ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト

ジャーナリストの取材記事、論考などそ掲載するブログ
ジャーナリスト・ネット公式ウエブサイト TOP  >  スポンサー広告 >  川瀬俊治 >  日曜日新聞読書欄簡単レビュー:川瀬俊治

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

日曜日新聞読書欄簡単レビュー:川瀬俊治

 恒例の日曜日新聞読書欄簡単レビューです。歴史研究書とオウムに関する著作を紹介する(文中敬称略)。

 朝日の書評から。服部英雄『河原ノ者、非人・秀吉』(山川出版社、2940円)の書評は歴史解明で現代人の視点から切り捨てていた事実を浮かび上がらせた点にスポットをあてている。評者は田中優子。本書で紹介された犬追物という歴史の事実は知らなかった。被差別民の河原ノ者が犬を捕獲し、犬の馬場で解き放つ。侍が犬を射る。その犬を食されるのだ。日本人が犬を食うなどありえないなどは、現代人の考え方。秀吉は猿のように栗を食ったと紹介されている。「乞食として生きていた時の大道芸ではなかったか」と著者は推測している。本書の方法はヨーロッパ人宣教師の記録を重要視することで歴史の闇に埋もれていた人間を浮かび上がらせた。

 ニュースの本棚というコーナーで「一から読むオウム」のテーマで北海道大学准教授中島岳志が6冊の本を紹介している。2010年に出版した森達也『A3(エースリー)』(集英社インターナショナル、1995円)、島田裕巳『オウム――なぜ宗教はテロリズムを生んだのか』(トランスビュー、3990円)、井上順孝(のぶたか)責任編集『情報時代のオウム真理教』(春秋社・3780円)、宮台真司『終わりなき日常を生きろ』(ちくま文庫・672円)、降幡賢一『オウム裁判と日本人』と同じく井上の裁判傍聴ルポ『オウム法廷』(全15冊、朝日文庫・品切れ)の6冊だ。オウムの問題はなお釈然としない。逃走中の男女関係や生活にスポットをあてる報道はいかにもワイドショウ的手法で、では「なぜ信者が殺人という暴力に至ったのか」がわからない。麻原の支配欲、野心、ルサンチマンという麻原個人の問題に還元されている傾向がるが、はたしてそれで解明でrきたのかというと疑問が残る。中島は「オウムは日本社会の戯画である。だから、我々は「あの事件」から目をそむける。裁判の過程で麻原は理性に破綻(はたん)をきたし、まともな会話能力を失っているにもかかわらず、異例のスピードで死刑判決が出た。事件の要因を究明するよりも、オウムを葬り去ることを優先する社会に、森は強い警告を発する」と書いている。この批判は真相の究明は置き去りにされた根源を突く。島田の著作は、中島が提起したなぜ殺人という暴力に突っ走ったかの解明は不明だという。オウム事件は「社会の在り方に違和感を持つ人間の無意識の願望を象徴するものだった」(中島)がなぜ殺人という暴力に行きついたのかなお不明瞭なのだ。 宮台は、パッとしない自己を抱えながら、輝きを失った世界を生きることに生きる知恵を求めるのだが、空虚感を抱いた中でその生きる知恵は有効か。中島が指摘するオウムを求めた若者の心情―原理的構造は変わらずに存在する。
[ 2012/07/01 11:58 ] 川瀬俊治 | TB(-) | CM(-)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。