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日曜新聞書評欄簡単レビュー:三室 勇

今週も日曜日恒例の新聞書評欄から。

毎日――
早川敦子『世界文学を継ぐ者たち』(集英社新書、798円)、評者・鴻巣友季子。「世界文学」というと、昔あった箱入りの全集を思い出すかもしれない。すでに歴史的な定評のある文学者の名、ゲーテ、ドストエフスキー、プルースト……。いま世界文学といった場合、それを指さない。植民地支配、ホロコースト……、近代が創りだした希望は、仮想のもので、自らが打ち壊してきた残骸がうず高く堆積している。ここからどんな言語芸術が紡ぎ出せるというのだ。いうなれば、不可能性から出発して、なお語り出そうとする果敢な試みとして、いま、世界文学はある。その担い手たちは、その被害者の末裔たちであったり、強い感受性でその苦を受けとめてきた者たちだ。
「植民地支配で抑圧されていた「小さきものたち」の声や、ジェノサイド(大虐殺)の沈黙からの生還者を通して生まれてきた言葉を伝える、新しい世界文学の担い手として、著者はホロコースト第二世代で『記憶を和解のために』の作者エヴァ・ホフマン(ポーランド出身)、第三世代のアン・マイケルズ(カナダ)、ポストコロニアル文学の旗手アルンダディ・ロイ(インド)、「パレスチナのゲルニカ」を描いたとされるマフムード・ダルウィーシュ(パレスチナ)、異形の者との出会いを描いてきたデイヴィッド・アーモンド(英国)の五人に絞りこみ、深く論じていく」(評者)。翻訳とその不可能性に向きあった読み応えのある世界文学論だと、評者は高く評価している。

読売――
舟越保武『舟越保武前随筆集 巨岩とはなびら ほか』(求龍堂、2600円)、評者・星野博美。彫刻家、舟越保武が生前に残した随筆を集めたものだ。彫刻家、舟越桂の父である。舟越保武の彫刻には、長崎の二十六聖人殉教記念碑などがある。石彫の作品が多く、随筆も石にまつわる話が多い。「古代から中世にかけ夥しい彫刻を彫った名もなき石工たちへの敬意。作品よりも名前を出そうとする現代芸術家に対する疑い。師匠だった墓石屋の石工たちに対する思いは、迷ったときの支えとなった」(評者)。舟越保武の女性像はいずれも、静けさ、安らぎを感じさせるものが多い。画家、松本竣介とは盛岡中学でいっしょになり、以後、交流がつづいた。岩手県立美術館には二人のコレクションがある。
[ 2012/09/23 10:19 ] 三室勇 | TB(-) | CM(-)


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