ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト

ジャーナリストの取材記事、論考などそ掲載するブログ
ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト TOP  >  スポンサー広告 >  寄稿 >  夜間中学その日その日 (261)   拳編集委員会

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

夜間中学その日その日 (261)   拳編集委員会

今年も守口第3中学校(昼)の文化祭に展示と舞台発表の両方に夜間中学生は参加した。2012年9月28日のことだ。
 展示は、普段の授業で制作した、書道・美術・陶芸の作品が並んだ。力強い漢字・やさしいかな文字の筆遣いの習字。鳥や魚・花などの絵の輪郭を残して、後は切り取り、そして色付けをした版画風の美術の作品。陶芸作品は、皿やカップ・個性的な陶器が、釉薬の微妙な色合いで焼き上がっていた。

また2013年4月から使用される高校教科書「日本史A」に掲載されることになった、共同作品「わたしは やかんちゅうがくせい」を展示し、紹介した。
 舞台発表は、昼の中学生と同じプログラムに組み入れられ、体育館で行った。今年は、2011度の共同作品「あいうえお歌」を紹介することとなった。
幕があいた。体育館の舞台の横幅いっぱいになる大きな藍染めの布に白く、夜間中学生が作った歌が染め抜かれた共同作品が飾られている。
 舞台上には6名の夜間中学生が机を置いてすわり、互いに気遣い、マイクを回し、まるで教室で発表しているかのようにも見えた。「どの歌にも私たち夜間中学生の心が表れていますが、その中から、9つの歌を選んで、歌を作った気持ちや、夜間中学校の様子を伝えたいと思います」と語り、発表は始まった。
「少しずつ読みますので、その後に一緒に声を出して読んでください」会場に語りかけた。

え『えんぴつを はじめてにぎる うれしさよ くやしさよ』 という夜間中学生の呼びかけに応じて、会場から、昼の中学生も声を出して歌を読んだ。そして舞台上にも上がって、読む歌を棒で指し示した。
夜間中学生は、かわるがわる発表していった。

す『好きなこと やってみたらと 娘の声』
―「生前、夫は私に、本を読み聞かせてくれました。今も本棚にその本が残っています。私は、今度は、自分の力でその本を読みたいと思いました。そんな時、8歳からずっと働きづめだった私に、娘が言ってくれたのです。「お母さん、これからは好きなことを思う存分してみたら」と。そして、夜間中学を知って、入学。文字を覚え、自分で文字を追って読んでいく楽しさを味わっています」
このように、歌に込めた想いを静かに語っていった。

ね『寝ていても 学んでいたよ夢の中』
  
て『手紙かきたい 子どもにわたしたい』

な『涙でた 名まえとじゅうしょ かけなくて』 
― 4歳のときから親と離れ、よその家で暮らしました。そこで食べさせてもらうために、いろんな仕事をやりました。その家の子どもは「いってきます」と当然のように、学校へ行きます。子守をしながらその声を聞いていた私。うらやましかった。70になって、今、やっと学校へ通える。学ぶことへの強い気持ちは夢の中にも出てきます

舞台上で夜間中学生の発表を手伝ってくれたのは昼の2年生だ。
その子たちが、歌を一緒に読んだことで、がぜん3学期に行う交流を楽しみにしはじめたと昼の先生が話していた。そして、会場に来ていた昼の保護者から「感動した。三中の子らはこんないい発表を聞かせてもらえて幸せや」という声もあった。

この日のために6人の発表者は、一週間、毎日集まって練習した。前日のリハーサルでは、会場に並んだ椅子の数の多さに圧倒されて、「どうしょう、えらいことになった。どきどきする」と口々に不安を訴えた。「本番は会場が暗いから、みんなの顔は見えないから大丈夫」という言葉に納得しつつも、まだ不安げだった。
当日、緊張しながら、文化祭でも交流を展開した、夜間中学生はみごとに発表を行った。夜間中学生の想いは子どもたちの心にきっちり届けられた。

[ 2012/10/02 00:27 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。