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メディア・ウォッチング ネット規制をもくろむACTA、TPP  三室勇

ACTAについては、8/11のコラムで書いた。国際条約のかたちを借りて、国内のネット規制を行おうという狙いが進んでいる。ACTAは日本が提案国のため、すでに国内法の整備が行われている。

一例をあげると著作権法一部改正で、違法ダウンロードの刑事罰化が可決された。もちろん、違法アップロードは刑事罰対象になっているし、市販の音楽CDをPCに取り込むリッピングも違法となる。それをネットにあげたり、友人に分けたりしたらお縄となる。

 今年の7月、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は、一、二審で有罪とされた児童ポルノ画像掲載サイトのアドレスを貼り、紹介した事案の上告を棄却している。結果、懲役8月、執行猶予3年、罰金30万円の1、2審判決が確定した。軽い気持ちでリンクを貼っただけでも御用となる。児童買春・児童ポルノ禁止法違反である。最高裁の5人の判事のうち3対2で決まっている。反対意見を述べた大橋正春、寺田逸郎判事は「児童ポルノの所在地を情報として示すだけでは公然陳列に当たらない」という意見だった。上告に賛成した判事はインターネットをご存じなのだろうかと疑いたくなる。

ACTAにまして強力なネット規制を狙っているのがTPPだ。TPPは関税障壁の撤廃を唄っているが、アメリカの真の目的はTPP加入国の制度をすべてアメリカ基準にすることである。知財や著作権法に詳しい福井健策弁護士は、農業や自動車よりもアメリカの輸出で一番大きいのがコンテンツ産業だという。出版、放送、映画、音楽、ゲームなど著作権にかかわる分野だ。日本はコンテンツ輸入大国でこの分野で5600億円の貿易赤字を抱えている。
TPPは秘密交渉だからわからないところがあるが、アメリカは著作権分野で①著作権保護期間の延長、②非親告罪化、③法廷賠償金の導入などを条文に盛りこもうとしている。

ネット規制にかかわってくるのは②と③だ。②の非親告罪化とは、著作権侵害はこれまで著作権者当人が告訴することにより成立する親告罪である。親告罪には、親族間の窃盗、強姦罪などがある。非親告罪化とは、著作権者が訴えなくても、著作権侵害を認めれば警察が立件できることになる。海賊版をネット上にアップしたり、何かの作品のパロディを書いたとしよう、警察がこれを著作権侵害と認めれば、捕まえられる。あなたのPCの中にはネット上から拾った新聞記事や写真、動画、音楽などあふれていないか。それを使ってブログを書いたりしていないか。発覚すれば警察沙汰になるわけだ。この非親告罪化はACTAにも当初あったが、論議が進む中で取り下げられた。TPPではどうしても入れたいというアメリカの思惑がある。

もう1つの③法廷賠償金の導入とは、通常、著作権侵害で被った実損害を賠償要求するわけだが、法廷賠償金とは、実損害の有無に関係なく、ペナルティとして1作品に賠償金を払わなくてはならない制度だ。アメリカではその額は750ドルから15万ドルまであり、最高だと1000万円ほどになる。

ネット規制は、日本は先進国ですでに多くの法律が出来てしまっている。ヨーロッパは著作権をゆるめる方向へ動いている。ACTAをヨーロッパ議会が否決したのもそうした流があるからだ。ネット時代に100年前の著作権法をいじっても対応できないことは確かだ。アメリカを中心としたネット規制の動きは、著作権者を守ることよりもコンテンツ産業の利益確保だけが狙いのようだ。
(マル激トーク・オン・デマンド 「ACTAの次はTPP ここまできている「ネットの自由」をめぐる攻防」を参考にしています)
[ 2012/08/21 09:58 ] 三室勇 | TB(-) | CM(-)


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