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夜間中学その日その日 (259)   守口夜間中学 白井善吾

修学旅行で大阪を訪れた中学生、学習の一環として守口夜間中学に来校した。63人の中学2年生、朝6時半に島根県を発ち、二泊三日の日程で神戸・奈良・京都そして大阪を見学する。9月12日午後5時前、守口夜間中学に到着した。幼さが顔に残っている中学生もいる。今回はどんな交流になるか?

このとりくみは全国同和教育研究大会(2004年11月26日)が大阪で開催されたとき、守口夜間中学は特別分科会として、学校公開を行なった。全国から200人を超える参加があった。島根県のある参加者が、島根の地に帰り、相談。是非、子どもたちに夜間中学を訪問し、夜間中学生に出会わせたい、この要請を受け始まった。2006年9月に始まり今回で7年目を迎える。
交流はおよそ、次のプログラムだ。到着した中学生に、暑いときだ、大阪名物(?)アイスキャンデーが振舞われる。一息ついたところで、夜間中学の説明、その後、各教室に別れ、夜間中学生の横に座り、約1時間の夜間中学の授業を体験していただく。その後、夜間中学生と向き合い、約40分の交流を行う。
夜間中学の授業では、夜間中学生との語らいを多くする以外は夜間中学の普段の授業である。この日私は教科にとらわれない授業を行った。「(地名)で有名なものはなんですか?」「私のふるさとで有名なものは・・です」そんな会話を発表し、理解が深まらないかと考えた学習だ。夜間中学生は中国からの帰国者を中心に、フィリピン国籍の夜間中学生がいる。
「守口大根」の写真を学習プリントに載せておいた。「守口で有名なものはなんですか?」の質問に、「守口大根が有名です」「守口夜間中学が有名です」と答えて、笑顔で私の顔を見上げた夜間中学生。夜間中学生は「冰灯(氷雪祭り)」(哈爾濱)。「孔子」(山東省)。「緑の野菜」(黒竜江省)。「マンゴー」(フィリピン)が出てきた。来校生はしばらく考えた後「お米」「仁多米」「ホッケー」。日中辞典を片手に調べて、「曲棍球」。大きく口を開けて「qu gung qiu」と発音し、来校者は口真似をしている。地図帳でお互いの故郷を確かめ合いながら、交流は進んだようだ。
7月に日本に来たばかりの夜間中学生。日本語は通じない。どんな方法で意思疎通を図るか?双方にとって貴重な体験の場になる。
時間の経つのは本当に早い。来校者は、驚いたように、挨拶もそこそこ、次のプログラム、全体交流に移動していった。
全体交流会の進行は修学旅行生がおこなった。学校紹介の後、全員が立ち上がり、生徒会の合言葉の群読をおこなった。「・・船通山は 進取創造の昔を語り 斐伊川は 無心に流れ奉仕してやめず・・我等横中生 横田を学び 横田で学び たくましきからだと 豊かなる心持ち きょうを励まん あすを拓かん」出雲神話に出てくる地名が語られている。
学校紹介では古事記・日本書紀にもヤマタノオロチ伝説と全国で唯一、日本古来の製鉄法"たたら吹き"によって日本刀の材料になる玉鋼(たまはがね)を生産していると説明があった。なんと、この子どもたちは、8月に炉づくりから砂鉄・炭入れ、ケラだしまでのたたら操業を体験してきたという。数年前、夜間中学でも、山陰海岸の砂鉄の観察から、砂鉄の産地、中国山地のたたら製鉄、そしてヤマタノオロチ伝説、木炭生産による山林伐採、環境破壊へと学習を展開したことがある。
「無理やりさせられている、めんどくさいと思っている勉強に、本気で取り組んでいる夜間中学のみなさん、そのように勉強がしたい」「分数についての質問に、うまく説明ができなかった。しかし、わかったと言っていただいた。うれしかった。いい体験ができた」子どもたちは率直に感想を語った。
そのあと夜間中学生に質問をおこなった。
「人気の授業は?」
―どの教科もです。ローマ字です。看板や、漢字で読めなくても、駅名が読めるようになります
「今、何をしてみたいですか?」
―手紙が書きたいんです。文字を習って自分の存在を表現したい。
「皆さんにとって勉強とはどんなものですか?」
―勉強は人生で一番大切なこと、将来、何かに役に立つ。子どもの頃、ほしくてもできなかった。自分に一番欠けていたものです。入学して、自分の財産を手に入れたこと喜んでいます。
「学校はどんなものだと思っておられますか?」
―この年になって、今が青春です。しかし、学んだこと家に帰ったら忘れてしまっています。何を聞いても恥ずかしくない。劣等感はいりません。こんないい学校はない。
一つ一つに夜間中学生は丁寧に答えていた。
子どもたちの代表がまとめの挨拶で、「どんなに大変な状況であっても、当たり前のこととして、笑顔で学ばれているその姿に感動しました」と話した。
これに答え、夜間中学生は「夜間中学を訪れ感じられたことを、来年来られる、後輩に伝えていってください。楽しい思い出を作って学校に帰ってください」このように語った。
短い交流の時間であったが、長い時間をかけて、準備してきた子どもたちには夜間中学や、そこで学んでいる人たちのことをどのように受け止められたか、興味深い。
[ 2012/09/24 21:51 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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