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夜間中学その日その日 (266)   守口夜間中学 白井善吾

サツマイモの花
「これは何の花ですか?わかりません。教えてください」と張り紙をして、夜間中学の廊下にこの植物を並べていた。花が日替わりで次々と開花していった。ヒルガオの様な花の形で色は薄いピンク色である。日光が当たらないので、花の色は薄くなっていくようだ。


気にも留めず、多くが通り過ぎていく中、何人かの昼の子どもたちから反応があった。植物の前に立ち止まってじーっと見ている。花はアサガオ、しかし葉っぱの形が違う。しばらく考えて、通り過ぎていく。夜間中学の教員に「アサガオとちがいますか」と話しかけてきた昼の中学生があった。
夜間中学生の反応は違う。「これは、先生、サツマイモでしょう。葉っぱを見ればわかります」「サツマイモのつるはよく食べました。結構おいしいです。戦争中を思い出します」「サツマイモに花が咲きますか?珍しいですね。生まれて初めて見ました。中国でも作っていましたが、見たことありません」「アサガオと同じですね。親戚ですか」
1か月前、ちょうど彼岸の頃だ。ここは私の場所だと言わんばかりに、彼岸花が豪華な花を咲かせる。1か月後の今、もちろん花はなく、葉が茂り始めている。習字の時間、彼岸花の文字を書いている夜間中学生がいた。さっそく、校庭の片隅で咲き誇っている花を教室に持ち込んだ。「ああかい花なら曼珠沙華‥」筆を動かしながら、歌詞を口ずさみ始めた。「先生どうして、彼岸花と言いますか?」そんな質問を受けた。改めて、理科の時間にこの花をとりあげることにした。
―全草有毒な多年生の球根性植物、道端などに群生、9月中旬に赤い花、まれに白いものもある。花のあと、深緑の葉が出てくる。誤食したとき、吐き気、下痢、ひどい場合中枢神経の麻痺を起こして死ぬこともある。水田の畦や墓地に多く見られる。
ルーペで観察したあと、こんな説明を書いたプリントを配った。
「モグラが畦に穴を開けて、水田の水が抜けてしまわないように水田の畦に植えたと聞いたことがあります」「そういえば、水田の畔にきれいに生えていました」「今日もNHKテレビがヘリコプターから写した映像を流していました。本当にびっくりするような鮮やかな赤色で子どものころを思い出しました」「牛のえさにする草刈で、この葉っぱを刈り取ってきて、親にえらい、怒られました。しかし、牛もよく知っていて、食べずに残していました」
―彼岸花を皆さんのふるさとでは、どのように言っていましたか?
「幽霊花」、「死人花」、「狐花」などが出てきた。
「きれいな花の割には、あまりよい名前がついていませんね。お墓の周りにもよく生えていました。昔は土葬が多く、狐なんかが墓を掘り返すのを防ぐため、彼岸花を植えていたんです」
球根はでんぷんに富む。長時間水に晒せば、無害となる。救飢植物として戦争中や非常時に食用とされた。このようにも書いてあった。そこで、
―誰か食べたことありますか?尋ねたが、そのクラスの夜間中学生は誰もなかった。
「戦争中、学校からみんなで球根を掘りに行きました。でんぷんを取り出して、のりを作って、紙を貼り付け、飛行機の羽根を作るのに使うと学校の先生が説明していました」
毒成分のひとつ、ガランタミンはアルツハイマー病の薬として利用されているとのくだりでは、夜間中学生の反応は早かった。
―それやったら、もうすぐお世話になる薬ですわ。
―近頃、街ではめったに見なくなった花ですが、夜間中学に来ると毎年見ることができます。
教室に自然を持ち込んで学習を展開する。次はドングリの予定だ。まず教室を出て、夜間中学生とドングリ拾いに出かける。
[ 2012/11/03 00:43 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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