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日曜新聞書評欄簡単レビュー:三室 勇

今週も日曜日恒例の新聞書評欄から。

京都――
マーラ・ヴィステンドール『女性のいない世界 性比不均衡がもたらす恐怖のシナリオ』(講談社、2310円)、評者・東えりか。読売の評者は星野博美。日本の戦後の人口推移をみると2峰性がみられ、漸次減少してきた。2つの峰は戦後ベビーブーマーと、その子ども世代、第2次ベビーブーマーだ。ところが極端に落ち込んでいる年がある。1966年の丙午の年である。丙午生まれの女性を嫌った結果だ。実は世界中でいま女性が不足しているという。正常な出生性比は100人の女の子に対して105人の男の子だという。ところがひとりっ子政策を続けた中国では113人、インドでは112人と急増する人口を抱える大国では、男子出生を選択するために性比に偏りが出てきている。実は世界中で性比の偏りがでてきているらしい。なぜこのような事態が起こったのか。1つは出生前診断が可能になり、女子と判った段階で中絶してしまう。性別の産み分けが出来るようになったからだ。この性比アンバランスは今後、どんな問題を引き起こすのだろうか。独身男性は既婚男性よりテストステロン(男性ホルモン)が高く、攻撃性向を高める傾向がある。男性過剰社会は暴力性が高まるというのだ。また女性は希少なものとなり、貧しい国では嫁が売買されるようになり、外国に売られることにもなる。環境問題、食糧問題の影で、選択の自由を得たことから性比のアンバランスが起こり、それが将来の不安要因になるという、実に皮肉な結果が招来するということか。

読売――
木村敏『臨床哲学講義』(創元社、2500円)、評者・岡田温司。精神病理学者で『自己・あいだ・時間』などの著書のある著者の講演録。著者は半世紀にわたる臨床体験から患者その人を捨象して症状だけ抽出する「客観主義的な診断法」に批判的である。人が病むということはどういうことか。ここには人間存在の本質的なところにふれてくる問題がある。著者は、それを「生命とはなにか」を問うことで思考を深めようとする。生命には2つある。1つは、個人個人の生命、もう1つはそれ以前の、それを超えた生命、「自然(じねん)」(=おのずから)という意味の非人称的なものだという。「等身大」の生命と「宇宙大」の生命、このあいだでいかに生きるか。東洋思想の「天」という想念は、近代が個人に閉じ込めた生命を解き放つ何かがあるかもしれない。
[ 2012/08/19 12:03 ] 三室勇 | TB(-) | CM(-)


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