書、945円)、評者・中島岳志。よく現在の社会状況が戦前の二大政党制崩壊前後の時期にたとえられる。大正末期から昭和初期に二大政党制が成立する。民政党と政友会である。評者は本書を次のように紹介する。「著者が着目するのは、普通選挙法施行による政治の質的変化」であるとし、「政党政治が大衆の支持を追求し、急速に「劇場型政治」へと転換する。そのきっかけになったのが「一枚の写真」だった」。「一枚の写真」とは、椅子に坐る朴烈が金子文子を抱いている写真で、このふたりは関東大震災の混乱時に大逆罪で逮捕される。死刑判決後、大赦で無期懲役となるが、文子は1926年に自殺している。このときに報じられたのが、この写真である。大逆罪のふたりが予審調査室で抱きあうとは何事か。「一枚の写真」で世論は沸騰したという。内閣は野党とメディアから叩かれ、政権は崩壊する。この写真を新聞に載せる手配をし、政権転覆を仕掛けたのが北一輝だった。政党間でスキャンダラスな暴露合戦が行なわれるとき、使われたのは「天皇・皇室を蔑ろにした」というイチャモンだ。この叩き合い政治により二大政党制は崩壊し、軍部による政権掌握へと進むことになるわけだ。評者は、最後のところで「『既成政党批判』と『第三極への渇望』が招いたのは、大政翼賛会という名の『政党政治の崩壊と無極化』だった」という言葉を引用して、過去を顧みない人間は、同じ過ちを繰り返す、と結んでいる。

毎日――
尹東柱『空と風と星の詩』(岩波文庫、567円)、評者・荒川洋治。尹東柱は日本の敗戦半年前に福岡刑務所で急死している。27歳の若さで。これまで伊吹郷、上野潤、竹久昌夫、茨木のり子らが訳しているが、本書は、金時鐘訳を採用している。評者は、たびたび韓国旅行に出ているらしい。旅先の書店に入ると、詩集と小説のベストテンが掲示されているという。詩集の読者が多いらしい。抗日運動にいのちをかけた詩人たちへの畏敬の念もあり、よく詩集は読まれている。なかでも評価の高い詩人が尹東柱で、清冽な詩行から伝わる優しさは尹東柱独特のもので、日本で若い人たちに広く読まれることを期待したい。
[ 2012/12/02 08:52 ] 三室勇 | TB(-) | CM(-)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。