ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト

ジャーナリストの取材記事、論考などそ掲載するブログ
ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト TOP  >  スポンサー広告 >  川瀬俊治 >  日曜新聞読書欄簡単書評レビュー:川瀬俊治

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

日曜新聞読書欄簡単書評レビュー:川瀬俊治

 毎週日曜日恒例の新聞読書欄簡単書評レビューです。朝日から2点紹介します。

 小林敏明著『フロイト講義〈死の欲動〉を読む』(せりか書房・2625円)は評者が柄谷行人。タナトスへの欲望はフロイト心理学の独自な分析とされるが、柄谷が最後で紹介した「死はたんに生の否定なのではなく、もっと積極的な何かなのだ。この観点から見直せば、死の欲動、およびそれと攻撃欲動との連関を合理的に理解することができる、というのが著者の仮説である。さらに、著者は攻撃欲動を超える鍵を、あらためてフロイトの「昇華」という概念に見いだそうとする」。つまり生命の連続性の中でタナトスの欲望を解く。柄谷はこう書く。「多細胞の生命体は、不必要な細胞が自ら死ぬことによって、個体として存続できるようにプログラムされている」。小林のたどりついた視点だ。フロイト派が拒否してきた概念。ラカンモそうだ。それを小林は乗り越えようとする。本書の一番の特徴ではないか。

 ニコ・ナルディーニ著『魂の詩人パゾリーニ』(川本英明訳、鳥影社、1995円)の書評は・横尾忠則。パゾリーニはイタリアの言語研究家で詩人・作家。「原初的な農民世界の環境の中で絵を描き、詩作を試みながら将来は美術史家か文芸評論で身を立てようと模索の日々をおくる」と横尾は紹介している。「同性愛のレッテルを貼られた左翼的異端のスキャンダラスな映画監督」とあるが、そういう意識は私にはまったくなかった。宗教的世界とは仏教の「無」であろうとも絶対的存在との対峙であるが、私がパゾリーニに感じてきたのはその求心性だった。「奇蹟(きせき)の丘」はカトリック系の団体から賞を得たこともわかるが、横尾の書評では「テオレマ」では猥褻罪で作品が没収されたとある。同性愛もパゾリーニの軌跡を解く大きなカギ。魂の詩人という書のタイトルは本書をよく表しているようだ。
[ 2012/07/29 21:27 ] 川瀬俊治 | TB(-) | CM(-)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。