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夜間中学その日その日 (256)   蟻通信編集委員会

就学援助、補食給食に大阪府補助を継続する闘いを近畿夜間中学校生徒会連合会は2008年から行っている。5年にわたるとりくみの様子を夜間中学の教員がまとめ、新聞「拳(こぶし)」・「蟻通信」を発行し、情宣を行っている。あわせて50号を超えるが、これらをもとにまとめた。(文責:白井善吾)

蟻とゴジラ
― 就学援助・補食給食存続にむけた夜間中学生のとりくみ―
                  蟻通信編集委員会
蟻行動
「私は大阪の夜間中学生です。府民の皆さん、就学援助が打ち切られ、学べなくなった仲間が生まれています。これまでどおり大阪府は支援を続けるよう、要求し行動しています。橋下知事さんに考え直すよう訴えています」
「大阪府が行なってきた府の夜間中学就学援助制度は大阪が世界に誇れる制度です」
夜間中学の就学援助と補食給食の大阪府支援の継続を求める、近畿夜間中学校生徒会連合会(連合生徒会)蟻行動(2010.12.24)では、府庁玄関横で夜間中学生はマイクを握り、このように語り、リレートークを行った。
「夜間中学で獲得した文字とコトバで書いた私たちの主張を是非読んでください」とマイクをつないでいった。
「向こうでビラもらいました。がんばってや!」「デモしなはれ!」これが街の反応だ。激励の声が飛ぶ。

今度がんばるのは私たち夜間中学生
連合生徒会の役員代表者会が開催された。2010年12月19日、尼崎市立成良中学琴城分校に約100人が集まった。「一匹のアリでも、ゴジラに勝てる」、髙野雅夫さんから提起があった就学援助補食給食の闘いについて、各夜間中学生徒会の論議を集約、具体的行動を決めることが、この日の大きな議題であった。
各夜間中学生徒会の意見は、「府庁へ毎日行こう」「夜間中学は自分たちで守る。行動していかないと守れない」「髙野さんの話はよく分かった。小さな蟻も、団結して闘えばきっとゴジラを倒せる。みんなでやりましょう」「府担当者の、あの署名の受け取り方は何だ。情けない。私たちはあの署名を返してもらって、直接、知事に渡したい」「(大阪に)夜間中学ができて40年。髙野さんの運動があったから、今私たちが学べている」「ここでやいやい言うていても、何にもならない。ここにおる人だけでも、行動していったらよい。みんな駆けつけてくれる」「私らが行動すると、夜間中学の先生に迷惑がかかるんですか?」「橋下知事のやり方は弱い者いじめだ。日本人として恥ずかしい」「みんなの意見は出揃った。これを受けてどうするか、具体的に先生たち、今判断してください」
このような圧倒的な意見に押され、各夜間中学生徒会顧問は別室で協議、「2010年は12月22日、24日、府庁で夜間中学生による、統一行動を行なう。続けて1月も行動を行い、府庁を訪れる人たちに、夜間中学生の想いを訴えていく」ことを確認、決定した。

夜間中学生、副知事に会う
近畿夜間中学校生徒会連合会として、どう行動すべきか、「43年前の蟻は髙野先輩。ゴジラ・大阪府に挑み、夜間中学開校を実現させた。43年後の現在、私たち夜間中学生は就学援助、補食給食の復活を実現させ、これからたどり着く、仲間に夜間中学を届ける」この信念である。3階まで吹きぬけの玄関を見上げ、ある夜間中学生は本当にゴジラに見えたといった。
就学援助、補食給食の復活を求める夜間中学生の「蟻行動」は綛山(かせやま)副知事に面会、夜間中学生が直接話し合うという形で実現した。2011年2月3日、府庁3階特別会議室である。ある生徒会長は次のように副知事に話した。「今日、このような場をもっていただいて、本当にありがとうございます。綛山副知事は、教育長の時、2008年11月19日、守口夜間中学を訪問、私たちと寝屋川高校生の交流を見ていただいて「大切な場所だ」「大変感動した」と感想を述べられ、就学援助の復活に努力いただいたと聞いています。
私たちは、なくなった補食給食を自分たちの力で、なんとかしようと自己負担もし、この本『学ぶたびくやしく 学ぶたびうれしく』(解放出版社)をつくり、多くの人に読んでもらって、基金作りをしながら、月・水・金、パンと牛乳を食べています。しかし、学習条件は、2008年とくらべようもなく悪くなっています。先日も、ビラ配りをしていて、中西教育長にビラを渡し、復活をお願いしました。こらから夜間中学に来る後輩のために、どうぞ就学援助・補食給食の復活をしてください」
副知事は「守口に行ったときに、皆さんが学ぶ姿を見て感動したのは本当です。なくしてはいけないと思っています。2008年から今まで大阪府がやってきたことの仕分けをしています。夜間中学については国と市町村だと考えた。国がすること、府がすること、市町村がすることをはっきりさせようということです」と答えた。
夜間中学生の府庁への蟻行動は2011年3月末まで続けられた。

