ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト

ジャーナリストの取材記事、論考などそ掲載するブログ
ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト TOP  >  スポンサー広告 >  三室勇 >  日曜新聞書評欄簡単レビュー:三室 勇

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

日曜新聞書評欄簡単レビュー:三室 勇

今週も日曜日恒例の新聞書評欄から。

毎日――
佐野衛『書店の棚 本の気配』(亜紀書房、1680円)、短評。東京堂書店の店長をつとめた著者の読書エッセイである。書店に入ると、関心のあるコーナーに立ち、平台、書棚を一瞥する。確かに本には気配が感じられ、まずその本を手に取ることになる。それは自分の関心を映している。著者は電子書籍化のなかで「本の分解が始まる」という。一冊の本を全部読む必要がなくなる。その対極にある本を読む姿勢とは、まるごと読むことだが、それはたとえば全集をくまなく読み、著者の思想を体験するそんな読み方だ。そういえば全集がまったく売れない時代になった。古本屋で永井荷風全集全巻が二千円で出ていた話を聞いた。全集や専門書が書店の空間から姿を消しつつあるという。そうした時代に著者は読書のあり方を問うている。「本書には、古今の哲学者の読書論をはじめ、立場や視点の異なる、さまざまな人の体験と見識が集約されている」と評者は書いている。

銭本隆行『デンマーク流「幸せの国」のつくりかた』(明石書店、1680円)、短評。著者は11年の記者経験をもち、現在、福祉、教育を専門とする日欧文化交流学院の学院長をつとめる。幸福度調査で世界一のデンマークはいかにしてつくられたか。歴史、文化などひろく紹介した本。高い税金、若者の生活保護、薬物依存など負の側面にも目を向けている。しかし、福祉は実に充実したものだ。法定「週37時間労働」、転職経験は平均6回、資格取得のための休職期間も給与が支払われる。この社会を支えているのは「自己決定」と他人との協力を重んじる「連帯意識」、徹底的に話し合う「民主主義」の3つだという。この3つは日本に欠けているものだし、培わなければならないものばかりだ。

京都――
藤岡美恵子、中野憲志『福島と生きる』(新評論、2625円)、評者・稲泉連。本書は、原発事故後に福島に入り活動しているNGO、NPOの1年半の活動記録。ここでは「支援とは何か」「当事者とは誰か」といった根本的な問題が問われている。とりわけ国際協力のNGOは、地域とのさまざまな葛藤を抱えたという。彼らから見て震災後の福島は、さまざまなかたちの「分断」がみられた。県外への避難者、避難指示区域からの避難者、とどまった人びと、生産者と消費者、賠償金の違いや子どもを外で遊ばせるか否かなど、問題が複雑化し、決断は個人に委ねられる。外部からの支援者は、そうした「分断」にどうかかわるかが問われることとなる。福島の現実が複雑化するなかで、支援のあり方はどうあるべきか、再度、考えるべきときなのかもしれない。
[ 2012/11/04 10:42 ] 三室勇 | TB(-) | CM(-)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。