「府立定時制高校付属夜間学級」構想
2011年3月11日午前10時から府議会教育常任委員会が開催。夜間中学生も傍聴席に座っている。夜間中学について梯(かけはし)府会議員(民主党)が取り上げ、知事質問をおこなった。
(梯府議)「市町村立の夜間中学であるが、広域から通ってきている状態で実態は府立の夜間中学だ」1969年夜間中学開設にあたり、府内広域から通ってきている実態の中で、関係者間で府立定時制高校付属夜間学級として開設しようという経緯もあったことにふれ、「就学援助、補食給食について改めて見直す考えはないか」と質問をおこなった。
(橋下知事)「これは悩ましい問題で、やろうと思えばできる(金額だ)」「ただ、高校に併設するなど、私もいろいろ調べてみたが、教育内容から現状(市町村立)に落ち着いた経緯がある」「出してあげるのが一番楽で、いろいろと批判を受けることもない」「しかし、ここにこそ地方自治が問われている。このことこそ都市間連携でできる、典型的な例で、私はこれにこだわる」
知事は悩ましい問題、やろうと思えばできると、揺らいでいることをこのような言葉で表現しながら、後半では、府が関与することなく、市町村間が連携してできると、その態度を崩さなかった。
(梯府議)「設立の経緯をおさえ、制度のあり方を考えるべきではないか。ところで、(夜間中学生が届けた)55000の署名を知事は見たのか」
(知事)「報告を受け、全部ではないが一部は見た。思いを書いた手紙とかを読んだ」
このように答弁した橋下知事は2011年11月、都市間連携でできるといっていた、大阪市長となった。

自立した夜間中学生の闘い
夜間中学生のとりくみは、橋下知事が就任した直後2008年4月に始まった。その主なものを列挙する。知事に手紙を書く(2008.4)。夜間中学生の力で署名用紙を作る(2008.5)。淀屋橋で街頭署名活動(2008.6)。府議会の傍聴(2008.7)。府会議員17人が駆け付けた集会「夜間中学生の声を聞いてぇや知事!」の開催(2008.9)など連合生徒会役員代表者会で決め実行した。
これらの取り組みを背景に、知事に再考を迫る世論を作り上げていった。結果、当初の実施案を断念させた。アリの力は大きな山を動かした。中国の故事「愚公移山」を夜間中学生は実践した。

日本の識字法・「教育環境整備法」の成立を!
夜間中学生の行動は中央にも届いた。夜間中学生の立ち上がりを受け、支援のとりくみが始まった。署名の全国展開である。日教組が行った全国署名は70万を超え、「学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律(案)」(教育環境整備法案)の第3条7項に「学習する機会が失われた者がその希望するときに再び学習する機会が与えられるようにすること」と成文化された。2009年9月参議院は通過したが。衆議院の解散で、成立はいまに持ち越されている。「教育環境整備法案」は今年最終年を迎えた、「国連識字の10年」で成立を目標とした「識字法」ではないかと考えている。
「夜間中学生はすごい力を持っている」と、髙野雅夫さんはいつも言っていた。見事に証明された。夜間中学生は仲間を信じて立ち上がった。
2002年7月、夜間中学生ら40人が、韓国京畿道安養市にある識字(文解)教室を訪れ交流した折、「夜間中学で学び奪い返した文字とコトバでみなさんは、どんな社会活動をされていますか」と質問を受けた。9年後の2011年3月、韓国済州道にある同旅平生学校で、「私たち夜間中学生も韓国の文解の仲間に負けない」と胸を張って、就学援助・補食給食の闘いを報告した。

安心して学べる夜間中学を、これからたどりつく仲間に

「4年前に橋下知事の登場以来、私たち夜間中学生は、大阪府が就学援助金や補食給食への補助金を打ち切ることのないよう精一杯の運動を積み重ねてきました。私たちが集めた賛同署名は4年間で15万人分にも近いものになっています。けれど、住んでいる市町村にまかされた就学援助金は悪化の一途をたどり、給食を廃止された4市7校ではこの2年間、学校の雰囲気にまで悪影響を及ぼしていると繰り返し訴えられてきました。そして、とうとうこの春の新入生が、明らかに減少傾向が見られるところまでいっていると思います」
2012年5月13日、堺市産業振興センターで開かれた、近畿夜間中学校生徒会連合会総会で生徒会長はこのように挨拶をおこない、引き続き夜間中学の学習環境の改善を訴えとりくむ重要性を訴えた。
就学援助、補食給食の大阪府補助廃止は夜間中学つぶしだ。闘いが長期化、通えなくなる夜間中学生が増えてきた。夜間中学で再び義務教育未修了者を作り出しているのだ。この現状を橋下市長に問いたい。責任はあなたにあると。総会では「夜間中学の生徒会活動を盛んにし、交流を深める」「夜間中学生の要望を教育委員会に訴えていく」「生徒募集活動を積極的にとりくむ」「国連識字10年の取り組みに積極的に参加する」そして安心して学べる夜間中学を、まだ来れていない仲間に夜間中学を届けるため、助け合い、闘いを継続していくことを決めた。                    
[ 2012/09/08 10:15 ] 寄稿 | TB(-) | CM(-)


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